ネットサービス

Amazonが「検閲を行わない」と明言し排斥されたSNS「Parler」から再び訴えられる


2021年3月2日、運営側が投稿内容のチェックを行わないと公言し、主にドナルド・トランプ氏の支持者から人気を集めていたSNS「Parler」が、「アマゾンウェブサービス(AWS)から一方的に追い出された」として、名誉毀損(きそん)および契約違反などの理由からAmazonを訴えていたことが判明しました。同日、Parlerが2021年1月11日にAmazonに対して起こした反トラスト法違反に関する訴訟が取り下げられていたことも判明しています。

PARLER LLC V AMAZON - DocumentCloud
https://beta.documentcloud.org/documents/20495151-parler-llc-v-amazon


Parler drops federal lawsuit against Amazon — but files another in state court - The Verge
https://www.theverge.com/2021/3/3/22310873/parler-amazon-aws-lawsuit-antitrust-hosting-free-speech

Parler unleashes 15-count lawsuit on Amazon, alleging defamation, bullying and bias for Twitter - GeekWire
https://www.geekwire.com/2021/parler-unleashes-15-count-lawsuit-amazon-alleging-defamation-bullying-bias-twitter/

大手SNSがユーザーデータの収集やプライバシー保護、言論の抑圧といった点で問題視されるなか、Parlerは強力なプライバシー保護と言論の自由を約束するプラットフォームとして2018年に創設されました。


しかし2021年1月6日に起きたトランプ支持者によるアメリカ連邦議会議事堂襲撃事件に関するコンテンツがプラットフォーム上に氾濫したことを受け、AppleやGoogleが「Parlerには問題のあるコンテンツが含まれている」としてApp StoreおよびGoogle Play上からParlerを削除。さらに2021年1月10日にAmazonがAWSのウェブホスティングサービスからParlerを排除したことで、Parlerは代替となるウェブホスティングサービスを見つけられないまま、1カ月間サービスを停止せざるを得ない状況に追い込まれました。

Amazonもウェブホスティングサービスから「Parler」を排除、IT大手によるParler排斥の動きが進む - GIGAZINE


この件に対しParlerは「契約を一方的に打ち切られた」として、2021年1月11日にAmazonに対し訴えを起こしました。

トランプ支持者が集うSNSアプリ「Parler」がAmazonを訴える - GIGAZINE


しかし、この訴えと同時に提出していたAmazonのウェブホスティングを復活させるための仮差し止め請求は、「Parlerの主張は不完全である」として2021年1月21日に拒否されていました。

裁判官がParlerが要求した「Amazonのウェブホスティングを復活させるための仮差し止め命令」を拒否 - GIGAZINE


Parlerは追加の証拠を準備していましたが、2021年2月16日の提出期限に間に合わず、裁判所から2週間の期限延長を言い渡されます。2週間後の3月2日、Parlerは訴えを取り下げて、新たに名誉毀損や契約違反などを理由とした訴訟を起こしました。

Parlerはその主張の中で、ParlerがAmazonと契約した理由は、AWSの契約内容に「契約の重大な違反があった場合、Amazonはクライアントに30日間の是正期限を与える」という条項があったためだとしています。しかし、実際にはAmazonは30日の是正期限を与えておらず、Parlerは「Amazonがこの条項に違反したことは明白であり、この条項がなければAmazonとの契約に同意しなかった」と述べ、ParlerはAWSからの排除により数千万人のユーザーと数億ドル(数百億円)の年間広告収入を失ったと主張しています。


これに対しAmazonは「投稿内容をチェックしないというParlerの権利は尊重するが、Parlerには他者に対する暴力を助長および扇動するコンテンツが含まれているため、これがAWSの利用規約に違反していることは明らかである。さらにAmazonからの再三の警告があったにもかかわらず、これらのコンテンツを削除できない、あるいは削除することを望まなかったため、Parlerに対するサービスを停止した」との声明を発表しました。

Parlerはまた、2020年12月15日にAmazonがTwitterと「タイムラインを強化する」ことなどを目的とした複数年契約を結んだ事例を挙げ、「Twitterに競争上の脅威として迫るParlerに、FacebookやTwitterから利用制限を受けたドナルド・トランプ氏が何百万人ものフォロワーとともに乗り替えることをAmazonが阻止した」と述べ、大企業が新進気鋭のテクノロジー企業を破壊しようとしていると苦言を呈しています。

なお、Parlerは代替のウェブホスティングサービスを利用し、投稿の監視は行わないという方針はそのままに2021年2月15日に復活を果たしています。しかし依然としてApp StoreやGoogle Play上からは削除されたままであり、AWSからの排除前に投稿されたコンテンツは全て失われています。

SNS「Parler」が1カ月ぶりに復活、脱AWSにより - GIGAZINE

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
議事堂が襲撃された時SNS「Parler」で投稿されていたムービー500本以上が公開中 - GIGAZINE

SNS「Parler」の排斥こそGoogle・Amazon・Appleの独占を表すのに政治家は非難しないという矛盾 - GIGAZINE

「ロゴがそっくりだ」として問題になっていたAppleとPrepearの商標権争いが無事解決 - GIGAZINE

巨大企業から訴えられた場合になどに備え、いい弁護士を選ぶ方法 - GIGAZINE

in ネットサービス, Posted by log1p_kr

You can read the machine translated English article here.