アメリカ政府が「オープンソースの5G対応技術」を通信機器メーカーに求めている
by mohamed_hassan
新世代の高速通信システム「5G」を巡っては、端末開発から電波塔建設まですべてこなして包括的な5G通信網を構築できるHuaweiが市場の3分の1を抑えています。しかし、安全保障上の懸念からアメリカではHuaweiの締め出しを強めています。こうした流れの中で、アメリカ国防総省がHuaweiに対抗する5G通信網構築を目指し、通信機器メーカーに「オープンソースの5G技術開発」を求めていることが明らかになりました。
Pentagon wants open-source 5G plan in campaign against Huawei | Financial Times
https://www.ft.com/content/6863a21a-234a-11ea-92da-f0c92e957a96
Pentagon Reportedly Tells Suppliers To Prep Open-Source 5G Solutions
https://www.androidheadlines.com/2019/12/pentagon-5g-open-source.html
日刊経済紙のフィナンシャル・タイムズの報道によると、アメリカ国防総省で防衛部門の研究開発を監督しているリサ・ポーター氏が、シスコシステムズやオラクルといった企業に対して、5G対応ソリューションをオープンソースで開発するように依頼したとのこと。オープンソースの5G対応ソリューションができれば、5G対応の製品をどんなメーカーでも作ろうと思えば作れるようになり、通信事業者は小数の大企業からだけではなく、いろいろな市販ベンダーの製品を使えるようになります。
The Economistによれば、Huaweiは5G関連技術開発のために10年で20億ドル(約2200億円)を投じたと報じられており、これを追うためのオープンソースソリューション開発も巨額の投資が必要であると考えられます。
実際、これでオープンソースの5Gソリューションが開発されれば、さまざまなベンダーから5G対応製品が出ることで市場の活性化を促す可能性はありますが、シスコやオラクルからしてみれば、自社の知的財産まで他社にオープンにしなければならない恐れもあります。アメリカ政府は、開発支援のために税控除を認めることも検討しているとのことですが、ファイナンシャル・タイムズでは、両社は国防総省の要請には応じないという見方を示しています。
by Kārlis Dambrāns
なお、5G対応の電波塔開発に関してはアメリカ企業は開発を行っていないため、アメリカ政府ではHuaweiのライバルを支援することも検討しているとのこと。ポーター氏はヨーロッパでのHuaweiのライバルであるノキアやエリクソンを、5G通信網の「潜在的な貢献者」として見ていると語っています。また、オープンソースソリューションの共同開発により、アメリカと西側諸国の同盟国やパートナーの競争力を高めることができるとも述べています。
by Pixabay
一方、Huaweiはアメリカによる締め出しが強まったことを受けて、自社スマートフォンをアメリカ製パーツから脱却させる試みを進行させ、アメリカのサプライヤーへの依存を減らしています。
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