壱岐と対馬の写真にあった懐かしさで胸を締め付けられそうな「日本」の風景
こんにちは、自転車世界一周の周藤卓也@チャリダーマンです。
2006年に自転車世界一周を始めたとき、第1弾として向かったのはオーストラリアと東南アジアでした。そこから一時帰国をはさんで2009年5月から旅を再開しましたが、地元の福岡を離れて、まず向かったのは壱岐・対馬でした。ここから韓国、中国と繋いで今にいる場所まで旅は続いています。地元を離れてそろそろ3年になるのですが、日本が少し寂しくもあります。そんな中でここまでの旅を振り返ると、壱岐・対馬の写真の中に日本があふれていました。日本人ですから日本の風景が一番落ち着きます。だからこそ、紹介してみようと思いました。
壱岐・対馬はここにあります。
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2009年5月に地元の福岡を離れました。鯉のぼりの季節でした。
定額給付金が騒がれていた頃です。
博多港から壱岐の郷ノ浦行港きのフェリーに乗って旅が始まりました。
壱岐は「丘の島」でした。現在、島には人口約2万8000人の壱岐市しかありませんが、合併前は郷ノ浦町、勝本町、芦辺町、石田町という4つの町が存在しました。4町それぞれに港と中心街があります。港に面した低地に家々が密集していて、漁業とともに発展してきた様子がうかがえます。そこに魚を食べてきた日本人の成り立ちを感じました。
イルカ鼻の灯台
港に停泊していたイカ釣り漁船
庭先に放置されているウニ殻
壱岐で一番高い展望台がある丘の辻(標高212.8m)。壱岐のほぼ全体を見渡せます。
こちらがフェリーで降り立った郷ノ浦町
すべてが新しかった旅立ちです
観光名所のほらほげ地蔵
断崖と風力発電
勝本町の入口にあるイルカ像
港に面してみっしりと住宅が密集しています
勝本町の漁港
飼料でもつくっているのでしょうか
水の張られた田んぼ。田植の時期でした。
風力発電と田んぼ
黒崎砲台跡。この砲台はワシントン軍縮条約において廃棄されることになった戦艦「土佐」の主砲が使われていました。史上最大の戦艦といわれた「大和」の砲弾と比較されています。
ゴリラ岩(猿岩)。これは本当にそっくり。
ゴリラ岩(猿岩)は歩道にもみかけました。
美味しそうな壱岐牛
壱岐では「日本」を再発見しました。
賑やかな屋台が並んでいました。
生活感があふれる地元のスーパーマーケット。
実は日本のリンゴの大きさってスゴイんです。海外でみかけるのは小さなものばかり……。
無人コイン精米機。治安が悪い海外ではほぼ無理ですから。
「もみすり」「残米ゼロ」「石抜装置付」「低温精米」、日本の技術力があります。
瓦屋根
和包丁。海外の包丁は切れないですよ。
スーパーマーケットには刺身のパックがありました。
3日かけて島を一周して郷ノ浦町に戻りました。
こちらが郷ノ浦町の中心街
切り込んだ湾内の頭上を結ぶ大きな橋
壱岐の郷ノ浦港から対馬の厳原港に渡りました
壱岐が「丘の島」なら、対馬は「山の島」です。最高峰の矢立山は標高648mもあります。こちらも現在、島には人口約3万4000人の対馬市しかありません。合併前は峰町、上県町、上対馬町、厳原町、美津島町、豊玉町という6つの町が存在しました。北部の比田勝港と南部の厳原港から、それぞれ壱岐を経由して博多港、そして国際航路として韓国の釜山港とフェリーで結ばれています。
対馬といったらツシマヤマネコ
これが本当のネコバス!?
そしてシイタケも有名です。
シイタケをイメージしたこんな建物もありました。
産地直売の野菜と果物。シイタケも美味しく頂きました。
対馬のへそ地
対馬の最北端の集落である鰐浦(わにうら)
鰐浦の漁港。
鰐浦のヒトツバタゴは日本最大の群生地で国の天然記念物に指定されています。白い花が咲き乱れています。
前の写真にも「韓国展望所」が写っています。対馬を訪れたからには、韓国人観光客を語らないわけにはいけません。壱岐ではそこまで感じませんでしたが、対馬にはたくさんの韓国人の姿がありました。アウトドアウェアで身を固めた姿が印象に残っています。島内にはハングルの表記も目立っていました。
韓国人観光客で賑わっていた韓国展望所
公衆トイレにもハングル文字
民宿の案内の看板にも
「対馬防衛隊」。少し重々しくもありますが、韓国人観光客を歓迎していますよね?
対馬北部にある比田勝港。たくさんの韓国人観光客が行き交っています。
対馬と釜山を結ぶ高速船「Sea Flower Ⅱ号」
韓国人チャリダーとも仲良くなりました。彼らとはソウルで再会して、お世話になりました。
日本でいうグアムやサイパンのように、韓国でいう対馬は手軽な海外旅行の選択にみえました。インドネシアにもシンガポールの近くにバタムやビンタンという観光の島があります。韓国による反日の事例として何かと話題にあがる対馬ですが、地元の人は「韓国人観光客がいなくなると島内の経済は成り立たなくなる」ともこぼしていました。素敵な場所ですから、日本人もたくさん訪れてみて下さい。
琴の大イチョウ。推定樹齢は1500年とされています。
新緑が気持ちよかったもみじ街道
トンネルをたくさんみかけたのも日本ならでは
オシャレなガーデニング
バス停は冬の厳しい北風を避けるために小屋となっています
穏やかな入り江
民家と柴犬、とってもほのぼのとした気持ちになれませんか。
対馬のちょうど南北の中間に位置し、上島と下島の境になる万関橋。
万関瀬戸の運河。南北に細長い対馬の航路短縮のため、1900年に人工的に開削されました。
小茂田浜神社。ここの近くには元寇の合戦場があり、その際に戦って亡くなった人たちが祭られています。
農作業をする人とトンビ。
椎根の石屋根倉庫。冬季の強い北風を防ぐため、屋根に石を用いたといわれています。
このように屋根に板のように平たい石が使われています
側面から見た様子
見事なバランスで積み上げられて屋根を作っています
どっしりとした貫禄をみせる対馬南部の山
緑しか見えない風景
大きく目だった集落
標高差のあるヘアピンカーブの先には……
海に面して小さな集落があったりします
対馬の中心地である厳原の市街の様子
この壱岐・対馬で新しく組み上げた自転車の調子を試して、「これでは料理できない」とマイ包丁を送ってもらい、洗面器だけではイマイチだったので洗濯板を手に入れたりして、これからの旅の準備を整えました。
そして、対馬の厳原から韓国の釜山に渡ります。旅が始まっていくのでした。
日本にはたくさんの離島があります。利尻島・礼文島、伊豆諸島や小笠原諸島、佐渡島、隠岐島、小豆島、五島列島、奄美諸島、先島諸島……。自分にとって日本の離島を旅することは、自転車世界一周が終ってからの夢の一つでもあります。離島には離島の空気が流れていて旅を感じさせてくれます。今回記事にした壱岐・対馬に限らず多くの離島で過疎化が進んで深刻な問題となっています。だからこそ、訪れることで離島を盛り上げることも大切でしょう。離島は日本という国について改めて考えさせてくれます。
早く日本に帰りたくなりました。
(文・写真:周藤卓也@チャリダーマン
自転車世界一周取材中 http://shuutak.com)
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