「電気自動車がクリーンでエコな乗り物とは限らない」というサイクリストの主張

by Håkan Dahlström

オランダは環境問題と再生可能エネルギーの普及に積極的に取り組んでいる国で、2025年以降は電気自動車以外の販売を禁じようとする動きがあるなど、電気自動車の導入を推進しています。しかしオランダ在住のサイクリストであるDavid Hembrowさんは「オランダにおける電気自動車の導入推進政策が環境問題の解決にはつながるとは言えない」と指摘しています。

A view from the cycle path: Business as usual by driving a "Green car" vs. actually using a genuinely clean and green mode of transport
http://www.aviewfromthecyclepath.com/2017/09/business-as-usual-by-driving-green-car.html


かつて、自動車の燃料となるガソリンは鉛を含んでいました。しかし排気ガスに含まれる鉛が健康被害を引き起こすことが判明し、レギュラーガソリンは無鉛ガソリンに置き換わり、日本でも1975年以降にはレギュラーガソリンが完全無鉛化しています。また技術の進歩によって燃料効率も上がり、確かに車1台が環境に与える影響は影響は昔よりも小さくなりました。

そこでDavidさんは1950年代のBMCミニBMWミニ、そして日産・リーフが64kmを走った時の一台あたりの二酸化炭素排出量を調査した結果、BMCミニは約10.4kg、BMWミニは約11.9kgの二酸化炭素を排出していることが分かりました。エンジンの性能は上がっても、快適性や安全性の向上も車は改良され、ミニの重量は2倍近くに増えてしまい、結果的に二酸化炭素排出量はそれほど変わっていなかったとのこと。


以下のグラフに示される赤い線(自動車の台数)の推移を見ると、オランダでは1950年代以降、自動車の台数は毎年増加の傾向にあることが分かります。1950年代に比べると2010年代の自動車台数は10倍近くになっているとのことで、メーカーの技術革新によって1台あたりの二酸化炭素排出量が少し減ったとしても、自動車台数の著しい増加を鑑みると、自動車による二酸化炭素の総排出量はむしろ増加しているとDavidさんは主張しています。これは車だけではなく、飛行機や大型船にも当てはまるとのこと。


さらに、電気自動車の日産・リーフは一見すると二酸化炭素排出量がほぼ0ですが、Davidさんは「電気自動車が64kmを走るために消費する電力を作り出すには約9.9kgの二酸化炭素が排出されてしまう」と主張します。

オランダでは、1950年代は電力のほぼ全てを石炭による火力発電で担っている状態だったのが、2010年代には石炭燃焼による電力は全体の約25%と、割合で見ると大きく減っています。しかし、2010年代の電気消費量は1950年代のおよそ8倍に増えているため、石炭の燃焼量は60年前のおよそ2倍になっています。オランダは再生可能エネルギーを積極的に取り入れようとしていますが、風力発電や太陽光発電は現状では非効率的と言わざるを得ず、電気自動車の運用を十分に支えることはできないとDavidさんは言います。


結果として二酸化炭素排出量を減らすためには車の台数を減らすしかなく、自動車メーカーがアピールする「クリーン&エコ」はお金を稼ぐためだけの幻想に過ぎない、とDavidさんは主張しています。さらに「自動車よりも自転車のほうがずっとクリーンで効率的です。自転車推進国であるはずのオランダは新しい自動車を購入する助成金は出すのに、自転車用通路の整備やベロモービルに対しては補助金を出していないのです」と嘆いていました。

by European Cyclists' Federation

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in 乗り物, Posted by log1i_yk