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スマホのワイヤレス充電は超絶非効率、有線充電と比べて電力消費量がおよそ1.5倍と判明


2017年に登場したiPhone 8以降のiPhoneや、多くのAndroid端末がワイヤレス充電に対応しており、ハイエンドモデルにとってワイヤレス充電機能は当たり前のものとなりつつあります。しかし、そんなワイヤレス充電は非常に非効率なものであるとテクノロジー系メディアのOneZeroが検証データを交えて指摘しています。

Here's Exactly How Inefficient Wireless Charging Is | OneZero
https://onezero.medium.com/wireless-charging-is-a-disaster-waiting-to-happen-48afdde70ed9

Wireless charging has an efficiency issue - TechSpot
https://www.techspot.com/news/86271-wireless-charging-has-efficiency-issue.html

OneZeroとiFixitの最新の計算によると、ワイヤレス充電は有線での充電と比べると非常に非効率であり、ワイヤレス充電でスマートフォンを充電する人が増えれば、世界中に数十基の新しい発電所を建設する必要が出てくると指摘しています。ワイヤレス充電ではコンセントから供給される電力がすべてスマートフォンのバッテリーへと変換されるわけではなく、電力の一部は熱として給電プロセスの途中で失われます。これはすべての充電形式である程度当てはまることですが、特にワイヤレス充電はエネルギーのロスが大きいそうです。さらに、スマートフォン側のワイヤレス充電コイルとワイヤレス充電パッド側のコイルが適切な位置に合わせられていない場合、エネルギーのロスはより大きくなります。


そこで、OneZeroはGoogleのPixel 4を使って有線ケーブルでの充電とワイヤレス充電の電力効率をテストしました。テストにはコンセント部分に高精度な電力計を配置することで、消費電力を測定しています。テストの結果、ワイヤレス充電は平均して有線ケーブルでの充電よりも約47%も多く電力を消費することが明らかになりました。

バッテリーが完全に空の状態のPixel 4を100%の状態にまで充電するには、平均14.26Whかかります。一方、ワイヤレス充電器を使用した場合、フル充電には平均21.07Whかかります。OneZeroは「ケーブルを使用しないという利便性のためだけに、47%も多くエネルギーを消費することとなります」と指摘。


OneZeroがテストに使用したワイヤレス充電器は「Yootechワイヤレス充電パッド」でした。しかし、「初めはコイルをできる限り整列させて消費電力を測定し、次に意図的にコイルをずらして差を検出しようとしていました。しかし、Yootechワイヤレス充電バンドルは正しくスマートフォンを配置することが非常に困難でした」とOneZeroは記しています。

さらに、正しくPixel 4を配置しているように見えるものの、バッテリーが充電されていないというケースもあったそうです。そこでOneZeroはPixel 4の位置をミリ単位で調整しながらバッテリーが正しく充電される位置を測定したそうです。例えば以下の写真の左は正しい位置に配置されていないためバッテリーが充電されていませんが、右は正しく充電できています。


Yootechワイヤレス充電パッドの正しい充電位置を認識する前に充電を行ったところ、Pixel 4のフル充電には25.62Whが必要となったそうで、平均的な有線ケーブルでの充電よりもなんと80%も多いエネルギーを消費しています。つまり、ワイヤレス充電器を使用した充電でスマートフォンを正しく配置できていない場合、有線ケーブルでの充電と比べて2倍の電力を消費することとなります。

Google公式のワイヤレス充電器であるPixel Standでも少し位置がズレるとバッテリーを充電することができなくなります。左の位置だとバッテリーが充電できておらず、右の位置だと充電できています。なお、Pixel Standの場合はフル充電に平均19.8Whかかり、有線ケーブルでの充電よりも39%多く電力を消費したとのこと。


加えて、Pixel StandやYootechワイヤレス充電パッドではPixel 4を充電していないタイミングでも、わずかに電力を消費してしまうことが明らかになっています。消費電力は0.25Wh程度ですが、複数のワイヤレス充電器がコンセントにつながったままで放置されている世帯では、スマートフォンをフル充電するのに必要な電力と同程度の電力を1日で浪費する計算となります。なお、OneZeroによると有線ケーブルはコンセントに挿しっぱなしでも測定可能な量の電力を消費することはなかったそうです。

iFixitのカイル・ウィーンズCEOは「現在世界中で使用されている30億台超のスマートフォンがすべてワイヤレスで充電され、有線ケーブルでの充電よりも50%多く電力を消費する場合、その合計は非常に大きなものとなります。そのため、これは個人の問題ではなく社会全体の問題となり得ます」と述べました。さらに試算の結果、35億台のスマートフォンを有線ケーブルでフル充電するには、約73基の石炭火力発電所が必要になるとのこと。つまり、有線ケーブルの半分の効率しかないワイヤレス充電器で35億台のスマートフォンをフル充電する場合、2倍の数の発電所が必要となります。

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in モバイル,   ハードウェア, Posted by logu_ii

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