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Epic GamesはSteamと対抗するために約300億円の損失を生み出している


人気対戦ゲーム「フォートナイト」を開発するEpic Gamesは、アプリ配信プラットフォームのApp Storeがあまりに多額の手数料を徴収しているのは独占禁止法に違反しているとして、Appleと法廷闘争を展開しています。そんなEpic Gamesが、競合するゲーム配信プラットフォームのSteamと対抗するために2億7300万ドル(約300億円)の損失を計上するという予測が、裁判の資料で示されました。

21-04-07 Apple Proposed Findings of Fact and Conclusions of Law | App Store (I Os) | Ios
https://www.scribd.com/document/502037049/21-04-07-Apple-Proposed-Findings-of-Fact-and-Conclusions-of-Law


Epic is losing hundreds of millions of dollars in its war against Steam • Eurogamer.net
https://www.eurogamer.net/articles/2021-04-10-epic-is-burning-hundreds-of-millions-of-dollars-on-epic-games-store-exclusives-in-its-war-against-steam

Epic Gamesは「Steamの販売手数料30%は法外である」という主張を行い、Steamに対抗するために自社が運営するEpic Gamesストアで多くのゲームタイトルを独占販売してきました。


例えば、Kickstarterで出資を募って2019年に発売されたシェンムー3は、当初Steamからリリースされる予定でしたが、突如としてEpic Gamesストアで期間限定の独占配信が発表されるという騒動がありました。

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また、Ubisoftの人気サードパーソンシューティングゲーム「Division 2」も、Steamでの配信が急きょ取りやめになり、Epic Gamesストアでの独占販売が行われました。

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こうした独占販売戦略にはユーザーからも不満の声が多く挙がりましたが、Epic Gamesのティム・スウィーニーCEOは「ゲーム業界に恒久的な影響を与えて現状を打破するための唯一の戦略は独占だと信じています」とコメントしました。

This question gets to the core of Epic’s strategy for competing with dominant storefronts. We believe exclusives are the only strategy that will change the 70/30 status quo at a large enough scale to permanently affect the whole game industry.

— Tim Sweeney (@TimSweeneyEpic)


さらに、Epic GamesはSteamに対抗するための戦略として、無料でゲームを配布するキャンペーンを定期的に実施しています。配布されたタイトルにはインディーズゲームだけではなく、AAA級のタイトルが無料で配布されることも多くあります。

「無料で毎週ゲームを配るキャンペーンを2020年も続ける」とEpic Gamesが発表 - GIGAZINE


しかし、Appleが裁判所に提出した資料では、「Epic Gamesの幹部による証言」として、Epic Gamesストアは採算が取れていないことが示されています。

資料によればEpic Gamesストアは、2019年には1億8100万ドル(約200億円)の損失を出しており、2020年には約2億7300万ドル(約300億円)の損失が出ていることが予測されています。

「注目のゲームタイトルをEpic Gamesストアで期間限定で独占配信し、発売日から半年~1年後にSteamなど他のプラットフォームからも販売させる」という戦略を行うために、Epic Gamesは各ゲームパブリッシャーに最低保証金を支払う必要があります。例えば、Epic Gamesはアクションアドベンチャーゲーム「Control」の独占販売権に105万ドル(約12億円)を費やしたことが報じられました

海外ゲーム系メディアのEurogamerによると、Epic GamesはEpic Gamesストアの採算が取れていないことを認めており、2021年はおよそ1億3900万ドル(約150億円)の損失が生じると予想しているとのこと。また、独占販売の最低保証金だけでも3億3000万ドル(約360億円)の未回収コストが生まれており、Epic Gamesストアが経営的にかなり厳しいとみています。

Epic Gamesストアにおける販売手数料は、App StoreやSteamの半分以下である12%に設定されています。しかし、Appleは「手数料12%では、ゲーム配信プラットフォームの運営が経済的に厳しい」という点を裁判でアピールすると考えられます。さらにAppleは「2018年から2019年にかけて、フォートナイトの月間平均アクティブユーザー数と収益が減少している」という見解を発表しました。

これに対してEpic gamesは「支払い処理、カスタマーサービス、帯域幅など、Epic Gamesストアを満足に運営するには手数料12%で十分」と主張を重ね、Appleの指摘を否定しているとのこと。両者の詳細な主張内容は5月に行われる予定の裁判で明らかとなります。

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in ネットサービス, Posted by log1i_yk

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