メモ

ドローンの飛行高度が超絶厳重に制限される寸前でGoogleやAmazonの猛抗議が実を結ぶ


2015年、アメリカでは「私有地の上空ではドローンに高度350フィート(約107メートル)以上での飛行を義務づける」という法案がカリフォルニア州議会の上院と下院の両方を通過しました。この決定に対して、GoogleやAmazon、GoProなどのドローン開発に積極的に取り組んできたテクノロジー企業は明確に反対の意思を表明し、ロビー活動を続けていたのですが、ついにIT企業側の意見が認められて規制法案は廃止されることが決定しました。

California Drone Bill, Opposed by Amazon, Google, Others, Is Vetoed | Re/code
http://recode.net/2015/09/09/amazon-google-emerge-victorious-in-california-drone-bill-battle/


2015年9月、アメリカ・カリフォルニア州議会上院でドローンの飛行を制限するための3件の法案が可決されました。可決されたのは、「刑務所または拘置所の敷地上で同施設の職員以外の者がドローンを許可なく飛ばすことを禁じる」法案と、「K-12(幼稚園から高等学校まで)の公立学校敷地内で開校時間内にドローンを所定の高度以下で飛ばすこと、また、開校時間内や課外活動中に敷地内の写真をドローンで撮影することを禁じる」法案、そして「私有地の上空ではドローンに高度350フィート(約107メートル)以上での飛行を義務づける」という法案の3件。

「刑務所または拘置所の敷地上で同施設の職員以外がドローンを許可なく飛ばすことを禁じる」という法案は、アメリカで麻薬やタバコなどを刑務所内に持ち込もうとする事件が多発していたため提案されたものとみられます。

マルチコプターで刑務所の塀の向こうにタバコを届けようとする事件が発生、4名が逮捕される - GIGAZINE


この3つの中で特に問題視されていたのが、上院法案第142号の「私有地の上空ではドローンに高度350フィート(約107メートル)以上での飛行を義務づける」というもの。アメリカでドローン関連の法規制を進めるアメリカ連邦航空局(FAA)は、ドローンなどの模型飛行機での飛行高度を最大400フィート(約122メートル)に制限しているのですが、その中で第142号が正式な州法として施行されてしまえば、カリフォルニアでは350フィートから400フィートという非常に制限された高度でしかドローンを飛ばせなくなってしまいます。

なお、上院で可決された3件の法案は全てカリフォルニア州のジェリー・ブラウン知事の承認待ちという段階でした。

California bills aim to place curbs on drone operations | PCWorld
http://www.pcworld.com/article/2980346/california-bills-aim-to-place-curbs-on-drone-operations.html


これに対してカリフォルニアに本社を置くGoogleや、ドローンを使った配達サービス「Amazon Prime Air」を計画中のAmazonなどは、法案に反対するためのロビー活動を続けていました。また、無人車両推進団体のAssociation for Unmanned Vehicle Systems Internationalは、カリフォルニアの住民が規制への反対意志を表明するためのサイト(既に閉鎖済み)を用意していました。

これらの活動が奏功したのか、ブラウン知事は第142号を否認しました。ブラウン知事は第142号を否認した理由について「ドローン技術は必ず新しい論争を引き起こすもので、その長所について注意深く審査する必要があります。この法案は善意から出ているものではあるものの、ドローン愛好家やFAA公認の商用ユーザーの両方に対して厄介な訴訟や訴訟の原因をもたらすものになってしまう」と、説明しています。


第142号に反対していたアメリカの業界団体Consumer Electronics Association(CEA)のゲリー・シャピロ代表取締役社長兼CEOはブラウン知事の判断に対して「安全で信頼できるドローン利用は、我々のビジネスを変化させます。ドローンを利用可能にすることは、捜索・救助・災害救助・作物生産などを支援し、インフラメンテナンスのための安全な作業環境を作成することの手助けにもなります」と、ドローンの有用性を推します。

なお、全米州議員協議会によれば、アメリカでは2015年に46の異なる州で156件もの異なるドローン関連法案が審議されているとのことです。

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in メモ, Posted by logu_ii

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