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テスラ・日産・ボルボ・GMの半自動運転システムの性能をコンシューマー・レポートが評価、求められる安全性とは?


アメリカの消費者向け月刊誌「Consumer Reports(コンシューマー・レポート)」が、半自動運転機能などの先進的な運転支援システムの性能評価を行いました。トップに選ばれたのはGMの「Super Cruise」ですが、「自動車の安全とは何か?」という根本的な問題に即した独自の視点に基づく調査手法によって行われており、自動車技術のあるべき進化を考える上で興味深い内容となっています。

Automated Driving Systems Ranking - Consumer Reports
https://www.consumerreports.org/autonomous-driving/cadillac-tops-tesla-in-automated-systems-ranking/

ドライバーの運転支援システムはクルーズコントロールやレーンキープ、自動ブレーキ機能など日々進化しており、最終的にはドライバーの操縦なしでの完全自動運転機能に向けて開発が進められています。

Consumer Reports(CR)は、2018年9月時点での主要な自動車メーカーが販売する先進的なシステムを備えた車両の安全性についてのテストを行いました。いわゆる半自動運転システムと呼ばれる先進的な運転支援システムについてはテスラやGM、日産だけでなく、トヨタやメルセデス・ベンツなども採用していますが、今回の調査ではアメリカ市場で一般ユーザーに比較的知られているGM・日産・テスラ・ボルボの4メーカーのシステムについてチェックされています。


先進的な運転支援システムの性能評価にあたって、CRは「安全性への高い信頼に基づいて、ドライバーがそのシステムに頼りすぎること自体が安全に対するリスクになる」という考えを示しています。例えば、クラッチ操作が不要なオートマチックトランスミッションの登場は運転を容易にしましたが、同時に携帯電話で通話しながらの運転も可能にした結果、ドライバーの注意が散漫になり事故を招き得る、というあらたな危険を生みだしました。これと同様に、あまりにも便利で快適な半自動運転技術は、ドライバーの不注意を招きリスク要素であるということを勘案した上で、CRは各種テストを行い総合評価しています。CRのテスト担当ディレクターのジェイク・フィッシャー氏は「最適なシステムとは、セーフガードとドライバーの運転を容易にすることと適切な状況でのストレスを減らすこととのバランスをとることです」と述べています。

テストはCRが所有する327エーカー(約132ヘクタール)の広さのテストコースと、付近の高速道路の双方で行われました。テストされたのは「キャデラック CT6」が採用するGMの「Super Cruise」、「インフィニティ QX50」「リーフ」が採用する日産の「ProPilot Assist」、「モデル3」「モデルS」「モデルX」が採用するテスラの「Autopilot」、「XC40」「XC60」が採用するボルボの「Pilot Assist」です。

◆自動化機能
各システムは「速度コントロール」と「ステアリング操作」の自動化の程度についてテストされています。具体的には、「レーン(車線)内に正しくとどまることができたか?」「先行車両への接近」「先行車両の割り込み時の挙動」「前方が開けた際の挙動」などが評価されています。


この項目で優れた評価を得たのはGMのSuper CruiseとテスラのAutopilot。ともにレーン内を確実にキープし、加減速も快適だったとのこと。これに対して日産のProPilot AssistやボルボのPilot Assistは曲がりくねった道や丘陵の道でレーンからの逸脱が頻繁に見られたそうです。

ただし、日産は「ドライバーのエンゲージメントを失わないため、車線キープ機能を意図的に制限している」とのこと。車のコントロール性能をあまりに高めると、ドライバーは運転における自身の役割を理解できなくなる恐れがあるということに鑑みて、あくまでドライバーが主で運転支援機能の関与は限定的であるべきという考え方で、ボルボもこれに同意しています。このあたりは、自動車メーカーの哲学に基づいた違いが運転アシスト機能に反映されているといえそうです。

◆システムの使いやすさ
CRはドライバーが「システムに慣れやすいか」「設定を変更することが容易か」など、システムの使いやすさについて評価しています。

この項目で高い評価を得たのはテスラのAutopilotで、自動操縦モードへの移行が簡単で、専用のディスプレイで車のセンサーが認識している状況についてドライバーは情報を得られるためシステムのオン/オフも分かりやすいとのこと。それに対して他の3社のシステムは、運転支援機能を切り替えるのに複数のステップが必要で、運転を止めて操作することが求められそうだと、UIについて低い評価を得ています。


従来のクルーズコントロール機能のUIを流用したことが原因ではないかと指摘された日産は、「ユーザーからのクレームはない」と広報が回答し、キャデラックは「システムは今春に更新されており、改善されています。キャデラックは顧客のフィードバックを得て、必要に応じてシステムの更新を行います」と回答したそうです。

◆いつ機能を使うべきかが明確か?
各システムの運転支援機能について、「ドライバーはいつ機能を使うべきかどうかがリアルタイムで伝えられているか?」についてテストされています。

この点で高い評価を得たのはGMのSuper Cruise。Super Cruiseでは高速道路などのマッピング済みの限定的な区間でのみ自動運転機能を有効にでき、利用不可能な場所では機能が使えないことが理由とともにドライバーに明確に示されているとのこと。


これに対してテスラのAutopilotは、レーンマーキングの乏しい曲がりくねった道などで速度を落としつつも機能自体は有効化されましたが、挙動の乱れが確認されたとのこと。また、日産のProPilot AssistやボルボのPilot Assistはやや強めの雨の中でも機能が有効になることが確認されています。CRは利便性よりも安全性を重視して利用できる範囲を厳しく制限するGMのSuper Cruiseに対して高い評価を与えています。

◆ドライバーの注意力を維持できるか?
ステアリング(ハンドル)とアクセル・ブレーキが自動化されている場合、ドライバーは注意散漫になったり注意を払うのを止めたりすることがわかっています。そのため、ドライバーが運転に関与し続けていることが大切で、それをシステムは維持することが求められるとCRは考えています。

この観点から、最も高い評価を得たのはドライバーの目線を追跡するためのアイトラッキングカメラを備えるGMのSuper Cruiseです。テスラ モデル3は車内カメラ自体は備えるものの、ドライバーが何をしているのかを監視するために使っていないとのこと。GM以外のシステムではハンドル内のセンサーによってドライバーがハンドルを握っているかどうかを確かめるものの、視線についてのサポートがなく、評価は低めです。


また、ドライバーの注意力が低下していると判断した場合に発せられる「警告」について、GMのSuper CruiseとテスラのAutopilotは、2種類の視覚的な警告に続いて警報が出され、さらにはブレーキを自動でかけて停止させハザードランプを灯す、という強制的な措置まで想定されています。GMのSuper Cruiseにいたっては、緊急通報システムを備え、システムがシャットアウトされると再起動するまで機能停止状態を維持するという念の入れようだそうです。

さらに、ドライバーの注意力低下を判定してから警告を出す時間についても触れられており、GMのSuper Cruiseは4秒、テスラのAutopilotは24秒だとのこと。「60mph(約96km/h)で走行していれば4秒はフットボール場の長さ分、24秒はフットボール場6つ分」と表現する通り、厳しい基準を採用するGMのSuper Cruiseを高く評価しています。

◆総合評価
最終的な総合評価は以下のとおり。総合評価では5段階の「4」評価を獲得したGMのSuper Cruiseが1位、「3」評価のテスラのAutopilotが2位、「2」評価の日産のProPilot Assistや「1」評価のボルボのPilot Assistには厳しい判定が下されています。


なお、CRはボルボに対して「自律走行できる完全自動運転カーを解説するウェブページの下にPilot Assistについて紹介している」という事実を指摘して、「Pilot Assistの性能に対するユーザーの過度な信頼を招きかねないのではないか?」という意見を出したところ、ボルボはこの批判を受け入れ自律走行とPilot Assistとのリンクを断ち切り誤解を予防する措置を行ったそうです。

CRの評価は自動車メーカー各社にとっては厳しい指摘を含んでいますが、完全な自動運転技術が誕生するまでの「過渡期」の技術については、「ユーザーに過度な信頼を与えるべきではない」という考え方が安全性に対する一つの評価基準として考慮されることが求められています。

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