世界で初めてプラチナバンドでの次世代通信「5G」のビデオ通話にT-Mobileが成功
by Mike Mozart
最大で「毎秒10ギガビット(10Gbps)」という超高速通信性能を持っており、4G LTEネットワークをはるかに超える高速通信網として期待されている次世代通信システム「5G」は、膨大な量のデータ通信を可能にする次世代のインフラとして全世界的に注目が高まっています。ドイツに本社を置く通信サービス企業のT-Mobileが、世界で初めて600MHz(メガヘルツ)帯での5Gデータ通話およびビデオ通話に成功したと発表しました。
T-Mobile, Ericsson and Intel Complete World’s First 5G Call on 600 MHz | T-Mobile Newsroom
https://www.t-mobile.com/news/600-mhz-5g-call
5G通信の早期商用化に最も積極的な国の一つがアメリカであり、AT&T、Verizon、Sprintといった大手通信事業者が5Gを商用利用する計画を打ち出しています。アメリカ第3位の通信事業者であるT-Mobileもこの動きに乗っており、4Gエリア内に浮かぶホットスポット的な5Gの利用を目指すAT&TやVerizonと違い、全米で一気に5Gを展開しようとしているとのこと。
T-Mobileはスウェーデンの通信機器メーカー・Ericssonやアメリカの半導体素子メーカー・Intelと共に、5G通信実現を目的としたチームを設立しています。2017年、T-Mobileはアメリカ連邦通信委員会(FCC)が行った600メガヘルツ帯のオークションに勝利し、かつてテレビ局が使っていた無線周波数帯をゲットしました。低周波の600メガヘルツ帯は長い距離をカバーしたり、屋内での受信可能範囲を改善するために有効です。
そんな600メガヘルツ帯をT-Mobileは4G通信で利用していましたが、600メガヘルツ帯に28GHz(ギガヘルツ)帯、39ギガヘルツ帯を加えた既存周波数帯に5Gを導入しようとT-Mobileは計画しています。そして2019年1月7日、T-Mobileは単一の電波塔から1000平方マイル(約2600平方km)をカバーする5G信号を発信し、600メガヘルツ帯、28ギガヘルツ帯、39ギガヘルツ帯という3つの帯域で5Gビデオ通話に成功したと発表しました。
by Andrey
以前からT-Mobileは「誰もが5Gを利用できるようになるべきだ」と主張しており、低周波帯で伝搬特性に優れている600メガヘルツ帯と直進特性に優れた28ギガヘルツ、39ギガヘルツ帯を組み合わせることで幅広いユーザーに5G通信を提供できるとしています。
T-MobileのCEOであるJohn Legere氏は、「一部の地域に住む一部の人々が5G通信を利用できることを目標に掲げる通信事業者と違い、私たちは誰でも、どこでも5G通信が利用できる世界の構築を行っています」と述べ、今回の成果はT-Mobileが5G通信網構築に一歩前進したことを表しているとしました。
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