「Macには許容できない量のマルウェアが存在している」とApple幹部が裁判で証言
App Storeの手数料30%を巡って行われているAppleとEpic Gamesの対審で、Appleのソフトウェアエンジニアリング担当上級ヴァイス・プレジデントを務めるクレイグ・フェデリギ氏が、「macOSとiOSのエコシステムの違いについての証言の中で、Macがおびただしい量のマルウェアに脅かされている」と語ったことが報じられています。
Craig Federighi says the Mac has an ‘unacceptable' malware problem - 9to5Mac
https://9to5mac.com/2021/05/19/craig-federighi-mac-malware-problem/
The level of Mac malware is not acceptable, says Apple’s Craig Federighi at Epic trial - The Verge
https://www.theverge.com/2021/5/19/22444353/mac-malware-not-acceptable-craig-federighi-apple-epic
「フォートナイト」を開発するEpic Gamesが「AppleがApp Store以外の決済手段を認めないのは独占禁止法に違反している」として、2020年8月にAppleを提訴しました。その裁判には、Appleのティム・クックCEOとフェデリギ氏も出廷することが報じられていました。
Apple対Epic Games訴訟の対審がスタート、ティム・スウィーニーCEOも発言 - GIGAZINE
裁判の論点の1つとして、「Macは複数のアプリストアにアクセスできるのに対して、なぜiPhoneはApp Storeのみに限定されるのか」というものがありました。証人台に立ったフェデリギ氏は裁判官からの質問に対し、「iOSは顧客保護のために、劇的に高いセキュリティ基準を確立しました。Macはその基準を満たしておらず、許容できない量のマルウェアに脅かされています」と答えました。
フェデリギ氏は、複数のアプリストアにアクセスできるプラットフォームの例としてAndroidを挙げ、「セキュリティ業界では、Androidにマルウェアの問題があると認識されています。iOSはこれまでのところ、マルウェアに先手を講じてきました」と述べました。
さらにフェデリギ氏は、「Macは、必要に応じてオフロードで走り、どこでも運転できる車のようなものです。それはユーザーが求めていたものですが、ある程度の責任が求められます。iOSの場合は、子どもが安全にiOSデバイスを操作できるものが求められたのではないでしょうか。MacとiOSデバイスは本当に違う製品なのです」と説明しました。
一方で、「Macは安全なプラットフォームなのか」という質問に対して、フェデリギ氏は「PCクラスでみれば可能な限り最も安全です」と答え、「車の運転方法を知っていて、交通ルールを守り、慎重に行動すれば、安全だといえます。そうでない場合はマルウェアをインストールされてしまうこともありますが、最終的にはMacは安全に操作できるものだと信じています」と述べました。
また、「App Storeを介さずにアプリを導入するサイドローディングはiOSのセキュリティに影響を与えるか」という質問に、フェデリギ氏は「劇的に変わる」と回答し、「ソフトウェアが直接ダウンロードできるようになると、安全でないアプリをアップロードしても誰もポリシーをチェックせず、人間によるポリシーレビューは実施されません」と述べました。
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