サイエンス

地球外生命体の存在が期待できる太陽系内の天体4選


2020年9月、地球の微生物が生み出すものと同様のホスフィンガスが金星で発見され、「地球外生命体探査史上、最大の進展」と評されました。地球外生命体の存在が、にわかに現実味を帯びることとなった新発見に接したイギリス・バーミンガム大学の宇宙科学者ガレス・ドリアン氏が、生命が存在する可能性が高い太陽系内の天体を4つ挙げて、その理由を解説しました。

The four most promising worlds for alien life in the solar system
https://theconversation.com/the-four-most-promising-worlds-for-alien-life-in-the-solar-system-146358

◆1:火星
火星は、太陽系内で最も地球に似た環境を持つ惑星の1つです。1日の長さは24.5時間で、極地には季節ごとに大きさを変える氷冠があるほか、かつては豊かな水が存在したことを示す痕跡も多く確認されています。

また、大気中からは生物学的プロセスによって生成されることもあるメタンガスが検出されているほか、極地の氷の下に塩水の湖が複数存在していることが判明しています。

火星の地下に塩水の湖がいくつも存在することが判明、生命が発見できる可能性が高まる - GIGAZINE

by Kevin Gill

ドリアン氏は「かつての火星はもっと穏やかな環境だったという証拠があることを踏まえると、火星には生命が誕生できた可能性があります。現在の火星は大気が薄く、地表は太陽や宇宙からの放射線から保護されていません。しかし、もし火星の地下に水があるのなら、そこで生命が生き延びていると考える事も不可能ではありません」と述べました。

◆2:エウロパ
エウロパは、天文学者ガリレオ・ガリレイが1610年に発見した木星の第2衛星です。大きさは、地球の衛星である月よりわずかに小さく、表面は氷に覆われています。

太陽から遠く離れた氷の世界であるエウロパですが、木星や他の衛星から受ける重力の影響で絶えず変形しており、その摩擦で星の内部が熱を帯びる潮汐加熱が発生しています。この熱が氷を溶かすことで、氷の層の下には深さ100キロを超す海が広がっていると推測されており、実際にエウロパの表層から水が噴き出す様子も観測されています。

木星の衛星「エウロパ」の表面から水の噴出を観測、地球外生命体発見へ一歩前進 - GIGAZINE


エウロパについて、ドリアン氏は「エウロパ表面の氷は、防壁となって木星からの強烈な放射線や、宇宙の寒さから地下の海を守ります。また、この海の底には地球の海にあるような熱水噴出孔や海底火山が存在しているかもしれません。地球にある熱水噴出孔や海底火山では、しばしば非常に豊かで多様な生態系が育まれています」と述べました。

◆3:エンケラドゥス
エンケラドゥスは、土星の周りを33時間かけて1周する第2衛星で、エウロパと同様の氷の惑星です。

エンケラドゥスの氷の下にも、液体の海が広がっていることが判明しています。以下は、2017年にNASAが発表した、エンケラドゥスの間欠泉の映像です。

14 hours watching the plume at Saturn’s moon Enceladus, our last dedicated observation of this singular scene https://t.co/EqLPb6MsbO pic.twitter.com/hW3BVUExcz

— NASA Solar System (@NASASolarSystem)


土星探査機カッシーニが捉えた映像には、宇宙空間に向けて勢いよく噴き出す巨大な間欠泉の様子がはっきりと映っています。


ドリアン氏は、「エンケラドゥスの間欠泉からは、水だけでなく有機分子やケイ酸塩の存在も検出されています。これは、エンケラドゥスの海の底に熱水噴出孔が存在し、生命に必要なさまざまな化学物質を海に放出している強力な証拠です」と指摘しました。

◆4:タイタン
土星の第6衛星であるタイタンは、地球以外では唯一地表に豊富な大気と液体を有している天体です。タイタンには、有機物を含んだ濃いオレンジ色の雲と、地球のような季節性の雨や乾期、風によって作られた砂丘などがありますが、地球とは違い水ではなくメタンが気象現象の主役となっています。


ドリアン氏はタイタンが持つ可能性について、「太陽から遠く離れているので、タイタンの表面温度はマイナス180度と寒い環境です。しかし、タイタンには豊富な化学物質があることから、地球上の生命とは根本的に異なる生命体が存在するのではないかと想像されています」と話しました。

なお、土星やその衛星の研究に多大な貢献を果たした前述のカッシーニは、2017年に運用が終了し、土星に突入して燃え尽きましたが、2026年に新たな探査ミッション「ドラゴンフライ」がタイタンに向けて旅立つ計画が進められています。

地球外生命発見を目指した土星の衛星探査ミッション「ドラゴンフライ」をNASAが発表 - GIGAZINE

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in サイエンス,   生き物, Posted by log1l_ks

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