テスラ「モデル3」がついに納車開始、「ゲームチェンジャー」になる可能性を秘める強みはどこにあるのか?
2017年7月28日、テスラの普及価格帯EV「モデル3」のデリバリーが開始され、予約を入れていた最初の30人への納車が行われました。実際にモデル3をドライブしたBloombergによると、モデル3は「ゲームチェンジャー」になる可能性を秘めている模様です。
Driving Tesla’s Model 3 Changes Everything - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2017-07-31/driving-tesla-s-model-3-changes-everything
ついに納車が開始されたモデル3。50万台にも及ぶ予約が世界中から寄せられていますが、最初のデリバリーは30人限定となっています。
モデル3は、床下にバッテリーを配置するという、これまでのテスラ流デザインを踏襲したもの。
最初の30人に選ばれたのは、主にテスラの関係者とも。これは、実車をテスラ本社の近くに置いておくことでトラブルが起こっても迅速に対応し、その後の生産に反映させることを狙っているとも見られています。
実際にハンドルを握った記者によると、その走りは機敏で乗り心地もよかったとのこと。
そして何より、最新テクノロジーの車に乗っているということがクールに感じられたとのこと。
モデル3の大きな特長のひとつが、内装のデザインです。
一般的な乗用車が持つ、スピードメーターや水温などの情報を表示するメーターパネルを持たず、センターコンソールの部分に大きなディスプレイを配置。
全ての情報はこのディスプレイに表示され、マップを表示できるほか、エアコンの調整もこの画面で行います。
オプション設定されているグラスルーフは開放感が抜群で、まるでビルのアトリウムにいるような感覚とのこと。
そしてモデル3が驚異的なのは、そのバッテリー単価とのこと。正確には、「走行可能距離1マイルに対する車両価格」がこれまでのEVの中で最も安いクルマとなっています。車両価格が4万4000ドル(約500万円)のモデル3の長距離バッテリー仕様の場合、1度のチャージで310マイル(約499km)の走行が可能で、1マイルあたりの車両価格は142ドル(約1万6000円)。これは、以下の表のように他のEVに比べて最も安い単価となっています。
安全性の高さも重要なポイントとのこと。衝突安全試験の中でも過酷なものといえる「ポール側突試験」では、最も安全とされてきた「ボルボ S60」を上回る安全性を備えているとのこと。左のモデル3がそれほど大きく変形していないのに対し、右のボルボ S60は屋根を含めて車体が大きく折れ曲がっている様子がわかります。
このように、単価としての安さや安全性を備えたモデル3ですが、Bloombergは唯一の弱点として「納車まで時間がかかる」ことを挙げています。
50万台規模の予約をさばく必要がありますが、テスラはそのような規模の生産を行った経験がありません。そこで、テスラではまず最初の段階では極めて遅いペースで生産を行うことでネガ潰しをしておき、その後次第にペースを上げる戦略を立てています。「Sカーブ」と呼ばれる生産拡大計画によると、2017年末には週あたり5000台・月産2万台の生産規模へと拡大し、2018年末には月産5万台にまで拡大する予定とのこと。
これまでの高額・高級路線から一気にいわゆる「普及価格帯」に入ってきたモデル3の姿を街中で見ることが、今後は増えてくるのかもしれません。
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