サイエンス

UAEの火星探査機「Hope」が種子島宇宙センターから打ち上げ成功


アラブ首長国連邦(UAE)の火星探査機「Hope」を搭載したH-IIAロケットが、日本時間2020年7月20日7時ごろに打ち上げられました。Hopeは中東・アラブ圏では初となる火星探査機になります。

Home | Emirates Mars Mission
https://www.emiratesmarsmission.ae/

The First Arab Space Mission to Mars Just Successfully Launched From Japan
https://www.sciencealert.com/first-arab-space-mission-to-mars-has-successfully-launched-from-japan

2020年7月20日6時58分、日本の種子島宇宙センターで、中東・アラブ諸国初となる火星探査機「Hope」を搭載したH2Aロケットが打ち上げられました。H2Aロケットは補助ロケットや1段目などを切り離しながら上昇を続け、打ち上げから約1時間後の午前8時頃に高度430km付近でHopeを切り離し、打ち上げが予定通り成功したことが確認されました。なお、この打ち上げは当初7月15日に予定されていましたが、悪天候のため順延していました。


打ち上げ時の映像は以下から視聴可能です。

United Arab Emirates launches mission to Mars - YouTube


Hopeは、UAEの宇宙機関であるムハンマド・ビン・ラシード宇宙センター(MBRSC)が開発した火星探査機で、アラビア語では「Hope(希望)」を意味する「Al-Amal」と表記されます。Hopeの見た目は以下の通り。寸法は縦横2.37m×高さ2.9mで重さは打ち上げ時の燃料込みで1350kg。電気出力600Wの太陽電池パドルを展開したときの翼長は、およそ7.9mです。


このHopeを火星に送り込む目的は、「火星の大気の完全な画像」を撮影することだとMBRSCは説明しています。火星の大気の完全な画像を撮影することによって、「大気下層の特徴を把握し、火星における気候力学や天気図を把握すること」「大気上層と下層の相関関係を調べ、火星の天気が水素と酸素をどのように散逸させているかを調べること」「大気上層での水素と酸素の構造と変動を調査し、火星において水素と酸素が宇宙空間に流出している原因を調べること」が可能になるとのこと。


日本が1998年に火星に送り込もうとした探査機「のぞみ」が14台もの観測機器を搭載していたのとは対照的に、Hopeは観測機器を、大気温度・氷・水蒸気・粉じんを観測する赤外線分光計「Emirates Mars Infrared Spectrometer」、高分解能で高解像度のカラー画像を撮影する多波長の耐放射線カメラ「Emirates eXploration Imager」、紫外線波長を検出することで一酸化炭素や酸素の存在量と変動を観測する紫外線分光器「Emirates Mars InfraRed Spectrometer」の3台に絞り込んだ点も特徴です。


打ち上げられたHopeは、UAEの建国50周年にあたる2021年2月に火星周回軌道入りし、火星の1年(地球の約687日に相当)にわたって火星を周回して観測を続ける予定です。

UAEは2117年までに火星に人類の居留地を作り上げることを目標としており、今回のHope打ち上げはその計画の基礎だと位置づけられています。

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in サイエンス,   動画, Posted by darkhorse_log

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