サイエンス

毎回安定しておいしいエスプレッソをいれるための科学的な方法とは?


どのようなコーヒーをおいしいと思うかは人それぞれですが、世界中のバリスタはおいしいコーヒーのレシピを求め、日々試行錯誤を繰り返しています。コーヒーの中でも、熱湯に圧力をかけて抽出するエスプレッソを作る際に重要な「液体の透過率」をモデル化する研究についての論文が、学術誌のRoyal Society Open Scienceに掲載されました。

A model for the permeability of coffee pucks validated using X-ray computed micro-tomography | Royal Society Open Science | The Royal Society
https://royalsocietypublishing.org/rsos/article/13/4/252031/481206/A-model-for-the-permeability-of-coffee-pucks

A new equation may help baristas produce the perfect espresso shot every time
https://phys.org/news/2026-04-equation-baristas-espresso-shot.html

エスプレッソは専用のエスプレッソマシンで作るのが特徴であり、フィルターの中に細かくひいたコーヒー粉を詰め、そこに圧力をかけた熱湯を通すことでコーヒーの成分を抽出します。この際、一定時間内にコーヒー粉を液体が通過する速度(透過率)が熱湯とコーヒー粉が接する時間を決定し、それによってカフェインなどの可溶性成分の抽出可能性が左右されます。


バリスタはおいしいエスプレッソを作るために、コーヒー豆のひき具合(粒度)やフィルターに詰める豆の量などを調整することで、適切な液体の透過率を目指します。しかし、コーヒー豆の粒度や量によって透過率がどのように変化するのかを予測する汎用(はんよう)的なモデルは、これまで存在していませんでした。

今回、ドイツのミュンヘン大学などの研究チームは、微視的なレベルの粉末を調べることでエスプレッソの透過率をモデル化する研究を行いました。一般的には、ひき目が細かいほど液体が流れる粒間の細孔が狭くなりって液体の流れが遅くなる一方で、ひき目が粗くなるほど細孔が大きくなって液体の流れが速くなると考えられています。

実験には焙煎(ばいせん)したルワンダ産とコロンビア産のコーヒー豆が用いられ、極細びきから粗びきまで11段階の粒度で粉にして、小さなプラスチックチューブに詰めました。その後、X線マイクロCTを用いてコーヒー粉の内部構造の3Dデジタルマップを作成し、デジタル流量テストを行って液体が流れる箇所と滞留する箇所を特定しました。

以下の画像はaとbがルワンダ産、cとdがコロンビア産のコーヒー豆をひいたものであり、aとcは遠くから、bとdは至近距離から粉の粒を撮影したもの。左から右へ行くにつれてひき具合が粗くなっていき、一番左ではほとんどが粉状になっている一方、一番右では大きめの粒がごろごろ残っていることがうかがえます。


以下が作成したコーヒー粉の3Dデジタルマップです。a~hがコロンビア産、i~pがルワンダ産のコーヒーで、それぞれの粉を通り抜ける液体の速度が遅いほど赤色、速いほど青色で示されています。a~dとi~lは固体部分を50%残したもの、e~hとm~pは固体部分を除いたもので、左から右へ行くにつれてコーヒー粉の粒径が大きくなっています。


実験の結果、コーヒー粉に対する液体の透過率は、主に連結した細孔の量や粉の表面積、平均粒径、豆の詰め具合に依存するという方程式が導き出されました。全体的には豆を細かくひくほど透過率は低下しますが、最終的には方程式に含まれる複数の要因によって左右されるとのこと。

コーヒー豆を細かくひきすぎると透過率が下がり、粉の量が多すぎてもコントロールが難しくなって味にぶれが生じる可能性があります。研究チームは、豆をやや粗めにひいて量を少なめにすることで、より質が安定したエスプレッソを入れることができると説明しています。

なお、豆の粒がぬれたことによる変化などは未解明であり、研究チームは論文中で「私たちのモデルは、粒子の膨張とその可能性について集中的な調査が必要であることを示しています」と述べています。

今回の研究について報じた科学系メディアのPhys.orgは、「この研究によってバリスタのコーヒーの入れ方が一夜にして変わる可能性は低いですが、豆のひき具合やフィルターへの詰め方が、コーヒーの流量にどのような影響を与えるかをより正確に予測するのに役立つ可能性があります」と述べました。

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in サイエンス,   , Posted by log1h_ik

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