サイエンス

太陽表面を撮影した高解像度画像が捉えた「渦巻き模様」が太陽の謎を解く鍵になる可能性


アメリカ国立太陽天文台やドイツのマックス・プランク太陽系研究所などの研究チームが、ハワイにあるダニエル・K・イノウエ太陽望遠鏡を用いてこれまでにない高解像度で太陽表面を撮影しました。これによって確認された「渦巻き模様」が、太陽の長年の謎を解く鍵になると期待されています。

Ubiquitous Kelvin–Helmholtz instabilities driving plasma mixing on the Sun | Nature
https://www.nature.com/articles/s41586-026-10871-3

NSF Inouye Solar Telescope Enables Major Discovery of a Hidden Solar Process - NSO - National Solar Observatory
https://nso.edu/press-release/nsf-inouye-solar-telescope-enables-major-discovery-of-a-hidden-solar-process/

'Simply Astonishing': Record-Breaking Images Reveal The Sun Is Teeming With Whirling Vortices : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/simply-astonishing-record-breaking-images-reveal-the-sun-is-teeming-with-whirling-vortices

Unprecedented images may explain one of greatest mysteries of the sun | The sun | The Guardian
https://www.theguardian.com/science/2026/aug/05/unprecedented-images-may-explain-one-of-greatest-mysteries-of-the-sun

研究チームはアメリカ国立科学財団が運用するダニエル・K・イノウエ太陽望遠鏡を用いて、太陽表面の高解像度画像を撮影することに成功しました。これにより、太陽黒点に近い磁気的に活発な領域で、これまでに観察されたことがない太陽表面の現象が明らかになったと報告されています。

以下の動画を見ると、実際にダニエル・K・イノウエ太陽望遠鏡が撮影した太陽表面のタイムラプスを確認できます。

NSF Daniel K. Inouye Solar Telescope: Kevlin-Helmholtz on Solar Surface (Full View) - YouTube


今回撮影された高解像度画像では、至る所で帯状の構造や小規模な渦巻き模様が確認されました。研究チームはこれらの特徴が、科学者たちがケルビン・ヘルムホルツ不安定性と呼ぶ現象の兆候であると主張しています。

ケルビン・ヘルムホルツ不安定性とは、層ごとに密度の異なる流体がお互いに異なる速度で水平運動した際、2つの層が接する界面でせん断力が生じ、波状またはらせん状の渦が発生するという現象です。ケルビン・ヘルムホルツ不安定性は地球上の小さな湖や海、雲といった自然現象から、木星や土星のような巨大ガス惑星の大気などさまざまなスケールで観測されています。

太陽のプラズマも乱流状態にあるため、科学者らは太陽表面にもケルビン・ヘルムホルツ不安定性が生じていると予想していましたが、これまでの観測精度ではそれを捉えるだけの解像度が得られませんでした。しかし今回の観測により、太陽表面にケルビン・ヘルムホルツ不安定性の兆候が観測されたというわけです。

論文の筆頭著者で、アメリカ国立太陽天文台の太陽物理学者であるデヴィッド・クリゼ氏は、「高解像度画像に写し出された信じられないほど微細なディテールとダイナミックな活動に、私たちは本当に驚きました。本当に驚いたのは、これほど多くのケルビン・ヘルムホルツ不安定性現象が見つかったことです。磁気圏全体にこれほど遍在しているとは、まったく予想していませんでした」とコメントしています。


この発見は、太陽にまつわる長年の謎を解明する手がかりとしても期待されています。太陽フレアやこれに伴うコロナ質量放出といった現象は、電力網・人工衛星・GPS・グローバル通信といったインフラに深刻な混乱をもたらします。これらは太陽内部の極端に変動する磁場によって引き起こされますが、このメカニズムは完全には解明されていません。

科学者らは、磁力線が編み込んだ髪のように互いに絡み合って不安定な状態になり、この緊張状態が急速に解放されて再結合する際に、エネルギーが一気に放出されるのではないかと仮説を立てています。今回発見されたケルビン・ヘルムホルツ不安定性の渦巻き模様は、磁力線をねじる原動力になっている可能性があるとのことです。


論文の共著者で、アメリカ国立太陽天文台の太陽物理学者であるフリードリヒ・ヴェーガー氏は、「現代社会は宇宙天気の影響を受けやすい技術に依存しています。太陽の最も破壊的な挙動をよりよく理解し、最終的には予測するためには、まずそれを引き起こす微細な物理プロセスを理解する必要があります。今回の発見はそうしたプロセスのひとつを、これまで見たことのない詳細なレベルで初めて明らかにするものです」と述べました。

今回の発見はソーシャルニュースサイトのHacker Newsでも話題になっています。

Scientists discover Kelvin-Helmholtz Instability on the surface of the Sun | Hacker News
https://news.ycombinator.com/item?id=49184355

1990年代~2010年代に太陽観測・シミュレーションの分野に携わっていたというユーザーは、数十年にわたって太陽を理解する上でケルビン・ヘルムホルツ不安定性が重要だと考えられてきたものの、最高の太陽観測所でもこれらの特徴を完全に撮影することはできなかったと指摘。今回公開された太陽表面の画像は驚異的なものだと述べました。

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in 動画,   サイエンス, Posted by log1h_ik

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