メモ

世界各国のCOVID-19による死者数は少なめに報告されているという指摘


新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による死者数が日本を含む世界各国から発表されています。しかし、イギリスの週刊誌The Economistは「発表される死者数は実際の死者数とかけ離れている」と指摘し、独自の方法で算出したCOVID-19による各国の死者数を報告しています。

Tracking covid-19 excess deaths across countries | The Economist
https://www.economist.com/graphic-detail/coronavirus-excess-deaths-tracker

世界各国の政府は、COVID-19による死者数を定期的に報告しています。しかし、The Economistは「発表される死者数には、新型コロナウイルス検査で陽性だった人数だけが含まれているため、検査体制が整っていない地域での死者はカウントされていない」と指摘。また、「病院や担当当局の事務処理に遅れが生じている」「COVID-19によって医療体制がひっ迫し、COVID-19以外の患者が病院に行けずに死亡した可能性がある」といった理由から、「COVID-19による世界各国の実際の死者数と報告されている死者数の間には、差がある」と主張しています。


そこで、The Economistは世界各国の過去の死者数の統計から、「COVID-19が流行していなかった場合の、2020年から2021年にかけての死者数」を予測し、実際の死者数と比較して算出した世界各国の超過死亡数を報告しています。

以下の表は、左から順に国名・集計期間・各国が報告したCOVID-19による死者数・The Economistが算出した超過死亡数・1万人当たりの超過死亡数が記されています。アメリカ(United States)政府は2020年3月8日~2021年4月17日に55万8060人がCOVID-19によって死亡したと報告していますが、The Economistが算出した超過死亡数は59万7490人と、政府の報告より人数が多くなっています。また、ロシア(Russia)の2020年4月1日~2021年3月31日の報告死者数は9万7200人ですが、超過死亡数は49万4610人で、報告された人数と超過死亡数の間に大きな差が存在することが分かります。


日本における2020年3月1日~2021年2月28日の報告死者数は7880人ですが、超過死亡数はマイナス1万1280人。このThe Economistによる分析結果は、2021年4月に厚生労働省の研究班が報告した「現時点の分析では新型コロナウイルスが死亡者数の変動に大きな影響を与えたとは考えられない」とする超過死亡数の分析結果を裏付けるものとなっています。


以下のグラフは、濃い線がCOVID-19による死者数の公式発表で、ピンクのエリアはThe Economistが算出した超過死亡数を表しています。アメリカのいくつかの州における死者数の推移を確認すると、ニューヨーク州やニュージャージー州では2020年3月~20200年4月にかけてCOVID-19による死者数が爆発的に増加したことが分かります。また、サウスダコタ州・ノースダコタ州・ニューメキシコ州・ウエストヴァージニア州では、2020年11月ごろに死者数が増加していたことも分かります。


東ヨーロッパの国々でのCOVID-19による死者数の推移はこんな感じ。アメリカと比べて、政府によって報告されている死者数とThe Economistが算出した超過死亡数の間の開きが大きい事が分かります。The Economistは「ロシアは世界で最も報告死者数と超過死亡数の開きが大きい国の1つです。ロシアは2020年4月~2021年2月までの間に予想よりも約46万人多くの死者が記録されていますが、政府が報告したCOVID-19による死者数はわずか8万5000人でした」と指摘しています。


なお、The Economistの超過死亡数の算出モデルは、公式GitHubリポジトリで公開されています。

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in メモ, Posted by log1o_hf

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