サイエンス

「月」以外に地球の周りを回っている知られざる天体とは?


惑星の周りを公転する天体を「衛星」と呼び、地球の周りを回る「月」がよく例に挙げられます。人工衛星を除けば月以外に地球の衛星はないように思えますが、見かけ上、地球を周回し楕円とは異なるらせん状の複雑な軌道をとってぐるぐる回る小惑星「3753 Cruithne(クルースン)」の存在が知られています。

Earth's other 'moon' and its crazy orbit could reveal mysteries of the solar system
https://theconversation.com/earths-other-moon-and-its-crazy-orbit-could-reveal-mysteries-of-the-solar-system-38010

クルースンが地球の周りをどんな風に回るのかは、以下のムービーで確認できます。

Near-Earth Asteroid 3753 Cruithne - YouTube


中央の天体は太陽で、一番左が地球、地球と太陽の間にある小さな黄色い点がクルースンを示しています。


太陽の周りを円に近い軌道で回る地球に対して、クルースンは楕円の軌道を描きます。


地球とクルースンの位置関係を示すために、緑色の線を入れてみます。


地球を中心にクルースンとの距離を白い線で描くとこんな感じ。


白い線が描く図形を眺めると、地球に対するクルースンの軌道は、楕円をゆがめたわらじのような形状を描くことが分かります。なお、この軌道の形は学術的には「馬蹄形」と表現されています。


次に、地球を中心とした場合のクルースンの軌道がよく分かるムービーがこれ。地球と同じ速度で動く物体に乗って太陽系を「上から」眺めた様子を表現しています。

Near-Earth Asteroid 3753 Cruithne - YouTube


わらじ型で周回を続けるクルースン。


太陽・地球との関係でクルースンは相対的な位置を変えながら、わらじ型を描いていきます。


地球から最も離れた位置で周回するクルースンはこんな感じ。


再び、地球に近づいてきました。


地球と太陽が重なるように「横から」クルースンの軌道を立体的に見るとこんな風に、地球の公転面に対して上下に「ゆらぎ」ながら、らせん状に周回するのが分かります。


ぐるっと一周して元の位置関係に戻ってきたクルースン。一周するのにかかる時間は約800年とのこと。


クルースンは1986年に発見された比較的新しい小惑星で、厳密には衛星ではなく「地球近傍小惑星」と呼ばれる天体です。クルースンは直径が約5kmと比較的小さな天体ですが、質量は1300億トンと推定されており、地球に衝突すれば恐竜の絶滅を引き起こしたと考えられている白亜紀の隕石衝突と同じ規模の影響が生じるとのこと。ただし、衝突する可能性は限りなくゼロに等しいくらい小さいことが分かっており、次に地球に最接近するのは2750年後と推測されています。

・関連記事
地球の目と鼻の先に地球とほぼ同じ大気・気温をもつ星「Gliese 832c」が発見される - GIGAZINE

地球に衝突しそうな小惑星はまだ10%しか発見できていない - GIGAZINE

小惑星採掘に暗雲か、投資に見あうだけの成果は得られにくいとの調査結果 - GIGAZINE

火星ヘ30日で行けるようになる核融合エンジンの研究をNASAが支援 - GIGAZINE

ハッブルの後継となる巨大宇宙望遠鏡「Webb」の開発風景が高画質写真&ムービーで公開される - GIGAZINE

宇宙のとてつもないスケールに酔いしれるSFムービー「WANDERERS」 - GIGAZINE

NASAが火星の土から水分を検出、将来は火星で水が手に入る可能性も - GIGAZINE

in サイエンス,   動画, Posted by logv_to