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2020年までに稼働予定のテスラの超巨大バッテリー工場「ギガファクトリー」のいま


EVメーカーのテスラは、2020年までの完全稼働を目指してネバダ州リノの郊外で世界最大の超巨大バッテリー工場「ギガファクトリー」の建設を進めています。あまりに壮大な計画のため、「夢の工場」とも「無謀な計画」ともいわれているギガファクトリーの建設現場に、BBCが潜入しています。

Inside Tesla's gigantic Gigafactory - BBC News
http://www.bbc.com/news/technology-36893104

テスラが建設を進めているギガファクトリーは、自社で生産する電気自動車(EV)に使用するリチウムイオンバッテリーを全て自社生産することを目的とした生産設備で、ここで生産されたバッテリーは全て、テスラが年間に50万台生産する予定というEVに搭載されることになっています。建設予算は50億ドル(約5200億円)にものぼり、工場と周辺の土地をあわせた総敷地面積は3200エーカー(13平方キロメートル)という広さ。これは単純計算でもタテ4km×ヨコ3kmを超えるという想像を絶する広さで、いわゆる東京ドームに換算すると約280個分に相当。敷地内には、風力発電などの設備も作られる予定です。


ギガファクトリーの建設は2014年6月に開始され、2017年にはバッテリーセルの生産を開始する予定とのこと。その後も生産設備は増強を続けて2020年までには最大生産能力に達することを目指しており、フル生産時に1年間で生産されるリチウムイオン電池の数は、2013年に全世界で生産されたバッテリーの合計数を上回る規模に達すると見込まれています。

なお、ギガファクトリーの建設には、日本のパナソニックが大きく関与しています。テスラとパナソニックはこれまでにもEV用バッテリーの生産で提携しており、ギガファクトリーの建設にあたってパナソニックは20億ドル(約2100億円)という予算を投じています。(ただし、BBCの記者によると「工場名にパナソニックの名前を入れるには足りなかった、とのこと)

2016年7月現在のギガファクトリーの状態がコレ。建設は14%が完了しており、すでに完成した建物にはバッテリー製造に必要な設備が搬入され始めているとのこと。


ギガファクトリーの所在地には「Electric Avenue Sparks, NV 89434」(ネバダ州スパークス、エレクトリック・アベニュー)という、新たな地名が設けられています。ギガファクトリーが本格的に稼働すると、地元で1万人程度の雇用が生まれ、経済効果も期待できることから、ネバダ州政府からは税制上の優遇などの措置を受けています。


取材当日はテスラのイーロン・マスクCEOも参加して説明を行ったとのこと。最新設備が並ぶ工場のため、取材の撮影も厳しく制限されていたそうで、工場内ツアーのガイドにも「これは何の機械、この機械は何を作るもの」という解説を禁止する通達がまわっていたとのことです。


工場内は3階建てとなっており、パナソニックとテスラのフロアで分かれているとのこと。床には資材運搬用の穴が開けられており、パナソニックが生産したセルをテスラに搬送して最終仕上げを行うという流れは、日本でセルを生産して太平洋を渡り、アメリカのテスラの工場に搬入する流れがそのまま再現されているようです。

ギガファクトリーにまつわる数字をズラッと並べてみると、以下のようになります。

・予定建設費用:50億ドル(約5200億円)
・総敷地面積:3200エーカー(13平方キロメートル)
・2016年6月時点で生産設備全体の14%にあたる190万平方フィート(17万7000平方メートル)が完成
・完成すると、生産設備は580万平方フィート(約54万平方メートル)になる
1000人の建設作業員が作業にあたっており、建設は2年前倒しで進んでいる
・2018年までに35ギガワット時(GWh)に相当するバッテリーを供給する予定で、これは2014年に世界中で生産されたバッテリーよりも多くの容量となる。生産規模は最大で150ギガワット時相当にまで増加が可能。

テスラはギガファクトリーの建設を進め、大規模生産によるスケールメリットを活かしてバッテリーのコスト低減を狙っています。特に、EV全体のコストの中でも大部分を占めると言われるバッテリーの価格が下がると、車両価格を下げることが可能になるため、普及価格帯EVの「モデル3」を発売予定のテスラにとっては、ギガファクトリーの成功は命運を分ける大きな砦となっています。


このように、テスラの今後を大きく左右するほど巨大な投資となっているギガファクトリーですが、順風満帆とはいえない状況も存在している模様。建設計画やパートナーとの提携関係に遅れが生じており、目指している「バッテリーコストの30%削減」に黄色信号が灯っているという見方や、一部の建設労働者が作業をボイコットしているという内容が報じられていたこともありました。

「テスラ3」生産にも影響か?バッテリー工場建設にまつわる噂  WEDGE Infinity(ウェッジ)
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/6263

とはいえ、マスクCEOが今後の10年を示す「マスタープラン・パート2」を発表し、乗用車からバス・トラックにまでEVを拡大させる構想を実現する上で、このギガファクトリーは絶対に外すことができない最重要点となっているとみられます。今後の世界的エネルギー政策を変える可能性すら秘めていると言われるテスラの戦略がどのように進められるのか、関心が集まりそうです。

太陽光発電・低価格EV・カーシェアなど、テスラのマスク氏が今後の10年を示した「マスタープラン・パート2」とは? - GIGAZINE

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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