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GoogleがEpic Gamesに対して過剰に対策を行っていたのは他のパブリッシャーに「直接DL」手法が広まることを恐れていたため


ゲームエンジンの「Unreal Engine」や人気バトルロイヤルゲーム「フォートナイト」の開発元であるEpic GamesがAppleとGoogleを独占禁止法で訴えている一件について、新たに公開された訴状によってEpic Gamesが「Googleは大手ゲームパブリッシャーがPlayストアを経由せずにゲームを配布する『サイドローディング』を恐れていた」と主張していることが明らかになりました。

The Epic v. Google lawsuit finally makes sense - The Verge
https://www.theverge.com/2021/8/19/22632804/epic-google-lawsuit-unredacted-complaint-antitrust

2020年8月、Epic GamesはAppleを訴えました。この訴えはEpic Gamesの看板タイトル「フォートナイト」のiOS版がApp Storeを経由しない課金方式を実装したためにApp Storeから削除されたことが原因で、Epic Gamesは「App Store以外の課金方式を認めないというのは独占禁止法にあたる」と主張していました。

「フォートナイト」開発元のEpic GamesがAppleを提訴 - GIGAZINE


Appleに対する訴訟に続いて、Epic GamesはGoogleに対しても訴えを起こしましたが、Appleと違ってGoogleはサードパーティ決済を認めているため、「Google Play以外の課金方式を認めないのは独占禁止法違反」という主張は成り立ちません。このため、Epic Gamesは何についてGoogleと独占禁止法違反だと主張しているのかが不明瞭でした。今回の報道は、この疑問が2021年8月19日に開かれたEpic Games対Googleの裁判の中で「Epic Gamesが提出した訴状の無編集版」が公開されたことによって氷解したという内容です。以下が無編集版の訴状。

Epic v. Google unredacted complaint - DocumentCloud
https://www.documentcloud.org/documents/21046008-epic-v-google-unredacted-complaint#document/

この訴状の無編集版で明かされたEpic Gamesの主張によると、Googleは「Epic GamesがPlayストアを完全放棄して公式サイトから直接インストーラーを配布するというサイドローディングに切り替えた一件を受けて、「大手ゲームパブリッシャーが続々とPlayストアから出て行くのでは」という懸念を強く抱いていたとのこと。これを防ぐためにGoogleはActivision Blizzardなどの大手ゲームパブリッシャーに直接的に資金を提供するだけでなく、スマートフォンメーカーに「Playストア以外のアプリストアを排除すれば検索収益の配分比率を増加する」というオファーを提供したそうで、今回の訴状では、実際にこのオファーを守ったスマートフォンは検索収益の配分比率が4%増、LGとモトローラなどのほとんどのデバイスでオファーを守ったメーカーの場合はPlayストアの販売収益の3~6%を受け取っていたことも明かされています。こうした一連の行為が独占禁止法にあたる、というのがEpic Gamesの主張というわけです。

Google 'Premier Device Program' revealed in new court docs - 9to5Google
https://9to5google.com/2021/08/19/google-premier-device-program/

実際に、2021年7月にアメリカの36州とワシントンD.C.がGoogleを訴えた一件では、GoogleがSamsungのGalaxyストア潰しのためにGoogleがGalaxyストアを直接無効化しようとしていただけでなく、Googleがアプリ開発者と協力してGalaxyストアにアプリを掲載しないように促していたことが明かされています。

Google feared Samsung Galaxy Store and tried to quash it, lawsuit alleges - The Verge
https://www.theverge.com/2021/7/8/22568111/google-play-android-samsung-galaxy-store-quash-threatened-app-distribution-antitrust

特にGoogleはEpic Gamesに対して苛烈な妨害工作を行っており、「Playストアを経由せずに配布されたフォートナイトのインストーラーには脆弱性が存在する」と主張した他、ついにはEpic Gamesの買収をもくろんでいたことが明らかになっています。

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Playストアの地位を保とうとする一連の計画はGoogle社内で「Project Agave(リュウゼツラン計画)」と呼ばれていたとのことです。

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in ネットサービス, Posted by darkhorse_log

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