乗り物

自動車をみんなでシェアする「カー・シェアリング」1台につき11人が自動車を所有しなくなる


近年、急速に普及している「カー・シェアリング」サービスによって、都市では自家用車を持たない人が増えています。アメリカの研究者が、都会や田舎などさまざまな地域でカー・シェアリングが普及すると、シェアする自動車1台につき11人が自家用車を手放すようになると試算しています。

Impactsofcar2go_FiveCities_2016.pdf
(PDFファイル)http://innovativemobility.org/wp-content/uploads/2016/07/Impactsofcar2go_FiveCities_2016.pdf

Here's How Many Cars This Car-Sharing Service Killed - CityLab
http://www.citylab.com/commute/2016/07/car2go-car-ownership-vmt-ghg/491825/

アメリカのカリフォルニア大学バークレー校のエリオット・マーチン氏とスーザン・シャヒーン氏は、カーシェアリングサービスによって、自動車の所有形態や交通機関の利用などの生活がどのように変化するのかを調査しました。調査にはカーシェアリングサービスの「car2go」が協力し、カルガリー、サンディアゴ、シアトル、バンクーバー、ワシントンD.C.などの北米の都市で1万人近い人を対象に2014年から2015年にかけて行われました。


car2goは、自動車メーカーのダイムラーが始めたカーシェアリングサービスで、所定の位置であればどこでも乗り捨てることがOKという特長があります。メンバーはスマートフォンアプリで最寄りのカーシェア用自動車を探しだして、メンバーカードを使って自動車を借り、所定のエリア内であれば路上に自由に乗り捨てることができ、利用時間に応じて分単位で使用料が請求されるという利便性で、路上の駐車禁止区域が比較的少ない欧米では高い人気を誇ります。

car2goの仕組みについては以下のムービーを見れば一発で理解できます。

car2go Tutorial Video - English - YouTube


実験ではcar2goを利用している会員に対して、car2goサービスによって「自家用車を手放すか?」「自家用車の購入を控えようと思うか?」などを質問しています。

調査結果では「car2goのおかげで自家用車を売った」と答えのはメンバーのうち2~5%で、比較的都会のワシントンD.C.で高い割合になっています。他方で、「自家用車の購入を控えた」と答えたのはメンバーの7~10%。さらに、利用者数とcar2goの配置台数を加味すると、car2go・1台当たりにつき「自家用車を売った」のは1~3台、「自動車の購入を控えた」のは4~9台。これらを合計したところ、最も影響の少なかったワシントンD.C.でもcar2go・1台につき7台、最も影響の大きかったカルガリーではcar2go・1台につき11台の自動車(自家用車)の需要が失われたことが分かりました。


さらに、調査の結果を分析したところ、car2goを利用することで5つの都市における自家用車全体の累計走行距離を600万から1200万マイル(約960万キロメートルから約1920万キロメートル)分も削減でき、年間あたりCO2の排出量を5300~1万トン削減できるとしています。

なお、調査では一部の公共交通機関を使っている、すなわち普段は自家用車を使っていないユーザーがcar2goを利用して自動車を運転するように生活スタイルを変えることも分かっているとのこと。しかし、全体で見ればcar2goのようなカーシェアリングサービスによって、自動車の台数を減らしてCO2排出量を下げることができ、電車やバスなどを補完するような形でカーシェアリングサービスを配置できる政策が加われば、さらに効果を高められると考えられています。

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in 乗り物,   動画, Posted by darkhorse_log

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