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学習能力は「効果的な学習方法の実践」によって向上させることが可能

by CollegeDegrees360

「学習能力は遺伝的な要素に左右される」という主張は根強く存在し、目の色や肌の色が生まれつき決まっているのと同じく、生まれつきの知能によって学習の成果が決められていると考える人もいます。また、「どのように勉強するのか?」といった学習の計画を立てずに、手当たり次第に勉強して「たくさん勉強した」と言う人も存在します。ところが、正しい戦略を立てて学習を行うことで遺伝的な知能差を上回る効果を得られると、学習法について研究しているウルリッヒ・ボーザー氏が述べています。

Learning Is a Learned Behavior. Here’s How to Get Better at It.
https://hbr.org/2018/05/learning-is-a-learned-behavior-heres-how-to-get-better-at-it

ボーザー氏によれば、多くの研究によって「学習する能力」は後天的に得られることがわかっているとのこと。2008年に発表された研究によれば、生まれつきの知能が高いか低いかという点よりも、どのような方法で新しい物事を学習するのかという点が、物事に熟達するために大きく関わっていることがわかっています。

この研究では、自分の思考について深く考える習慣を持つ人々は、彼らよりも高いIQを持つ人間と比較しても、新しい分野の学習において高い成果を残すことが判明しました。何か新しい分野の学習を行う時に「正しい方法で学習を行うこと」は、学習に対して生来の知能がもたらす影響よりも15%も重要だと、研究者は結論づけているそうです。

by George Wesley & Bonita Dannells

◆自分の目標を設定する
まず1つ目に、効果的に学習するためには「自分の目標を設定する」ことが重要とのこと。専門的な分野について学習を進める際には、何をもって「学習が完了した」と言えるのかという点について、最初に目標を決めておくことが大切だとボーザー氏は述べています。「まず目標を立ててから、それに向かってどのような戦略を取るべきなのかを考える」という手順を踏むことで、目標もなく手当たり次第に勉強してしまうことを避けられるそうです。

また、学習の目標を最初から明確にしておくことで、長い学習の間に私たちの心に湧き起こるネガティブな感情に対処することができます。ここでいうネガティブな感情とは、「本当にこれで学習は十分なのだろうか?」「何か間違っているのではないか?」「これまでの学習が全て間違っていたらどうしよう?」「今やっていることの他に、もっと重要なやるべきことがあるんじゃないか?」といったもの。

スタンフォード大学の心理学教授を務めたアルバート・バンデューラ氏は、「ネガティブな感情に対処するには、明確なゴールを設定することが効果的だ」という研究を発表しています。ネガティブな感情は、私たちが持つ学習意欲をそぎ取ってしまうほど強力なものですが、明確な目標を心の中に持っておくことで、「自分がやっていることは間違いじゃない」という意思を持ち続けることができるのです。

by michibanban

◆思考・行動を客観的に認識する
2つ目に、学習能力を上げるために重要な要素として、「『自分が何を考えているのか?』ということをじっくりと考える」というものもあります。メタ認知とも呼ばれるこの能力は、自分の思考や行動を客観的に把握して認識することで、「自分が目標に対してどのあたりまで進んでいるのか」という点をはっきりさせることができます。

「自分は本当にこの概念について理解しているのか?」「友人に私が学習している内容を説明できるだろうか?」「私の目標は何なのか?」「さらに背景知識を深めるべきだろうか?」といった質問を自分に投げかけ、自分がどれほどの学習度を達成しているのかを把握するのです。

ある問題について考えるとき、専門家の多くは問題の枠組みについて自分自身に繰り返し問いかける、メタ認知的な思考をしています。長年にわたってメタ認知的思考を繰り返してきた専門家は、往々にして自分の出した結論が正しいのかそうでないのか、直感的に把握することができるとのこと。専門的な分野について学習する際には、常に「自分はどれほどの理解度に達しているのか?」と自分に問い続けることが大切だとボーザー氏は語っています。

by UBC Learning Commons

◆学習の合間に適度な休みを入れる
最後に、「学習を深めるためには、学習をやめることも重要」という点を理解する必要があります。矛盾しているようにも聞こえますが、私たちが物事を学習する際に、最も深い点まで物事を理解できるのは学習を一時的にストップして、何か他のことをしている瞬間だとのこと。たとえば、同僚とある問題について熱心なディスカッションを交わした後で、家に戻って皿洗いをしている時にふと「あの問題はこうしたら解決可能だ」というアイデアが降ってくることがあります。

このように、学習は熱心に勉強してから少し時間をおいた時に、自分でも意図せずにもたらされることがあるそうです。このタイプの深い理解がもたらされるのは、脳がリラックスして穏やかな状態にある時であるため、常に全力で学習し続けていても深い理解に到達できません。適度な昼寝や睡眠は、脳内の知識を整理してこの種の理解をもたらしてくれるため、学習には適度なリラックスや睡眠が必要不可欠なのです。

以上の点に気を付けて学習することで、先天的な知能による影響を上回るほど、効果的に学習していくことが可能。「周囲の人間と比べて学習が容易にできるということは、周囲の人間よりも生まれつき賢いのだということを意味しません。それはただ、効果的に学習する方法を知っているか、いないかの違いでしかないのです」とボーザー氏は述べています。

by Vic

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in メモ, Posted by log1h_ik