史上初の太陽コロナへの探査機到達をNASAが発表
地球物理学に関する世界最大の学会・アメリカ地球物理学連合の大会「AGU Fall Meeting 2021」において、アメリカ航空宇宙局(NASA)が歴史上で初めて、太陽コロナに探査機が到達したことを発表しました。
NASA Enters the Solar Atmosphere for the First Time | NASA
https://www.nasa.gov/feature/goddard/2021/nasa-enters-the-solar-atmosphere-for-the-first-time-bringing-new-discoveries
We’ve touched the Sun! ☀️
— NASA Goddard (@NASAGoddard) December 14, 2021
Announced today at #AGU21, NASA’s Parker Solar Probe has officially become the first spacecraft to fly through the Sun’s outer atmosphere, or corona.
Learn more: https://t.co/PuvczKHVxI pic.twitter.com/CuJQ2UMymi
太陽の外側に広がるガス層・太陽コロナや、太陽が放つ「太陽風」などを調べるため、NASAは2018年8月に「パーカー・ソーラー・プローブ」という探査機を打ち上げました。
太陽に近づいて1400度の高温に耐えるNASAの宇宙探査機「パーカー・ソーラー・プローブ」の打ち上げが成功 - GIGAZINE
地球と違って、太陽はガスの塊です。ガスは重力や磁力によって太陽を覆っていますが、熱と圧力により中心から遠ざかり重力や磁力の影響下から離れてしまうポイントがあります。この点が「アルヴェーン臨界面」(アルヴェーン波の臨界面)と呼ばれる、太陽の大気の終わりと太陽風の境目で、臨界面がどこにあるのかはこれまではっきりとわかっておらず、太陽の表面から10太陽半径(約690万km)~20太陽半径(約1390万km)の範囲にあると考えられてきました。
NASAによると、パーカー・ソーラー・プローブは2021年4月の8度目の近日点通過(太陽スイングバイ)時、太陽表面から18.8太陽半径(約1310万km)のところでアルヴェーン臨界面を通過したことを報告してきたとのこと。これは、歴史上初めて、探査機が太陽コロナに触れたことを意味します。
パーカー・ソーラー・プローブは複数回にわたり太陽コロナを出入りし、アルヴェーン臨界面が滑らかな球状ではなく、表面に凹凸のある形状であることを明らかにしました。
なお、パーカー・ソーラー・プローブの目的地はアルヴェーン臨界面ではなく、最終的には太陽に8.86太陽半径(約620万km)にまで接近する予定です。今後、何度かの太陽スイングバイと金星スイングバイを行い、2024年以降に太陽に最接近する見込みです。
パーカー・ソーラー・プローブの打ち上げからの歩みは以下の映像にまとめられています。
NASA's Parker Solar Probe Touches The Sun For The First Time - YouTube
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