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OpenAIのCEOを退任して12日で電撃復帰したサム・アルトマンがインタビューに応じるも「なぜ解雇されたのか?」という問題の核心には回答拒否


2023年11月、チャットAIのChatGPTや画像生成AIのDALL・Eなどを開発するOpenAIサム・アルトマン氏のCEO退任・退職が発表され、12日後にCEOに復帰するという一幕がありました。この電撃的な退任・復帰について、ニュースサイトのThe Vergeがアルトマン氏とCTOのミラ・ムラティ氏に直撃し、いくつかの回答を得ています。

Sam Altman explains being fired and rehired by OpenAI - The Verge
https://www.theverge.com/2023/11/29/23982046/sam-altman-interview-openai-ceo-rehired


現地時間の2023年11月17日、OpenAIはサム・アルトマンCEOの退任および退社を発表しました。この退任・退社はアルトマン氏が申し入れたものではなく、実質的に取締役会によるアルトマン氏の追放であったことがわかっています。

AI開発企業・OpenAIのサム・アルトマンCEOが退任、暫定CEOにミラ・ムラティCTO - GIGAZINE


アルトマン氏の退任には内外から強い反発があり、発表から12日後、アルトマン氏はOpenAIのCEOに復帰しました。

サム・アルトマンがOpenAIのCEOに復帰 - GIGAZINE


The Vergeはインタビュー冒頭で「なぜ解雇されたと思いますか?」と率直に切り込んでいます。しかしアルトマン氏は「取締役会は独立した調査を行う予定です。それは大歓迎です。しかし、今はこれ以上言うことがありません。詳細を知れるようになることを楽しみにしています」と述べ、解雇・追放の原因への言及は避けました。

アルトマン氏はOpenAIへの復帰をXで発表した際に、「私と取締役会のメンバーとの間に大きな誤解があったことは明らかです」と述べています。


この誤解の正体についてThe Vergeが尋ねたところ、アルトマン氏は「それについてはまだ話す準備ができていません。調査プロセスを実行することが非常に重要だと思います。前向きなことなら何でも喜んでお話します。そして、ここで起こったことについて喜んで話せる時が来ると思いますが、今はそうではありません」と述べました。なお、アルトマン氏は話せない理由を「調査プロセスに干渉したくないため」とも語っています。


さらに、OpenAIの共同創設者であり主任研究員でもありアルトマン氏の追放を主導したとも言われているイルヤ・サツキヴァー氏について、The Vergeは「なぜサツキヴァー氏はアルトマン派に心変わりしたのか?」をアルトマン氏に尋ねています。しかし、アルトマン氏は「わかりません。それはイルヤに聞いてみてください」と回答しました。なお、アルトマン氏の解雇・復帰劇によりサツキヴァー氏はOpenAIの取締役会のメンバーから外れています。

アルトマン氏はCEO復帰の際の声明でサツキヴァー氏について「私はイルヤを愛し、尊敬しています。彼はこの分野にとって導きの光であり、宝石のような人間だと思います。私は彼に対して悪意を全く持っていません。今後、イルヤが取締役を務めることはありませんが、我々は協力関係を継続したいと考えており、彼がOpenAIでの仕事をどのように継続できるかについて話し合いを進めています」と言及していました。


続いて、The Vergeは「OpenAIへの復帰を決めることとなった主な原動力は何でしょうか?」と尋ねています。これに対してアルトマン氏は、「本当に面白かったです。土曜日(11月18日)の朝、取締役会の何人かが私に電話をかけ、復帰を打診してきました。私の最初の反応は反抗的な、『ああ、私は傷ついて怒っている。最悪だ』といったようなものでした。そしてすぐ、私がOpenAIを本当に愛していて、4年半フルタイムで働くよりもはるかに多くの時間と自分の命を会社に注いできたことを思い出しました。そして、私がとても大切にしている使命、つまりは安全で有益な汎用人工知能(AGI)の開発という使命において、大きな進歩を遂げてきたことを思い出しました。また、OpenAIの社員と我々に賭けてくれたすべてのパートナー、ミラや経営陣もすべて同様に努力を重ねてきたことを思い出しました。そのため、最悪の気分やエゴから抜け出して『もちろん復帰したい』と思えるようになるまで、数分の時間がかかった程度です」と回答。

アルトマン氏の解雇・復帰劇の中で、OpenAIの従業員がアルトマン氏を支持していたことは明らかでした。これについてアルトマン氏は、「間違いなく、我々はより強力で統一され、集中力と献身的なチームでこの状況を乗り越えました。以前は私たちには素晴らしい信念と集中力があると思っていましたが、今ではそれ以上のものを持ち合わせていると思うようになりました」「解雇・復帰劇の中で、我々はひとりの従業員も、ひとりの顧客も失うことがありませんでした。管理が非常に難しい状況の中であってもOpenAIは製品を維持しただけでなく、新機能のリリースも完璧に行いました」と述べ、自身の復帰を支持しながら新機能や新製品の開発を止めなかった従業員を称賛しています。

さらに取締役会への復帰を望んでいるか聞かれたアルトマン氏は、「それは今の私の焦点ではありません。私には非常に困難で重要かつ緊急の仕事が山ほどあります。私は自分の仕事を上手くこなせるようになりたいと思っているだけで、役員になるかどうかは重要ではありません。今、私が時間をかけて考えているのはそういった部分についてではありません」と回答。

最後に「今回の出来事からどんな教訓を学びましたか?」と問われたアルトマン氏は、「言いたいことは間違いなくたくさんありますが、まだ準備ができていません。そのため、現時点では長く取り留めのない答えしか出せません」と述べ、今回の騒動の総括を避けています。しかし、インタビュー後にアルトマン氏から電話がかかってきて、「私がいなくてもOpenAIが正しく機能すると学べました。それはとても素晴らしいことです。戻ってくることができてとても嬉しいですが、誤解しないでください。『私はこれをやらなければいけない、会社が私を必要としている』といったストレスを一切感じることなく戻ってくることができたのです。これは私が過去に優れたリーダーを選び、そんな優秀な人材を正しく指導することができたためです。私がいなくても会社は問題ないと感じられることは本当に素晴らしいことです」という回答を得られたそうです。


アルトマン氏の解雇・復帰劇において、OpenAIの旧取締役会はMicrosoftを意思決定から意図的に排除することで、従業員がアルトマン氏の追放を支持してくれると信じていたとThe New Yorkerは報じています。また、旧取締役会は「アルトマン氏とOpenAI社内で繰り広げられたAIの危険性をめぐる議論」や「アルトマン氏が情報を積極的に提供していなかったという事実」を中心に伝えることで、アルトマン氏を支持するMicrosoftも同氏の追放という決定に理解を示すだろうと楽観視していたようです。ただし、実際にはMicrosoftや従業員からの想像以上の反発を受け、OpenAIはアルトマン氏を復帰させることとなりました。

なお、OpenAIの旧取締役会がアルトマン氏を追放することに決めた背景には、OpenAIがアルトマン氏が個人的に投資を行っているスタートアップのRain AIから5100万ドル(約75億円)でAIチップを購入する契約を結んだためだとも報じられています。WIREDが独自に入手したOpenAIとRain AIの契約書のコポーによると、OpenAIは2019年時点で「Rain AIが開発するニューロモーフィングプロセッシングユニット(NPU)が入手可能となった時点で5100万ドルで購入する」という拘束力のない契約に署名していたそうです。投資家向け文書によると、Rain AIは早ければ2024年10月にも最初のNPUを販売できるようになる模様です。

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in メモ, Posted by logu_ii

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