サイエンス

史上最高解像度で撮影された「太陽表面の映像」が公開される

By ipicgr

2020年1月29日、アメリカ国立科学財団(NSF)がハワイのマウイ島に建設されたダニエル・K・イノウエ太陽望遠鏡(DKIST)によって撮影された、地球から約1億5000万km離れた太陽の表面の映像を公開しました。NSFはこの研究によって、「太陽の謎」に関する理解が飛躍的に進むと述べています。

NSF’s newest solar telescope produces first images - NSO - National Solar Observatory
https://www.nso.edu/press-release/inouye-solar-telescope-first-light/

Telescope captures most detailed pictures yet of the sun | Science | The Guardian
https://www.theguardian.com/science/2020/jan/29/solar-telescope-captures-most-detailed-pictures-yet-the-sun

実際に公開されたムービーが以下。小さな細胞が寄り集まったように見えますが、この細胞は1つ1つが日本の1.8倍の面積を誇るテキサス州ほどの大きさに相当します。その細胞がうごめいているように見えるのは、表面のプラズマ大気層が沸騰しているのを捉えているため。



地球に最も近い恒星である太陽は、毎秒約500万トンの水素が燃焼する巨大な原子炉です。太陽の活動は約50億年にわたって続いており、試算によると45億年後まで継続する見込み。そんな太陽から放たれる光によって、地球には生命が芽生えました。しかし、「太陽フレア」など人類に悪影響を及ぼす太陽活動も存在することから、太陽の活動を研究する必要性が唱えられてきました。太陽フレアはコンピューターなどの電子機器に多大な影響を与える現象で、過去には海中に設置された「機雷」を起爆させたことが判明しています。

太陽フレアの影響でベトナム戦争時代に設置された「機雷」が誤爆していたことが機密解除資料から判明 - GIGAZINE

By Commander, U.S. Naval Forces Europe-Africa/U.S. 6th Fleet

そんな太陽の活動を観測するため、ハワイ語で「太陽の家」を意味する標高約3000メートルのハレアカラ山の山頂に、NSFは全長4メートルという世界最大の太陽望遠鏡・DKISTを設置しました。DKISTには太陽に焦点を合わせた際に集光によって発生する膨大な熱の対策として、夜間に生成した氷を使った冷却装置や、100個を超える風冷機器など風冷機器などが備えられています。すでにDKISTが撮影した太陽表面の映像が公開されていますが、太陽表面から地上までの磁場を測定する機器を追加して機能の追加を図る予定です。

By Ruth Kneale

NSFは「太陽が生み出す宇宙天気の理解は、地上の天気の理解に対して50年以上遅れを取っています。私たちはDKISTを使って、宇宙天気の背後にある基礎物理学を把握する予定です」「太陽活動への理解が進めば、現状よりもはるかに早く太陽フレアの発生を察知できる可能性があります。太陽フレアを事前に察知できれば、送電網などの重要なインフラストラクチャを保護するといった対策に時間を掛けられるようになります」と記しています。

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in サイエンス,   動画, Posted by darkhorse_log

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