ハードウェア

受信したWi-Fiを電力に変換するため新素材を使った「レクテナ」をMITが開発

by Riccardo Annandale

電波を直流電流に変換する装置は「レクテナ」と呼ばれ、ワイヤレス給電などで活用されています。MITが新たに開発したのは、Wi-Fiの周波数である2.4GHz、および5GHz帯に適した素材を使ったレクテナで、一般的なWi-Fiの強度である150マイクロワットの場合、40マイクロワットの電力を生み出せるとのこと。

Two-dimensional MoS 2 -enabled flexible rectenna for Wi-Fi-band wireless energy harvesting | Nature
https://www.nature.com/articles/s41586-019-0892-1

Converting Wi-Fi signals to electricity with new 2-D materials | MIT News
http://news.mit.edu/2019/converting-wi-fi-signals-electricity-0128


レクテナは「整流器つきのアンテナ」で、アンテナで受信した電波を整流回路を通して直流電流に変換しています。電波エネルギーを発電に用いるという発想は特別に新しいものではなく、過去にいくつものレクテナが開発されています。

従来のレクテナでは、整流器にはシリコンやヒ化ガリウムが使われてきました。こうした素材でもWi-Fiの2.4GHz帯や5GHz帯はカバー可能ですが柔軟性に欠け、小さな端末を作るのには向いていても、建物や壁の表面を覆うような大型化を目指すと費用が法外なものになってしまいます。

by Morteza F.Shojaei

一方で、柔軟性のある素材の場合は低周波数でなければ動作せず、Wi-Fiの信号を変換することができません。

このため、MITでは二硫化モリブデンを使用し、原子的に薄く超高速度のショットキーバリアダイオードを作成。このおかげで、Wi-Fi、Bluetooth、LTEを含む、日々の暮らしの中で飛び交う周波数帯の電波をカバーした柔軟性のある整流器ができたとのこと。

MITによれば、出力効率は典型的なWi-Fi強度のときが約30%~約40%。シリコンやヒ化ガリウムを使った整流器の場合、約50%~約60%を達成しているので、やや効率は低めです。今後、研究チームはさらなる効率改善を目指すとのことです。

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in ハードウェア, Posted by logc_nt

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