Google対Epic Gamesの裁判で「Androidは偽のオープンプラットフォームだ」とEpic Gamesのティム・スウィーニーCEOが発言
人気ゲーム「フォートナイト」やゲームエンジン「Unreal Engine」の開発元であるEpic Gamesは、AndroidのアプリストアであるGoogle Playにおける独占を巡り、Googleを相手に訴訟を起こしています。このEpic Games対Googleの裁判で、Epic Gamesの創業者兼CEOであるティム・スウィーニー氏が、Androidを「偽のオープンプラットフォーム」と呼んで非難したことが報じられています。
Epic Games CEO Sweeney Takes Aim at Android’s ‘Fake Open Platform’ - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2023-11-20/epic-games-sweeney-takes-aim-at-android-s-fake-open-platform
CEO of Fortnite game maker casts Google as a 'crooked' bully during Android app trial | AP News
https://apnews.com/article/google-epic-antitrust-trial-android-apps-02442e3f97f134f19563de4c4c82a07f
Epic Games CEO Tim Sweeney Slams Google As A Crooked Adversary In Antitrust Trial | HotHardware
https://hothardware.com/news/epic-games-ceo-slams-google-as-crooked-in-trial
AppleやGoogleは自社アプリストアを介したアプリ購入やアプリ内課金に対し、15~30%の手数料を徴収しています。これに反発したEpic Gamesは2020年8月、フォートナイトのモバイルアプリ版でアプリストアを経由しない決済方式を導入しましたが、これが規約違反であるとしてアプリストアからフォートナイトが削除される事態に発展しました。
こうしたモバイルOS側の反応を受けて、Epic GamesはAppleとGoogleに対して独占禁止法違反で訴訟を起こしました。2023年4月に行われたEpic Games対Appleの控訴審では、「App Storeのアプリで外部決済オプションへ誘導することを認めるように」という判決が下ったものの、独占禁止法に関する請求ではAppleが勝利するという結果になっています。なお、Epic GamesとApple双方がこの判決を不服として上告しています。
Apple対Epic Gamesの控訴審で「App Storeで外部決済システムへのリンクを禁止してはいけない」という判決、しかし大部分でAppleが勝利 - GIGAZINE
2023年11月にはEpic Games対Googleの公判が開かれ、独占禁止法訴訟に関するさまざまなトピックについての証言が行われています。その中でEpic Gamesは、Googleが市場支配力を行使して独占禁止法に違反したことを立証するため、Samsungの端末でGoogle Playのシェアを維持するために4年間で80億ドル(約1兆2000億円)を支払う契約を結んだことや、Activision BlizzardやRiot Gamesといった大手ゲーム企業に総額数億ドル(数百億円)を支払い、独自アプリストアを開設しないように働きかけていたことを主張しています。
Epic Gamesが「Googleが510億円を支払って大手ゲーム企業の独自アプリストア開設を阻止していた」と主張 - GIGAZINE
11月19日の公判で証言したEpic Gamesのスウィーニー氏は、2018年の時点ではAndroidが開発者に対してオープンなプラットフォームであると信じていたと主張。しかし、その後にAndroidは「偽のオープンプラットフォーム」であり、App Storeと同程度の閉鎖性があることに気づいたと述べました。
スウィーニー氏によると、Googleはスウィーニー氏をカリフォルニア州マウンテンビューにあるGoogle本社に招待し、フォートナイトのモバイルアプリをGoogle Playで提供するように説得したとのこと。この際、GoogleはEpic Gamesに対してさまざまな金銭的インセンティブを提示してきたそうですが、スウィーニー氏は「Googleは一連の裏取引を提案していましたが、それはGoogleと競合しないようにEpic Gamesを説得するためのものだったようです。これは不正な取引のように思われました」と証言しています。
結局、Epic Gamesはこの取引を拒否して自社のウェブサイトからAndroid版アプリを配布しようと試みましたが、ダウンロードしたAndroidユーザー数は想定をはるかに下回ったとのこと。スウィーニー氏は、Google Playストア以外からアプリをダウンロードする際に面倒な手続きを必要とし、アプリの潜在的な問題を警告するポップアップを表示させるGoogleの戦略がこの結果をもたらしたと指摘。「私たちは、Googleが困難な敵であり、私たちを妨害する能力を持っていることを理解しました」とスウィーニー氏は語りました。
なお、公判ではGoogleの弁護士が、「Epic Gamesは2020年末までにソニーや任天堂、Microsoftなどのプラットフォームで得た利益の30%を各企業に支払っていた」ことを指摘し、「売上の30%」というGoogleの手数料は標準的な料金だと主張する場面もあったとのことです。
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