物語に「どんでん返し」を仕込むための6つのヒント

物語のターニングポイントやクライマックスで、それまでの読者の予想やイメージを覆す「どんでん返し」がある物語は、驚きがあって印象に強く残ります。魅力的などんでん返しを実現するために押さえておきたい6つのポイントについて、ジャーナリスト兼作家のジェシー・ガルシア氏が解説しています。
6 Tips For Pulling Off a Really Good Plot Twist ‹ CrimeReads
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物語の途中で「実は○○だった」と明かしたり、「あれは○○ではなく××」とそれまでの印象を覆したりすると、読者に衝撃を与えて楽しませることができます。しかし、明かされる事実につながる手がかりがまったく提示されていなかったり、逆に手がかりが露骨すぎてどんでん返しがバレバレだったりすると、読者がイライラして冷めてしまうこともあります。
ガルシア氏は、本当に良いどんでん返しを実現するためにはどのようなアイデアが適しているのか、どういった要素に注意するべきかについて、6つのポイントを提案しています。
1:信頼できない語り手
「信頼できない語り手」は物語の技法のひとつで、アメリカの文芸評論家ウェイン・ブースが1961年の著書「フィクションの修辞学」で紹介した「一人称の語り手は信頼できない語り手である」という論です。三人称視点で描写される物語は、基本的に神の視点のためウソをついたり勘違いしたりすることはありませんが、一人称の視点は主人公の思考で常に描写されるため、意図的に情報や感情を隠したり見たものを勘違いしたりしたまま進めて、後に真実を明かす構成が作りやすいです。

2:強力なバックストーリー
たとえば、「主人公が週末友達と集まるのを楽しみにしているが、遊ぶためではなく友達を殺害するためである」というどんでん返しを信頼できない語り手によって仕込む場合、ただ情報を隠して「実はこうだった」と明かすだけだと、読者に衝撃を与えるためだけにやったように感じられて安っぽくなるとガルシア氏は指摘しています。どんでん返しをする前に、主人公の性格や感情、過去の経験についてしっかり読者に理解させることで、真実を明かした際に納得感を高めることができます。
3:手がかりの提示
犯罪に手を染める意図がある場合、その人物はそのための準備をしています。しかし、突然カバンからナイフや毒物を取り出しても、ただ狂気を解放させただけになってしまうはず。そのため、キャンプに使うためにナイフを用意していたり、目薬の容器に毒物を仕込んでいたため目がかゆいのに目薬を差していなかったりと、後から「なるほど!」と気付ける程度の手がかりを露骨にならないように提示しておくのが理想的です。
4:手がかりを仕込む方法
手がかりを明確に示しながらバレバレにならない方法論として、ガルシア氏は2種類のテクニックを提案しています。ひとつは、長い説明文の中に忍び込ませることで、読者にさらっと流してもらう方法です。ガルシア氏が例示した以下の文では、水槽の中に隠された「宝箱」が後に重要な意味を持ちますが、多数のオブジェクトにまぎれて注目しにくくなっています。
ケンが水槽をこだわった装飾品で彩っているのを見て、私は笑顔になりました。海藻や植物、色とりどりの珊瑚、宝石がちりばめられた小さな宝箱、スキューバダイビングのアイテムのミニチュア、そして小魚が出入りできるほど立派な沈没船のフィギュア。
ガルシア氏が提案したふたつめの手法は、手がかりの直後に読者の注意をそらすような出来事を起こすことです。以下の文では、「1泊の旅行をするだけなのに目薬を2つも用意している」という違和感があるシーンの直後に大きくカットインするような出来事を発生させることで、違和感を忘れて次の展開に注目させています。
私は1泊分の荷物を用意していて、目薬の大きなボトル1本をメインのポケットに、もう1本を小さなポケットに入れたところで、ドアベルが鋭い音を立てたためびっくりしました。外をのぞくと、1時間早く来た友人でした。まだここにいるはずがないのに、どうやって、なんでここに来たのでしょう。何かがおかしい。
5:信じられる範囲のどんでん返しにする
「実は○○だった」と明かすどんでん返しのパターンとして、「実は絵本の世界だった」「実は宇宙人がいて超常パワーでトラブルを丸ごと解決した」といった非現実的な内容は、読者に大きな衝撃を与えることはできます。しかし、仮にそれっぽい手がかりが提示されていたとしてもあまりに荒唐無稽すぎて、二度と同じ作者の本は読まないと思うほど嫌われてしまう可能性もあります。ガルシア氏によると、荒唐無稽な事実を後に明かす作品は、作品のジャンルが明確であるという下地が重要とのこと。

by 「勇者で社畜の兼業ライフ」第8話「勇者と社畜と世界の謎」
6:その他の細かいヒント
どんでん返しをするためには手がかりを仕込む必要はありますが、どんでん返しのためにちりばめた手がかりをすべて回収しないでいると、「言及されなかったあの描写はなんだったんだ?」と読者に不満足を与えたまま終えてしまいます。最後に物語が解決したとき、未解決の部分がないように注意することが重要です。
また、プロットの構想時点ですべての結末とそのための手がかりが固まっていればその通り構築していくことができますが、必ずしもそうではありません。最初は重要ではなかった人物を大事な場面で関与させられると気付いたり、途中で新しく面白い手がかりを仕込んだりと、書き進めた時こそ気付けるポイントもあります。「どんでん返しを構築するのは、読者のために巨大なパーティゲームや脱出ゲームを企画するのと同じようなもので、とても楽しいです。書きながら初期の構想から軌道を変えていくことを恐れずに、自由に広げていくことをオススメします」とガルシア氏は語りました。
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