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物語に質感と深みを与える「サブプロット」と「プロットフィラメント」とは?


「プロット」とは、物語を作る上であらすじや設定、展開のきっかけとオチなどを書きだして、設計図として用いるもの。プロットを固めることで複雑な物語を整理できたり、面白い点を際立たせたりといった効果がありますが、さらに物語のクオリティを上げるために役立つ「サブプロット」と「プロットフィラメント」の技法について、小説家のマイケル・クラフト氏が解説しています。

How Subplots and Plot Filaments Lend Texture and Depth to Any Novel ‹ CrimeReads
https://crimereads.com/subplot-novel-craft/


創作をする人の中には、最初からプロットの制作は必要ないと考える人もいれば、プロットを作っても実際に物語を始めるとプロットから離れていく人もいます。「プロットは本当に必要なのか?」という問題について、スタンフォード大学医学部の教授でありベストセラー作家でもあるアブラハム・ベルギーズ氏は、「プロットから逸脱してストーリーを作った場合でも、それに合わせてプロットを変化させるという作業は大事です。私は物語を整理するためにプロットを詳細に作りますが、同時に物語を進めながら展開が変わっていく『書くプロセス』も信頼しています」と話しています。

物語を創作する際に詳細なプロットは作るべきなのか不要なのか? - GIGAZINE


クラフト氏によると、一部の文学界や学術界では、「プロット主導の小説は時代遅れで、立体感のない二次元的な作品になる」と考えられているそうです。一方で、キャラクター主導の物語を作る作家にとっては、プロットは価値のある目標と見なされているとクラフト氏は指摘しています。特に、ミステリー小説などストーリーテリングが重要な物語では、精神的な上昇と下降、安全と危険を行き来する展開、気付きと絶望、とプロットを用いて要約された情報でストーリー構造を確認すると作品のクオリティを上げることができます。

さらにクラフト氏は、より物語のクオリティを上げる為に用いている「サブプロット」という技法について解説しています。プロットは主にキャラクターが何をして、物語がどのように動くかを記していますが、サブプロットでは主に「各キャラクターの肉付け」をする補完的な内容となります。


クラフト氏の場合、主なサブプロットとしてはロマンスないしラブストーリーを扱っているそうです。物語全体としては重要な情報にはならないとしても、各キャラクターの個人的な心情や人間関係をサブプロットとして書き留めておくことで大きな利益を得ることができるとクラフト氏は述べています。また、サブプロットが発展すると、主人公が続編に登場する際に一貫したキャラクター性を維持できたり、他の物語に登場したりといった効果も提供してくれることがあるとのこと。

サブプロットに加えてもう1点、クラフト氏が「より小規模なサブプロット」として好んで用いているのが「プロットフィラメント」です。プロットやサブプロットが物語の概要を作るために事前に準備されるのとは異なり、プロットフィラメントは原稿を書き進める中でストーリーから創造的かつ有機的に湧き出てくるものです。大抵の場合、プロットフィラメントはキャラクターの肉付けに使われますが、面白さやユーモラスさ、興味深さを加えることでストーリーの質感や深みを増す役に立つケースもあるとのこと。


また、プロットフィラメントは物語に「ディティールを感じさせる層」を追加し、ちょっとした驚きや気付きを提供します。そのため、プロットフィラメントはメインのプロットを進めるために役立つものではありませんが、読者の興味を刺激し維持し続けることで、プロットをサポートする役割を果たすものとなっています。

プロットおよびサブプロット、プロットフィラメントの使い方について、クラフト氏は「事件の始まり、捜査、解決」の単純な3部構成のミステリーを例に挙げて説明しています。


ミステリーの第1部では主題となる事件が発生し、同時に物語の舞台や登場人物が紹介されます。第2部が一般的にもっとも長いセクションで、捜査を進めたり手がかりを見つけたり容疑者を検討したりと、解決までの前フリを続けます。第3部は最も短いセクションとなり、全てを解決して物語の終わりへ向かいます。

クラフト氏は、古代ギリシアの哲学者・アリストテレスが「上昇と下降の動意」に言及したことを引用して、物語をずっとトップギアのまま進行させることはできないと指摘しています。その一方で、小説の初心者はよく「中だるみ」を意識しすぎて、物語に緩急を付けるのを恐れてしまいがちとのこと。

ストーリーが盛り上がる場面から次の盛り上がる場面までには長い道のりが必要になるため、その間に「次はどんな展開なんだろう」と読者を引きつけてページをめくってもらうことが本質的な課題です。このために役立つのがサブプロットとプロットフィラメントで、予期せぬ小さな謎を物語に重ねたり、キャラクターの行動で笑いを誘ったりと、読者の興味を高めることが理想的であるとクラフト氏はまとめています。

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in メモ, Posted by log1e_dh

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