UberやLyftなどの配車サービスが普及することで社会の移動方法はどう変化したのか

By Melies The Bunny

スマートフォンのアプリを使ってタクシーのようにクルマを呼べる配車サービスが街を走るようになり、それまでは自家用車や公共交通機関に頼っていた人の移動方法が変化してきているといわれていますが、その状況を定量的に統計をとったデータはこれまで存在していませんでした。そんな中、カリフォルニア大学デービス校のInstitute of Transportation Studies (交通輸送研究機関)が発表した論文は、初めて配車サービスによる変化を有用なデータとして示すものとなっており、交通全体にどのような影響を与えているのかが示されています。

Disruptive Transportation:The Adoption, Utilization, and Impacts of Ride-Hailing in the United States
(PDF)https://itspubs.ucdavis.edu/wp-content/themes/ucdavis/pubs/download_pdf.php?id=2752

New Research on How Ride-Hailing Impacts Travel Behavior - Features | Planetizen
https://www.planetizen.com/features/95227-new-research-how-ride-hailing-impacts-travel-behavior

Uberなどのサービスはかつて「カーシェアリングサービス」と呼ばれていたこともありましたが、「1台の自動車を複数人で共有・乗り合いして利用する」というカーシェアリングの本来の意味からはまったく異なるものであり、実際には利用料を受け取って乗客を乗せて運ぶという有償サービスとなっています。英語では「Ride-Hailing Service」と呼ばれたり、単純に「Uber」という言葉が一般名詞化していたりともいわれていますが、日本ではサービスの普及がまだそれほど進んでいないこともあり、これといった呼称はないと言える状況。スマートフォンを使って自動車を呼ぶ、という内容から「配車サービス」と表現するのが実情に最も即していると言えるのかもしれません。

研究チームの研究によると、配車サービスが普及したことで人々が公共交通機関や自転車、徒歩で目的地へ移動する機会が以前よりも減っていることが明らかになっているとのこと。都市部では配車サービスが多くの人の足となりつつある状況で、「もしUberやLyftが使えなかったらどうやって移動するか」という問いに対する答えをまとめた以下のグラフでは、「自分で運転する」や「相乗りする」「歩く」といった選択肢をおさえてトップに立ったのが、なんと「出歩く機会を減らす」というもの。なんと「タクシーを使う」という選択肢は、全体の1%という極めて低い水準となっていることも興味深いところ。


このように、人々の足として定着しつつあるアメリカの配車サービスですが、都市部ではその台頭による悪影響も生じ始めているとのこと。その例の一つが、都心部に流入する車両数の増加、ひいては渋滞の発生という問題です。配車サービスを提供する企業などは「従来の交通機関を補完するもの」として配車サービスを挙げていますが、実際にはメインの交通手段となっている例も多く、その結果として交通量が増えているというのは皮肉な結果と言えそう。さらに言えば、自動車の増加による二酸化炭素排出量の増加も一つの事実として挙げることができます。

また、本当の意味での「カーシェアリング」から配車サービスへの移行というトレンドも存在している模様。「30分いくら」といった料金形態で自動車をシェアするカーシェアリングサービスが人気を集めたことがありましたが、配車サービスはこれを上回る勢いで人気を集めているとのこと。カーシェアリングサービスが約15年かけて獲得した顧客数の頭数は北米で200万人、世界規模でも500万人でしたが、配車サービスは過去5年で約2億5000万人のユーザーに利用されているという結果が明らかになっています。

それぞれのサービスを利用する客層が異なるのも興味深いところ。カーシェアリングサービスを利用していた人のモデルは教育レベルが高く、地球環境に関心が高い人というもので、アメリカの人口の約1%程度にとどまっていたとのこと。一方の配車サービスはより幅広い客層に利用されているほか、かつてカーシェアリングを利用していた人の約半数が配車サービスを利用するようになっているとのこと。配車サービスに乗り換えるために、カーシェアリングサービスを使っていた人がアカウントを削除する事例も多数発生していることこともわかっています。

By Nick Harris

このように、配車サービスの普及はいろいろな側面で社会の交通を変えつつあることが明らかにされています。それほど配車サービスが普及していない日本にいるとあまり実感できるものではありませんが、世界ではこのような傾向が見られるというのも興味深いところです。報告書には、他にも以下のような結果が判明していることが記されているとのことです。

・都市部で配車サービスを利用している人の24%が、サービスを「毎日」または「毎週」利用している
・自家用車をやめて配車サービスを利用するようになった人の理由のトップ(37%)が「駐車場」の問題
・大学卒で裕福なアメリカ人が配車サービスを利用する割合は、学歴が低くて収入が低い層の2倍におよぶ
・かつてのカーシェアリングサービス利用者のうち、65%が配車サービスを利用している。その半数以上がカーシェアリングサービスのメンバーシップを終了させており、23%の人が配車サービスに乗り換えたことを主な理由としている、など

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