Valveに「Steamの売上データをAppleに提出せよ」という裁判所命令が下る、Epic Games対Appleの裁判にて
by Tamahikari Tammas
Epic GamesとAppleの法廷闘争の中で、AppleがValveに「PCゲーム販売に関するデータ」を提出するよう求めた一件について、Valveに対して「召喚状に応じて販売データを提出せよ」という命令が下りました。
gov.uscourts.cand.364265.356.0.pdf
https://www.courtlistener.com/recap/gov.uscourts.cand.364265/gov.uscourts.cand.364265.356.0.pdf
Valve has to provide some Steam sales data to Apple, judge says | Ars Technica
https://arstechnica.com/gaming/2021/02/judge-orders-valve-to-provide-some-steam-sales-data-to-apple/
2020年8月、アプリ配信ストアのApp Storeで配信されるアプリがサードパーティの決済手段を認められていないという点を不服として、Unreal Engineやフォートナイトで知られるEpic GamesがAppleを提訴しました。この法廷闘争の中でAppleは「フォートナイトを配信する上で、iOS向けApp Storeの『経済的な代替手段となる可能性のある』ほかのプラットフォームを確立するために重要なもの」「Epic Gamesが利用可能なデジタル配信チャネルの市場規模の合計を算出する上で極めて重要」という理由から、PC向けゲーム配信プラットフォームとして世界最大手のSteamを運営するValveに対し、PCゲーム販売に関するデータを提出するように要求しました。
Apple対Epic Gamesの法廷闘争にValveが巻き込まれる - GIGAZINE
Valveが提出を求められたデータは、「1:アプリおよびアプリ内製品の年間総売上高、Steamからの年間広告収入、Steamに起因する外部製品の年間売上高、Steamからの年間収入、Steamからの年間収益」「2:Steam上の各アプリの名前、アプリがSteamで利用可能になった日付範囲、Steamで利用可能なアプリおよびアプリ内製品の価格」の2点。これに対しValveは「この情報は独占的なものであり、Appleのケースとは関係がなく、資料作成には費用がかかり、そもそも作成が非常に難しいものである」という理由から提出を拒否していました。
しかし現地時間2021年2月25日、Valveに対しAppleの要求を受け入れてデータを提出せよという裁判所命令が下りました。Appleの主張が全面的に認められたわけではなく、Valveに対して下された命令は「『SteamとEpic Gamesストアの両方で利用可能な特定タイトル436本』に関する価格設定と販売データの提出」のみ。当初Appleは3万タイトル以上のデータやSteamの年間収益のデータの提出までをも求めていたため、Valveの主張が一部受け入れられた形です。
本件の審理を担当するカリフォルニア北部地区連邦地方裁判所のThomas Hixson裁判官は、Valveの「モバイル端末やタブレット向けにゲームを販売しておらず、アプリ販売に関連する本件とは無関係」という主張を「SteamとEpic Gamesストアの双方で販売されているゲームならば関係性がある」と判断したとコメント。Epic Gamesの「App Storeの30%という手数料は反競争的である」という主張を考慮する際にSteamとの対比は有用であるという見方を示しました。
また、Hixson裁判官はValveの「資料作成には従業員を複数人かつ何時間も拘束しなければならず、負担が大きい」という主張を考慮し、Appleが主張した「2015年以降の販売データ」ではなく、Epic Gamesストアが登場した「2018年以降の販売データ」のみを提出せよと命じています。
・関連記事
Apple対Epic Gamesの法廷闘争にValveが巻き込まれる - GIGAZINE
「フォートナイト」開発元のEpic GamesがAppleを提訴 - GIGAZINE
Appleが「フォートナイト」開発元のEpic Gamesを「全面排除する」と脅迫 - GIGAZINE
Apple対Epic Gamesの法廷闘争に対して裁判官が「Epicはフォートナイトについてウソの証言をしていた」と発言 - GIGAZINE
Apple対Epic Gamesの法廷闘争で「売上を盗まれた」というApple側の主張が棄却される - GIGAZINE
Epic GamesがAppleの独占禁止法違反を欧州委員会に申し立て - GIGAZINE
・関連コンテンツ