5Gネットワークを「ワイヤレス電力網」化するためのアンテナが開発される
高周波数の通信用に構築されている5Gネットワークを、IoTデバイスに電力を供給するためのワイヤレス電力網として活用するための整流アンテナ(レクテナ)を、ジョージア工科大学の技術者が開発しました。
5G as a wireless power grid | Scientific Reports
https://doi.org/10.1038/s41598-020-79500-x
Leveraging the 5G Network to Wirelessly Power IoT Devices
https://www.news.gatech.edu/2021/03/25/leveraging-5g-network-wirelessly-power-iot-devices
Leveraging the 5G Network to Wirelessly Power IoT Devices - YouTube
開発されたレクテナは「ロットマンレンズ」をベースにしたもの。「ロットマンレンズ」は、ウォルター・ロットマンが開発したレンズで、クモのように複数の足が伸ばした形状にすることで、本体を物理的に動かすことなく複数の視野が得られることから、仕組みがレーダーシステムなどに組み込まれています。
低消費電力機器を動かすのに十分な電力を距離が離れたところから無線で供給するためには、大口径アンテナが必要です。しかし、大口径アンテナはカバーするエリアが狭く、5G基地局に対してアンテナが分散しているとうまく動作しないという問題がありました。これまでに、24GHzや35GHzのような高周波での発電が試みられた事例がありますが、この「基地局との見通しが悪いと機能しない」という点が課題でした。
今回のレクテナは、無線と直流の技術を組み合わせることで範囲と感度のトレードオフに対処し、従来のものと比べて21倍の電力を得ることに成功しました。
この仕組みが洗練されていけば、サービスプロバイダーが無線給電を行うことにより、バッテリーが不要になる端末が出てくるのではないかと推測されています。
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