モバイル

Huaweiスマホのアメリカ製パーツからの脱却が着々と進行中

by Zac Wolff

アメリカからたびたび厳しい規制を課せられてきた中国のスマートフォンメーカーのHuaweiが、アメリカ製のパーツからの脱却を図っており、その成果が最新スマートフォンではハッキリとわかると報じられています。

Huawei Manages to Make Smartphones Without American Chips - WSJ
https://www.wsj.com/articles/huawei-manages-to-make-smartphones-without-american-chips-1

Huawei appears to be doing just fine without American chips - MarketWatch

https://www.marketwatch.com/story/huawei-appears-to-be-doing-just-fine-without-american-chips-2019-12-01


アメリカはテクノロジー業界の覇権を争う中国に対して規制を強めており、特に中国スマートフォンメーカーでありモバイル市場で存在感を強めているHuaweiに対しては度々厳しい措置を取ってきました。その結果、2018年8月にはHuaweiのアメリカ市場からの撤退が決定。その後、2018年12月にはHuawei創業者の娘であり同社のCFO(最高財務責任者)でもある孟晩舟氏がカナダで逮捕され、2019年1月にはアメリカ企業から機密情報を盗み出したとしてアメリカ連邦大陪審がHuaweiを刑事訴追するという事態にまで発展していました。

さらに、2019年5月にはアメリカのドナルド・トランプ大統領が「情報通信上のリスクがある外国製品の取引を禁止する」という大統領令に署名したことから、アメリカ国内でのHuawei排除の動きは加速。政府だけでなく、アメリカを拠点とする企業もHuaweiとの取引を中止することとなります。

スマートフォンのOSとして圧倒的な人気を誇り、Huawei製スマートフォンにも採用され続けてきたGoogleのAndroidがサポート停止を発表。

GoogleがHuaweiのAndroidサポートを停止、今後のHuaweiスマホはGoogle PlayなどのGoogleサービスが一切利用できなくなる模様 - GIGAZINE

by Pexels

また、スマートフォンの心臓部となるプロセッサを製造するIntelやQualcommといったチップメーカーも、Huaweiとの取引停止を発表しました。

IntelやQualcommもHuaweiとの取引を停止、Huawei製品のAndroidサポートは8月まで延長 - GIGAZINE

by Kārlis Dambrāns

Huaweiの任正非CEOは2019年5月末にアメリカでのHuawei排除の動きが活発になったことなどについてインタビューを受けており、その内容は以下の記事でチェックできます。任正非CEOはアメリカ企業に対して「感謝している」と語っており、Androidを提供するGoogleとは、Androidを再びHuawei端末に取り戻すために協議していることを、チップメーカーについても「我々はまだまだアメリカ企業と協力していく考えです。しかし、そのためにはまずアメリカ政府の承認を得る必要があります。我々はアメリカ製のものと同等のチップを開発することができますが、それがアメリカ製チップを買いたくないということにはつながりません」とコメントしていました。

Huawei創業者が「Androidサポート終了」や「チップメーカーとの取引停止」など、アメリカ政府によるHuawei排除の動きについて語る - GIGAZINE

by chuttersnap

アメリカでのHuawei排除の動きが活発になってから半年以上が経過した2019年12月に、ウォールストリートジャーナルが「Huaweiはアメリカ製チップなしでうまくスマートフォンを製造している」と報じています。報道によると、Huaweiが2019年9月に発表した最新スマートフォンの「Huawei Mate 30」には、アメリカ製のチップが一切使用されていないそうです。なお、Huawei Mate 30を分解してパーツを解析したのは日本企業のFomalhautです。

2019年5月の大統領令により、IntelやQualcommといったチップメーカーは、前述の通りにHuaweiとの取引を停止しました。その後、企業が大統領令の影響を受けないと判断したのち、夏ごろから一部の部品の出荷が再開されていたのですが、アメリカ製品がなくてもHuaweiはスマートフォンの製造を問題なく行えることをHuawei Mate 30で証明しています。

端末の心臓部にはHuaweiが独自開発した「Kirin 990」というプロセッサが搭載されています。


2019年11月、アメリカからの輸出を監督するウィルバー・ロス商務長官は、「アメリカの半導体メーカーがいくつかの部品を中国へ輸出再開する許可を与えられた」と語りましたが、「これは遅すぎたかもしれない」とテクノロジーメディアのMarketWatchは記しています。

Huaweiはアメリカ製チップの使用を完全にやめたわけではありませんが、FomalhautがHuaweiスマートフォンを分解してまとめたレポートによると、5月以降に発売されたスマートフォンでは複数の機種で徐々にアメリカのサプライヤーへの依存度が減少していることが明らかになっています。なお、FomalhautだけでなくiFixitTechInsightsの技術解析レポートでも同じように「アメリカへの依存度を減らしている」という結論に達しているとのことです。


・おまけ
スマートフォン製造においてアメリカからの脱却を図るHuaweiですが、同社の任正非CEOは、自身の娘でありHuaweiのCFOでもある孟晩舟氏がカナダで逮捕された一件について、「中国とアメリカの貿易戦争に巻き込まれたことを誇りに思うべき」と発言しています。

Huawei CEO says his daughter should be proud she became a 'bargaining chip' in the trade war
https://edition.cnn.com/2019/12/01/tech/huawei-ceo-ren-zhengfei-daughter/index.html

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
トランプ政権がHuaweiなど中国企業から政府機関が通信機器を直接購入することを禁止 - GIGAZINE

Huawei創業者が「Androidサポート終了」や「チップメーカーとの取引停止」など、アメリカ政府によるHuawei排除の動きについて語る - GIGAZINE

IntelやQualcommもHuaweiとの取引を停止、Huawei製品のAndroidサポートは8月まで延長 - GIGAZINE

GoogleがHuaweiのAndroidサポートを停止、今後のHuaweiスマホはGoogle PlayなどのGoogleサービスが一切利用できなくなる模様 - GIGAZINE

トランプ大統領が「情報通信上のリスクがある製品」の取引を禁止する大統領令に署名、Huawei排除に向けての動きか - GIGAZINE

アメリカがHuaweiを刑事訴追、カナダで保釈中の孟副会長の身柄引き渡しも要請へ - GIGAZINE

Huawei創業者の娘がカナダで逮捕、イランへの制裁違反容疑でアメリカ政府が引き渡しを要請 - GIGAZINE

Huaweiがアメリカ市場から全面撤退すると報じられる - GIGAZINE

in モバイル,   ハードウェア, Posted by logu_ii

You can read the machine translated English article here.