検閲を行わない方針で話題となったSNS「Parler」の親会社が約75％のスタッフと複数の幹部を解雇したことが発覚

「言論の自由を守る」という方針で投稿されたコンテンツの検閲を行わないとしているSNS「Parler」は、過激な発言やフェイクニュースの取り締まりが強化されているTwitterやFacebookの代替として、トランプ大統領の支持者や陰謀論者から人気を集めていました。ところが、Parlerの親会社であるParlement Technologiesが過去数週間でスタッフの約75％と複数の幹部を解雇したことが報じられています。

Parler’s parent company has laid off a majority of its staff - The Verge
https://www.theverge.com/2023/1/10/23549198/parler-parlement-technologies-layoffs-gettr-george-farmer-candace-owens

Parler has reportedly cut ‘majority’ of staff in recent weeks | Engadget
https://www.engadget.com/parler-layoffs-report-005417991.html

Parlerは検閲を行わないという方針を掲げていることから、トランプ大統領の支持者や陰謀論者、極右などのユーザーに支持されて2020年に急成長しました。ところが、2021年1月に発生した連邦議会議事堂の襲撃事件の際、Parlerが襲撃を促進する役目を果たしたという批判を受けたため、AppleやGoogleはParlerをアプリストアから削除しました。

AppleがモデレーションフリーのSNSアプリ「Parler」をApp Store上から削除 - GIGAZINE

さらに、利用規約への違反を理由にAmazon Web Services(AWS)からウェブホスティングを停止され、ParlerがAmazonを訴える事態にまで発展。当時のCEOは「Parlerが復活することはないかもしれない」と述べていましたが、1カ月後の2021年2月にはホスティングサービスを切り替えて復活しました。

SNS「Parler」が1カ月ぶりに復活、脱AWSにより - GIGAZINE

ところが、海外メディアのThe Vergeは複数の情報提供者からの証言により、Parlerの親会社であるParlement Technologiesが従業員や幹部の解雇を進めていることがわかったと報じました。情報筋によると、Parlement Technologiesは2022年11月下旬から12月末にかけて人員削減を進め、スタッフの約75％に加えて最高技術責任者、最高運用責任者、最高マーケティング責任者を含む大多数の幹部も解雇されたとのことです。

大量解雇によって、ParlerおよびParlement Technologiesに残る従業員は約20人になったと報じられています。The Vergeがコメントを求めてParlerの外部PR担当者に連絡したところ、すでに担当者はParlerとの仕事をしていないと回答しました。また、Parlement TechnologiesはThe Vergeからの問い合わせに応じませんでした。

Parlerはアプリストアからの削除やAWSのホスティング停止によるサービスの中断などを受け、アクティブユーザー数の低迷に直面しています。自社でクラウドサービス事業を展開するParlement TechnologiesはParlerの売却に乗り出していますが、ある購入候補者はThe Vergeに対し、2022年10月の時点でParlerのデイリーアクティブユーザー数はわずか5万人ほどだと語っています。

また、ラッパーのYe(元カニエ・ウェスト)がParlerを買収する意思を持っているという報道もありましたが、Parlement Technologiesは2022年12月に、YeとのParler買収交渉は成立しなかったことを報告しています。

Parler says Kanye West is no longer buying the social media company
https://www.axios.com/2022/12/01/ye-is-no-longer-buying-parler