フランス・パリで古い自動車を締め出す措置、1997年以前の車は市内を走行できない法律が施行へ
By Neil Howard
パリでは2016年7月1日を境に、1997年以前に登録された自動車は週末を除いて市内を走行できなくなる法律が施行されることになりました。歴史ある街並みが残るパリで意外ともいえる法律が施行されることになった背景には、一刻を争うレベルの環境問題が存在しています。
Paris : les voitures d’avant 1997 seront bien interdites de circulation à partir du 1er juillet, Collectivités locales
http://www.lesechos.fr/politique-societe/regions/021979726430-paris-les-voitures-davant-1997-seront-bien-interdites-de-circulation-a-partir-du-1er-juillet-2002394.php
Paris bans pre-1997 cars from its streets during the week | Ars Technica
http://arstechnica.com/cars/2016/06/paris-bans-pre-1997-cars-from-its-streets-during-the-week/
Older cars will be banned from Paris as of July | The Verge
http://www.theverge.com/2016/6/1/11818990/paris-old-car-ban-pollution-smog-traffic
過去数年にわたって大気汚染が深刻化し、一時は中国の北京を上回る世界最悪レベルの汚染にも達していたパリでは、大気汚染対策として市内を通行する車両を半減する措置などの対策がとられてきました。この時は、ナンバープレートの末尾の数字を奇数と偶数に分け、いずれかの車両と電気自動車およびハイブリッド車、3人以上が乗車している車両に限り通行が許可されていたのですが、2016年7月から施行される新たなルールでは1996年12月31日以前に登録された自動車と、1999年12月31日以前に登録された2輪車は、月曜から金曜の間はパリ中心部で運転することが禁止されることになります。
車両の分類はヨーロッパ連合が定める「EU圏内統一排出ガス規制」に基づいて行われることになります。また、規制そのものも今後数年にわたって徐々に強化され、2020年時点では2011年以降に生産された車両のみが通行を許可されるようになります。規制に違反して車両を運転した場合は、35ユーロから450ユーロ(約4000円~5万4000円)の違反金を課せられるとのこと。
この規制によって影響を受ける車両は3万台程度のガソリン車及びディーゼル車とみられており、これは全体の1割程度にあたる数とのこと。しかし、これらの車両が問題となっている排気物質のおよそ半分を排出しているという試算もあることから、環境がどの程度改善されることになるのか、注目が集まりそうです。また、影響を受ける層の多くは古い自動車を業務に使っている零細企業となるとも見られています。
ちなみに、2014年時点で報じられていたパリのスモッグの様子はこんな感じ。「花の都」とも称されるパリは、早急な対応が求められる状況になりつつあるようです。
Paris smog: scientific explanation for worsening air pollution in France - YouTube
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