謎のAMD製サーバー用CPU「EPYC 7C13」を買ったらコスパ良好な掘り出し物だったとのレポート
AMDの「AMD EPYC 7C13」は、価格が2000ドル(約30万円)前後とサーバー向けCPUとしては安価なのにもかかわらず、負荷テストで優れた結果を出したと、テクノロジー系メディアのServe The Homeが報じています。
AMD EPYC 7C13 is a Surprisingly Cheap and Good CPU
https://www.servethehome.com/amd-epyc-7c13-is-a-surprisingly-cheap-and-good-cpu/
Serve The Homeは、通販サイト・Neweggでそれまで見たことがなかった「AMD EPYC 7C13」というCPUを搭載したサーバーを発見し、さっそく数台購入してその性能のテストしてみました。
lscpuコマンドを用いてCPUの情報を表示すると、AMD EPYC 7C13は64コアと256MBのL3キャッシュを備えた第3世代EPYCプロセッサの「AMD EPYC 7003」がベースになっていることが判明しました。
さらにハードウェアの情報を表示するdmidecodeコマンドを実行すると、AMD EPYC 7C13はOSに最大速度3700MHzで情報を伝えられることが明らかになりました。
AMDのページには、AMD EPYC 7C13についての公式仕様が掲載されており、AMD EPYC 7C13は2017年までのIntel Xeonプロセッサーと同じく熱設計電力(TDP)を165Wまで下げることが可能です。
AMD EPYC 7C13は一般流通していないことから、Serve The Homeは「一部の機能がロックされているのではないか」と推測。しかし、AMD EPYC 7C13に仮想化プラットフォームの「Proxmox VE 8.1」をインストールすると、問題なく実行されました。
さらにServe The Homeはstress-ngコマンドを実行して、AMD EPYC 7C13に負荷をかけた際の動作を確認しました。その結果、CPUクロックは2.42~2.43GHzの範囲で推移し、電力消費量が一時230Wを越えたものの、基本的に225W程度で推移していたことが報告されています。
また、Serve The Homeがメモリ512GB、OCP 3.0規格に準拠したネットワークインターフェースカード、容量3.84TBのPCIe Gen4 NVMe SSDを2枚搭載したサーバーにAMD EPYC 7C13を導入して動作をチェックしてみると、アイドル状態の消費電力は83.3W、最大負荷状態の消費電力はわずが333.3Wでした。
この結果は、16コアのIntel Xeon E5-2600 v4とほぼ同じでした。しかし、Intel Xeon E5-2600 v4はデュアルソケットサーバー向けなのに対し、AMD EPYC 7C13はシングルソケットであることから、実際の性能と消費電力はAMD EPYC 7C13が上回っているとのこと。
また、Serve The Homeによると、AMD EPYC 7C13の構成に最も近い、一般流通している製品はAMD EPYC 7713Pですが、この製品の定価は5000ドル(約75万円)と比較的高額とのこと。そのため、わずか2000ドルで購入可能なEPYC 7C13はデータセンター向けCPUを選ぶ際の別の選択肢となり得ます。
Serve The HomeはAMD EPYC 7C13について「このCPUを手に入れることができれば、従来のサーバーのパーツを新しいパーツに変えたい一方で、できる限り安く済ませたいと考えている人にとっては、非常に価値のあるものになるかもしれません」と述べています。
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