バッテリーの供給量は指数関数的に増大しており今後も供給量が拡大することがよく分かる6個のグラフ
クリーンエネルギーへの移行を推進する非営利団体「RMI」がバッテリーの出荷量の推移や重量エネルギー密度の推移などの分析結果を6個のグラフにまとめて公開しました。
The Rise of Batteries in Six Charts and Not Too Many Numbers - RMI
https://rmi.org/the-rise-of-batteries-in-six-charts-and-not-too-many-numbers/
◆バッテリーの出荷量は急激に増加している
以下のグラフは横軸が年、縦軸が世界中で出荷されたバッテリーの合計電力量(GWh)を示しています。バッテリーの出荷量は2~3年ごとに倍増する勢いで増加しており、平均すると増加率は毎年33%となります。出荷先の分野を確認すると、特に電気自動車(紺色と水色)を対象にした出荷が大きな割合を占めていることが分かります。
◆品質は向上しコストは減少
以下のグラフは青色の線がバッテリーの重量エネルギー密度の推移を示し、緑色の線がバッテリー価格の推移を示しています。過去30年間で重量エネルギー密度は約5倍に増大しており、コストは99%も下落しています。
◆用途は広がり続ける
RMIは「バッテリーのコスト現象や容量密度増大に伴ってバッテリーは広がる」「ある市場でバッテリーが採用されることで技術革新が起き、他の市場でもバッテリーが採用されるようになる」という現象を「バッテリーのドミノ効果」と呼称しています。「二輪車および三輪車」「バス」「自家用車」「積載量の小さいトラック」「エネルギー貯蔵システム」「積載量の大きいトラック」「電車、船舶、飛行機」におけるバッテリー採用モデルのシェアを示したグラフが以下。RMIは「自家用車におけるバッテリーの採用が広がるにつれてバッテリー貯蔵システムや積載量の小さいトラックにおけるバッテリーの採用も広がろうとしている」「2030年までに船舶や飛行機においてもバッテリー採用モデルのシェアが拡大する」と指摘しています。
◆既存の予測モデルを超える成長を記録
以下のグラフは横軸が年、縦軸が自動車用のバッテリー需要(GWh)で、青色の線が実測値、赤色の線が国際エネルギー機関(IEA)による予測を示しています。IEAが2018年移行毎年予測を上方修正していますが、実際の需要は予測を上回る勢いで増大しています。RMIは「IEAによる直線的な予測モデルは単純に間違っており、実際の需要は指数関数的に増大している」と指摘しています。
◆バッテリーの成長は「速い」か「もっと速い」
バッテリーの「重量エネルギー密度の向上」「価格の減少」「市場シェアの拡大」について、アナリストは「速い」もしくは「遅い」のいずれかに転じることを考慮して予測モデルを構築しがちです。しかし、RMIはバッテリーを巡る動きが減速することは考えにくいと指摘し、「速い」もしくは「もっと速い」のいずれかに転じると考えた場合の予測モデルを示しています。RMIの導き出した予測によると、2030年にはバッテリーの重量エネルギー密度が600~800Wh/kgに達し、コストは1kWh当たり32~54ドル(約4800円~8000円)まで低下し、バッテリー販売量は年間5.5~8TWhに達するとのこと。
◆化石燃料の段階的な廃止
以下のグラフは世界中の二酸化炭素排出量がバッテリーによってどれだけ減らせるかを示しています。すでに電気自動車の普及によってガソリンの需要が減少しつつあるほか、バッテリーを用いたエネルギー貯蔵システムの普及によってエネルギー生産に変革がもたらされることが期待されています。RMIは、バッテリーの普及によって道路輸送における化石燃料需要が年間86エクサジュール減少し、海上輸送と航空輸送における化石燃料需要が年間25エクサジュール減少すると予測。さらに、バッテリー貯蔵システムによって太陽光発電や風力発電の効率が最大化し、エネルギー生産における化石燃料需要が年間175エクサジュール減少すると予測しています。
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