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テスラの「模倣品」を生み出す中国の新興メーカーが自動車業界を制圧する可能性


革新的な電気自動車(EV)を次々と生み出すことで、わずか10年で有力な自動車メーカーになりつつあるテスラモーターズですが、テスラに追いつき追い越せとばかりに、中国では「モデルSのコピー品」と言わざるを得ない自動車が続々と誕生しようとしています。

Attack of the Chinese Tesla Clones | WIRED
http://www.wired.com/2015/10/attack-of-the-tesla-clones-from-china/

テスラはセダンタイプの「モデルS」に続いて、SUVタイプの新モデル「Model X」を発表しました。ラインナップの充実を図るテスラですが、モデルSが7万1000ドル(日本価格は933万円)からなのに対してModel Xは14万3000ドル(約1700万円)からと、価格が大幅にアップしています。このため、より多くのユーザーがテスラのEVを購入できるようにと3万5000ドル(約420万円)からという低価格を実現する予定のエントリーモデル「Model 3」の登場が多くのファンから待ち望まれています。


EV市場の覇権を握ろうとするテスラに対して、自動運転車を開発するGoogle独自のEVを開発していると噂されるAppleなどの、IT業界のビッグネームがライバルとして挑戦状をたたきつけると予想されていますが、テスラの真のライバルはこれらIT企業ではなく、中国で台頭する新興企業であるとの指摘があります。

これは、中国の遊俠(Youxia)の開発する「Ranger X」というEV。テスラのモデルSを意識したEVであることは間違いなさそうです。


Ranger XがどのようなEVなのかは、以下のコンセプトムービーを見ればよく分かります。

Youxia Ranger X electric car - YouTube


迫力あるフロントフェイスのRanger X。モデルSだけでなく、レクサスやアウディ、マセラティなどの意匠をミックスさせたイメージ。


リアはかなりエッジの効いたデザインです。


インテリアはこんな感じ。


センターコンソールに巨大な17インチディスプレイがあるのはモデルSと同様。このタッチスクリーンを使ってさまざまな操作が可能です。


Ranger Xは28歳の若手起業家Huang Xiuyuan氏が率いる新興企業Youxiaが開発するEVで、わずか50人の開発チームによって16カ月前に開発がスタートしたものだとのこと。モデルSと同じくパナソニック製のバッテリーを搭載し、348馬力で最高速度は140マイル/h(約224km/h)で、航続距離は286マイル(約470km)となる予定です。


モデルSそっくりのRanger Xですが、中国市場では有名メーカー製の自動車がコピーされることはよくあることです。以下の画像は中国メーカー陆风汽车(Landwind)のSUV「X7」。ボンネットの「LAND WIND」のロゴまでランドローバーの「RANGE ROVER」にそっくり。


レンジローバー・イヴォークにしか見えないX7は、イヴォークの約3分の1という低価格で中国国内では人気だとのこと。なお、ランドローバーは中国で知的財産権の侵害を理由にLandwindを提訴しましたが、訴えは退けられています。


模倣行為がまかり通る中国市場では、先行するテスラが苦戦を強いられることは避けられそうにありません。しかし、模倣と創作はまったく別次元の行為であり、仮に中国メーカーがテスラをキャッチアップしトップランナーとなったときに、独自に新しいモノを生み出せるかは未知数です。ただし、Road & Trackの編集者のジョー・デマティオ氏が「5年前、テスラがビジネスになると考えられませんでしたが、今ではすばらしいEVを作っています。中国企業がテスラと同じことをできないと考える理由はありません」と述べるとおり、「十分な資金、人材、そしてほんの少しの運さえあれば、今は模倣にたよらざるを得ない無名のメーカーでも、トップに躍り出る可能性はある」という見解もあるようです。

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in 乗り物,   動画, Posted by darkhorse_log

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