若者が「理想の相手」と友達になれる可能性は低く自分とよく似た相手と友達になりやすいとの研究結果

学校や職場で人気があったり優秀だったりする人を見て、「あの人と友達になれたらいいな」と思った経験がある人も多いはず。しかし700人以上の若者を対象にした新たな研究では、「理想の相手」と実際に友達になれる可能性は低く、結局は自分とよく似た相手と友達になりやすいという結果が示されました。
The Friends They Have and the Friends They Want: Why Friendship Aspirations Usually Fail - Lucinda Sherrod, Molly Selover, Gilly Kahn, Goda Kaniušonytė, Brett Laursen, 2026
https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/02654075261461795
New research reveals friends students want versus the friends they actually make
https://www.psypost.org/new-research-reveals-friends-students-want-versus-the-friends-they-actually-make/
子どもや若者が友人関係を育むことは感情的な支えになり、仲間意識の形成や社会的・学業的な幸福に大きな役割を果たします。しかし、若者がどのような動機で「友達になりたい相手」を選ぶのか、そして実際に理想の相手と友達になれるのかといった点はよくわかっていません。アメリカのフロリダ・アトランティック大学で心理学教授を務めるブレット・ラウルセン氏は、心理学系メディアのPsyPostに「研究者たちは若者がすでに持っている友人については多くのことを知っていますが、彼らが友人として望む人物については驚くほど何も知りません」と述べています。
そこでラウルセン氏らの研究チームは、若者がどのような相手と友達になりたいと思っているのか、そして友達候補への理想が現実的な関係に結びつくのかどうかを調べる研究を行いました。研究チームが特に注目したのは、思春期の若者がたとえ友達関係に発展する可能性が低くても魅力的な相手に引かれるのか、それとも自分との共通点が多い相手を選ぶのかという点だったとのこと。
今回の研究では、すでに友達関係になっている「既存の友人」と、友達になりたいと思っている「理想の友人」が区別されました。これまでの社会行動モデルでは、理想の友人を選ぶ際に「自分の社会的地位を高めるためにより地位の高い相手とつながろうとする」という戦略と、「相性や共通特性に焦点を当てて自分と似たような考え方をする相手とつながろうとする」という戦略の2つがあることが示唆されています。

研究チームは2つの独立した調査を行い、合計725人の青少年から縦断的なデータを収集しました。1つ目の調査では、南フロリダの公立小学校に通う5年生と6年生の合計279人を対象に、学年の前半である冬と学年の終わりに近づいた春にアンケート調査を実施。生徒は「友達になりたいクラスメイト(理想の友人)」と「すでに友達になっているクラスメイト(既存の友人)」をそれぞれ10人回答しました。
さらに生徒たちは、「学業成績」「楽しさ」「人気」「不人気」といった評価基準に当てはまるクラスメイトについても回答しました。これらのデータを使うことで、研究チームは各生徒の「理想の友人」と「既存の友人」の社会的地位や個人的特性を測定することができました。
2つ目の調査では、南フロリダの中学生219人と東欧・リトアニアの中学生227人が対象となり、学年の前半である秋と学年の終わりに近づいた春にアンケート調査を実施しました。なお、南フロリダの中学校では大きなグループの中から交代で選ばれたメンバーと授業を受けていた一方、リトアニアの中学校では学年を通じて同じ教師およびクラスメイトと過ごしたという違いがあったとのこと。
生徒たちは1つ目の調査と同様に「友達になりたいクラスメイト」と「すでに友達になっているクラスメイト」、そしてさまざまな評価基準に当てはまるクラスメイトの名前を挙げました。また、2つ目の調査では「運動能力が高い」「容姿端麗」といった項目についても回答させたそうです。

データを分析した結果、「友達になりたいクラスメイト」と実際に友達関係になるケースはまれであることが判明。なお、ここでの実際の友達関係とは、「すでに友達になっているクラスメイト」にお互いが名前を挙げた関係を指しています。ラウルセン氏は、「私たちが特に驚いたのは、望んでいた友人が後に相互の友人になったケースが非常に少なかったことです。こうした願望のうち、学年後半に相互の友情が形成されたのはわずか5%程度でした」と述べています。この傾向は環境や学年に関係なく一貫としてみられました。
友達になりたいクラスメイトとして頻繁に名前が挙げられた生徒たちは、そうでない生徒たちと比較して学業成績・運動能力・容姿・楽しさ・人気について高いスコアを示しました。また、不人気の度合いも低かったことから、生徒たちは社会的地位が高いクラスメイトと友達になりたがっていたことがわかります。ラウルセン氏は、一見すると最も重要そうな「人気」という評価基準はあくまで要素のひとつに過ぎず、生徒はその他の幅広い資質を合わせてクラスメイトを評価していたと指摘しています。
生徒たちが理想の相手と友人になれない理由について調べるため、研究チームは統計ツールを用いることで生徒と理想の相手との類似性を測定しました。その結果、生徒たちは「友達になりたいクラスメイト」とはあまり似ていなかった一方で、「すでに友達になっているクラスメイト」とは非常に高い類似性を示していたことが判明。既存の友人は運動能力・容姿・人気・学業成績において類似したレベルだったとのことです。
ラウルセン氏は「重要な点は、誰かを遠くから見た時に魅力的に感じさせている要素が、必ずしも友情を築く上で重要だとは限らないということです。友情への憧れは社会的に評価される資質を重視する傾向にあるのに対し、実際の友情は相性や共通点、そして互いに充実感を得られる交流の機会により大きく左右されるようです」と述べました。

今回の研究結果は、現実的な友人関係よりも理想的な友人関係を優先することは、一部の子どもにとって有意義な友人関係の形成を阻害する可能性を示唆しています。そのため、友人がいない子どもに対して親や教師が介入する場合は、「相性のいい仲間と共通の活動をする機会」の提供に重点を置くべきといえます。
なお、今回の研究では生徒たちが「友達になりたいクラスメイト」を選んだ具体的な動機や、その意図については特定されていません。つまり、生徒たちは現実に友達関係を築きたいと思って名前を挙げたのか、無理だとは思いつつダメ元で名前を挙げたのか、あるいは「人気がありそうだから」というだけの理由で名前を挙げたのかはわかりません。また、理想の相手と友人になれなかったことがどのような感情的影響を与えたのかについても不明です。
今後の研究では、生徒たちが特定の相手と友人になりたい理由を尋ね、関係がどのように発展することを期待しているのかを具体的に調べることで、現実的な目標と夢想的な願望を区別できます。また、ラウルセン氏は「友達になりたい相手と実際に友達になれたケース」について調べ、実際に友情が形成される要素について理解したいと主張。「こうした関係にはより高い相性、より多くの交流の機会、あるいはより強い相互の関心などが関係しているのかもしれません」と述べました。
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