突如OpenAIを追放されたサム・アルトマンに一体何が起こっているのか？時系列順まとめ

現地時間の2023年11月17日、チャットAI・ChatGPTの開発元として知られるOpenAIが、突如としてサム・アルトマンCEOの退任および退社を発表しました。OpenAIは公式ブログ上で同氏のCEO退任は取締役会での審議を経たものであり、「アルトマン氏は取締役会とのコミュニケーションが一貫して率直ではなく、取締役会の責任を果たす能力に支障があるとの結論に達しました。取締役会は、アルトマン氏がOpenAIを牽引していく能力をもはや信用できません」と説明しています。

AI開発企業・OpenAIのサム・アルトマンCEOが退任、暫定CEOにミラ・ムラティCTO - GIGAZINE

退任発表後、アルトマン氏は自身のXアカウント上で「OpenAIで過ごした時間が大好きです。それは私個人にとって、そして願わくば世界にとって、ちょっとした変革でした。なによりも、才能にあふれた人々と仕事をするのが好きでした。次のことについては、後日詳しく説明します」と投稿していました。

アルトマン氏の投稿に続き、OpenAIの共同創設者であるグレッグ・ブロックマン氏は、「今日のニュースを知り、私がOpenAIのチームに送ったメッセージが以下です」と投稿。

同氏がチームに送ったというメッセージには「8年前に私のアパートでスタートして以来、みんなで築き上げてきたものをとても誇りに思っています。困難な時期も素晴らしい時期も一緒に乗り越えてきたし、多くの『不可能なはずのこと』を成し遂げてきました。しかし、今日のニュースを見て私はOpenAIを辞めることに決めました。私は全人類に利益をもたらす安全な汎用人工知能(AGI)を創造するという使命を信じ続けています」と記されており、アルトマン氏のCEO退任および退社に伴い、自身も社長職を辞するつもりであるとしました。

さらに、ブロックマン氏は「サムと私は理事会が今日行ったことにショックを受け、悲しんでいます。まず、OpenAIで私たちが協力してきた素晴らしい人々、顧客、投資家、そして手を差し伸べてくれたすべての人々に感謝の意を表します。我々も何が起こったのかを正確に把握しようとしているところです」と言及。

ブロックマン氏が把握しているのは以下の3点だそうです。

・昨夜、サムはイルヤ(共同創設者のひとりであるイルヤ・サツキヴァー氏)から金曜日の正午に話したいというメールを受け取りました。サムはGoogle Meetに参加し、グレッグを除く役員全員が参加しました。イリヤはサムに自分が解雇されること、そしてそのニュースが間もなく発表されることを告げられました。
・12時19分、グレッグはイリヤからすぐに折り返しの電話をかけるよう求めるテキストメッセージを受け取りました。12時23分にイリヤはGoogle Meetのリンクを送信してきました。グレッグは自分が取締役会から外されることになるものの会社には残れることと、サムが解雇されたことを告げられています。同じタイミングでOpenAIはブログでサムの退任を発表しました。
・私たちが知る限り、発表前のタイミングでサムが解雇されることを知っていたのはミラ(ミラ・ムラティ)のみで、その他の経営陣は発表後にこの事実を知ることになりました。

その後、OpenAIと提携するMicrosoftは「我々はOpenAIと長期契約を結んでおり、イノベーションアジェンダとエキサイティングな製品ロードマップを実現するために必要なものすべてに完全にアクセスできます。そして今後も我々のパートナーシップ、そしてミラとそのチームに全力を尽くしていきます」とブログ上で声明を発表しています。海外メディアのAxiosがMicrosoftに問い合わせたところ、同社はアルトマン氏の退任を「発表1分前」に知った模様。なお、アルトマン氏の退任について、Microsoftは声明以外のコメントを控えています。

Microsoft is a key investor in OpenAI. It was blindsided by Sam Altman's exit.
https://www.axios.com/2023/11/17/microsoft-openai-sam-altman-ouster

さらに、アルトマン氏の退任発表により、OpenAIで研究部長を務めるJakub Pachocki氏、AIによる潜在的なリスクを評価するチームの責任者を務めるAleksander Madry氏、同社で7年間上級研究員を務めたSzymon Sidor氏の3人が辞任したと、The Informationが報じています。

Three Senior OpenAI Researchers Resign as Crisis Deepens — The Information
https://www.theinformation.com/articles/three-senior-openai-researchers-resign-as-crisis-deepens

アルトマン氏の退任発表以降、内外から反発の声があがったため、OpenAIはアルトマン氏のCEO復帰を協議しているとの報道もあります。ただし、アルトマン氏はAI関連の新事業立ち上げを計画しており、協議は難航している模様。そのため、交渉にはMicrosoftのサティア・ナデラCEOが関わっているとの報道もあります。

電撃退任したOpenAIのサム・アルトマンCEOの復帰を模索する交渉が続く、Microsoftのサティア・ナデラCEOが交渉を主導か - GIGAZINE

なお、アルトマン氏の退任を主導したとされるサツキヴァー氏は、OpenAIの従業員に対して「これはOpenAIが全人類に利益をもたらすAGIを確実に構築するという非営利団体としての使命を果たすための決定」と説明しています。

OpenAIの投資家であるロン・コンウェイ氏は、「OpenAIで起こったのは、1985年にAppleの取締役会がスティーブ・ジョブズを追放するために行ったクーデーターと同じです。これは衝撃的なもので、無責任なものです」と言及。

一方、OpenAIのブラッド・ライトキャップCOO(最高執行責任者)はアルトマン氏の退任について、「不正行為や当社の財務・ビジネス・安全性・セキュリティ／プライバシー慣行に関連したものではありません。これはあくまでサムと取締役会の間でのコミュニケーションが途絶えた結果です」と言及しています。

Details emerge of surprise board coup that ousted CEO Sam Altman at OpenAI | Ars Technica
https://arstechnica.com/information-technology/2023/11/report-sutskever-led-board-coup-at-openai-that-ousted-altman-over-ai-safety-concerns/

なお、アルトマン氏のCEO退任に伴い、OpenAIの暫定CEOに就任することとなったのが同社でCTO(最高技術責任者)を務めてきたミラ・ムラティ氏です。

ChatGPTの開発元OpenAIの暫定CEOに就任したミラ・ムラティとは何者なのか？ - GIGAZINE

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