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Apple対Epic Gamesの控訴審で「App Storeで外部決済システムへのリンクを禁止してはいけない」という判決、しかし大部分でAppleが勝利


人気ゲーム「フォートナイト」の開発元であるEpic GamesとAppleがアプリ内課金や独占禁止法に関して争った控訴審で、「AppleはApp Storeのアプリに外部決済オプションへ誘導することを認めるように」との(PDFファイル)判決が2023年4月24日に下されました。しかし、10件の請求のうち9件ではAppleの主張が認められ、独占禁止法に関する請求ではAppleが勝利するという結果になっています。

Apple cannot ban links to outside App Store payments, U.S. appeals court says | Reuters
https://www.reuters.com/legal/us-appeals-court-upholds-lower-court-order-forcing-apple-allow-third-party-app-2023-04-24/


Apple declares victory after decision reached in Epic Games appeal
https://www.cnbc.com/2023/04/24/apple-declares-victory-after-decision-reached-in-epic-games-appeal-.html

Apple’s App Store can stay closed, but developers can link to outside payments, says appeals court - The Verge
https://www.theverge.com/2023/4/24/23696245/apple-appeal-epic-games-lawsuit-antitrust

iOS向けのアプリストアであるApp Storeでは、アプリ課金などの売上の30%が手数料として徴収される仕組みとなっており、以前から「手数料が高額すぎる」という開発者の不満が高まっていました。そんな中、Epic Gamesは2020年8月に「EPICディレクトペイメント」という新たな支払方式を実装し、App Storeの決済システムで徴収される手数料を回避することを計画しました。


これに対し、App Storeを経由しないアプリ内課金を認めないAppleは、規約違反であるとしてApp Storeから「フォートナイト」を削除しました。これに対しEpic Gamesは訴訟を起こし、2020年からEpic GamesとAppleの法廷闘争が続いています。

「フォートナイト」開発元のEpic GamesがAppleを提訴 - GIGAZINE


2021年9月には「App Storeで提供するアプリにおいて、Appleが提供する支払オプション以外のものも認めるように」とAppleに命じる判決が下されました。しかし、App Storeにおいて30%の手数料を徴収すること自体に違法性はないと判断され、AppleがApp Storeにおいて設けている規約が独占禁止法に違反しているというEpic Gamesの主張は受け入れられませんでした。

Epic Gamesは2021年9月の判決を不服として控訴しており、Appleも「App Storeでサードパーティーの支払いシステムを認めるように」という命令を不服として控訴しました

Epic GamesがAppleとの訴訟の判決を不服として控訴 - GIGAZINE


それからも両社の法廷闘争は続いてきましたが、現地時間の2023年4月24日にアメリカ第9巡回区控訴裁判所が控訴審の判決を下しました。控訴審では、「App Storeで配信するアプリがサードパーティーの支払いシステムへのリンクを提供することを認めるように」という2021年の命令は支持されましたが、AppleがApp Storeにおいて独占禁止法に違反しているとの主張は認められませんでした。

Appleの広報担当者であるMarni Goldberg氏はメディアへの声明で、「本日の判決は、10件の請求のうち9件でAppleにとって有利な決定がなされ、訴訟におけるAppleの全面的な勝利を再確認するものとなりました。2年間で2度目となる連邦裁判所の判決は、Appleが州および連邦レベルで独占禁止法を順守していることを示すものです。App Storeは競争の促進、イノベーションの推進、機会の拡大を続けており、世界中のユーザーと開発者の両方に深く貢献していることを誇りに思います」と述べ、控訴審はAppleの勝利に終わったと主張しています。

その一方で、声明では「私たちは、州法の下で残っている1つの請求に対する裁判所の判決に敬意を表しつつ同意せず、さらなる見直しを検討しています」とも述べており、App Storeのアプリに対し外部決済システムへの誘導を認めるようにという命令について不満を表明。今後も訴訟を続ける可能性を示唆しました。

海外メディアのロイターは、「Appleは第9巡回区控訴裁判所のより大きな裁判官集団に上訴するか、連邦最高裁判所の上訴する予定であるかは明言していません。同社は14日以内に上訴を行うことができ、上訴が続く間は裁判所命令は一時停止されたままとなります」と述べています。

Epic Gamesのティム・スウィーニーCEOはTwitterで、「Appleは第9巡回区控訴裁判所で勝訴しました。裁判所は、Appleの規制が『消費者に損害を与える実質的な反競争的効果』を持っているという判決を支持しましたが、シャーマン法(アメリカの独占禁止法における中心的な法律)は証明されなかったと判断しました」「幸いなことに、Appleの反スティーリング条項を却下した裁判所の肯定的な判決により、iOS開発者は消費者をウェブに送り、そこで直接取引を行うことができるようになりました。私たちは次のステップに取り組んでいます」とツイートしました。

Fortunately, the court's positive decision rejecting Apple's anti-steering provisions frees iOS developers to send consumers to the web to do business with them directly there. We're working on next steps.

— Tim Sweeney (@TimSweeneyEpic)

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in モバイル,   ネットサービス,   ゲーム, Posted by log1h_ik

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