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大手通信事業者が5G電波塔の出力を制限する可能性、航空機との干渉問題を受けて


世界中で5Gの普及に向けて基地局の敷設やモデムの開発が進む中、アメリカの大手通信事業者であるAT&TとVerizonが「航空機のシステムとの干渉を避ける」ために5G電波塔の出力を抑えることを提案したことが報じられています。

AT&T, Verizon Propose 5G Limits to Break Air-Safety Standoff - WSJ
https://www.wsj.com/articles/at-t-verizon-propose-5g-limits-to-break-air-safety-standoff-11637778722


アメリカでは2019年4月にスマートフォン対応モバイル5Gサービスの提供が始まっており、その後も5Gを普及させるべくインフラストラクチャーの刷新や新たな周波数帯の市場投入などが進められてきました。一方で、連邦航空局(FAA)は通信事業者が5Gに利用しようとしているCバンドと呼ばれる周波数帯が航空機のレーダーや高度計などのシステムと干渉する恐れがあるとして、Cバンドを用いたサービスの開始を延期するように求めていました。

このFAAの要求に対してアメリカの無線通信業界団体であるCTIAは「FAAによるサービス開始の延期要求には科学的・工学的根拠がありません」と主張し、「無線業界は2022年1月にアメリカでCバンドを用いた5Gサービスを開始する予定です」と述べてFAAに反発する姿勢を見せていました。


上記の論争の中、AT&TとVerizonはFAAに対して「5Gが航空機の安全性に対するリスクをもたらさないと確信している一方で、この問題への対応を求めるFAAの要望も理解できます」と述べ、「5G電波塔の出力を全国的に下げ、空港やヘリポートの近くではさらに出力を抑える」という対策をFAAに提案しました。

ウォール・ストリート・ジャーナルによると、連邦通信委員会(FCC)は5Gと航空機を巡る問題についてFAAとの対話に取り組んでいるとのこと。FCCの広報担当者はAT&TとVerizonが提案した電波塔の出力制限について「航空技術を保護するための世界で最も包括的な取り組みの1つです」と述べています。

また、FAAの広報担当者は今回の提案について「提案は重要で励みになるステップです。全ての利害関係者との建設的な対話を継続することを約束します。FAAは、通信事業者が計画しているCバンドを用いた5Gサービスと航空機が安全に共存できると信じています」と述べています。

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in モバイル, Posted by log1o_hf

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