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太陽を地球まで持ってくると一体何が起きるのか?


人間が地球で暮らすうえでなくてはならないもののひとつである太陽を、もしも地球まで持ってくることができたとしたら一体何が起きるのでしょうか。そんな疑問に答えるムービーを、日常のさまざまな疑問に科学的・論理的なアプローチで答えるKurzgesagtが公開しています。

What Happens If We Bring the Sun to Earth? - YouTube


もしも太陽の小さなカケラを地球まで運んできたら何が起こるでしょうか?


簡単に言えば全人類が死に、より難しく回答すると太陽のどの部分を持ってくるのかによりけりと言えます。


宇宙上のほとんどの物質と同じように、太陽は固体でも液体でも気体でもなく、プラズマで構成されています。


そのプラズマは、物質が非常に熱くなって原子核と電子が自由に分離して流れることができるようになった際に、ゲル状の物質のようなものを生成します。


つまり、太陽は超高温のゲル状の球体であるとイメージできます。


構成要素のほとんどがプラズマの太陽ですが、その表面から核に近づくにつれて密度が高くなり、奇妙な性質に変化していきます。


そこで、深度ごとに性質の異なる太陽を家サイズのサンプルとして地球に持ち帰った場合、一体どういったことが起きるのかを検証してみます。


最初は太陽の大気部分にあたる「彩層」をチェック。


彩層は太陽の大気部分に相当し、太陽表面から5000kmにわたるエリアを指します。この彩層は希薄なガス層になっているとのこと。


彩層はほぼ地球と同じ大きさのプラズマ突起に覆われており、摂氏6000度から2万度という高温になっています。


そんな彩層のプラズマ密度は、地球の大気と比べて100万分の1しかありません。


したがって、もしも彩層を地球に運んでも、それは真空を地球に持ってきたこととほとんど変わりないそうです。


しかし何も起きないというわけではありません。密度が大きく異なる彩層のプラズマを地球に持ち帰ったとすると……


地球上の大気が真空(彩層)を満たそうと流れ、その結果TNT爆弾12kg相当のエネルギーが生まれます。


このエネルギーにより高圧衝撃波が発生し……


建物のガラスは粉々に破壊され、人体においては鼓膜が破裂し、いくつかの内臓器官が破壊されます。エネルギー発生源の近くにいる場合は、最悪、死ぬ可能性もあるそうです。


続いて彩層の下にある「光球」、いわゆる太陽の表層部分について考察していきます。光球は人間が見ている「太陽の光」を生み出している部分に相当します。


光球には粒状斑と呼ばれる対流模様が何百万個も存在しており……


これらはひとつでアメリカ合衆国と同じくらいのサイズがあり、温度は摂氏5000度を超えています。


この粒状斑は光球内を流れる対流の頂点部分に位置しており、太陽の中心部分から表層まで熱を運ぶためのガスを発生させています。


今回は粒状斑から数百km地下にある場所から家サイズの光球のサンプルを採取するとします。


光球は地球の大気と同等の圧力を持っていますが……


地球上の大気と比べると密度はかなり小さめ。


熱を持っているので地球に持ち帰っても爆発することはないそうです。


しかし、その中に秘めるエネルギー量はTNT爆弾25kg分に相当します。


光球を地球に持ち帰った場合、地球から見た太陽の数百万倍の明るさで輝き、数ミリ秒というほんのわずかな時間で周囲を燃やします。


燃焼時間が短いため全てが燃えてなくなるということはないそうです。ただし、燃焼時にプラズマが冷却されて有害なガスとなり、周囲に漂う模様。


さらに太陽深くにもぐると、「放射層」に到着します。


放射層のプラズマは摂氏約200万度で、密集して緊密に詰まっているためプラズマの迷路のようなものになっています。


そのため、エネルギーが光子になって逃げようとしても、プラズマ粒子と粒子の間を跳ね返ることとなり、出口を求めて何百年も何千年もさまようことになるそうです。


この放射層を持ち帰って研究室で分析するというのはとても悪いアイデアです。なぜなら、放射層を持ち帰った場合、プラズマを内部にとどめておくための圧力がなくなり、熱核兵器の動力となるような物質が爆発してしまうからです。


つまり、地球に家サイズの放射ゾーンを持ち帰った場合、研究室とその周辺の街は跡形もなく消え去ってしまいます。ただし、放射性降下物は発生しないそうです。


最後はついに「太陽核」に到着。


太陽核は全体の1%に満たない大きさですが、その質量は全体の3分の1を占めます。なお、太陽核の温度は摂氏1500万度。


核融合反応により水素と……


水素が反応し……


ヘリウムが生成されるのに十分な温度だそうです。


太陽核は太陽が死んだ数十億年後になっても白色矮星のまま輝きます。


もしも家サイズの太陽核を地球に持ち込んだ場合、それは多くの不都合を引き起こすでしょう。


太陽核は史上最大の核兵器として地上で爆発することとなり、4000万トン分のTNT爆弾相当の威力を発揮します。


また、太陽核は超高密度物質なので、地球上に運ばれた場合、地球の大気で膨張して爆発します。


もしもフランスのパリに太陽核のサンプルが出現した場合……


ロンドンでは2度目の朝日を拝むことになります。


そして、どんどん熱くなっていき、最終的にはロンドンの人たちも燃え尽きるとのこと。


なお、家サイズの太陽核が発生した地点から半径300kmに存在するものは全て燃え尽きます。


さらに、爆発により生じる衝撃波が世界上を何周もして……


中央ヨーロッパの建築物は倒壊し、人間の鼓膜は破れ、窓ガラスは割れるとのこと。


さらに、爆発は黙示録さながらの出来事となり、おそらく人類の文明は終わりを告げます。


もしも人類が生き残ったとしても、爆発により生じたちりにより大気は覆われ、地球は氷河期を迎えることとなります。


というわけで、間違いなく太陽を地球に持っていくべきではありません。

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in サイエンス,   動画, Posted by logu_ii

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