サイエンス

顔認識能力と外向的・内向的な性格との間には関連がある


スーパー・レコグナイザー」という、AIの顔認証技術以上の能力を持つ人がいる一方で、「発達性相貌失認」の人は、他人の顔を認識することがとても困難です。ほとんどの人の顔認識能力はこの両極端の間にあり、何百という顔を見分けられますが、それでも個人差があります。この能力の差は、性格の違いにあるのかもしれません。

Introvert? You may just be bad at recognising faces
https://theconversation.com/introvert-you-may-just-be-bad-at-recognising-faces-123205


顔認識能力の違いが何に起因するものなのか、はっきりとはわかっていませんが、「脳の処理や構造の違い」「記憶や視覚処理などの認知能力との関係」「人格や社会的・感情的機能の反映」などが理由として考えられています。

2010年に「被験者に複数の顔を見せて、その身元を識別する」「その後、新たな顔を混ぜて、見たことがあるか追加された顔かを識別する」という実験が行われました。このとき、感情移入能力が高いと自認する被験者は、感情移入能力が低いと自認する被験者より顔認識能力が有意に優れていました。また同時に、不安レベルが有意に低いと報告した人は、顔認識能力が高かったこともわかりました。


「不安」と顔認識能力の関連は女性の方が顕著に現れることがわかっています。特に、社会不安との関連が示唆されていますが、状況不安も一因であるとされています。一例として、ストレスの多い状況で事件を目撃した人が、容疑者の顔を認識できないケースが挙げられます。

マンチェスター大学のカレン・ランダー氏らは、人の外向性と顔認識能力の関係を調べるため、さまざまな性向の人100人を集めました。そして被験者に、有名人の顔を見て名前などの情報を入力してもらう顔認識実験と、2つの顔を見て同一人物か別の人かを当てる顔照合実験を行いました。すると、外向性と顔照合実験の結果に関連は見られなかったものの、外向性と顔認識実験との結果には正の関係がみられたとのこと。

これにより、過去の研究と合わせて、外向性と顔認識能力との間には何らかの関連があることが示唆されています。

ただ、「外向的な人は、内向的な人に比べて社会情報を読み解く力に優れ、社会活動に積極的に参加する傾向がある(他人と顔を合わせる機会が多い)ので、顔認識能力は高くなるはず」という推測は立っても、それが「性格ゆえに能力を得た」のか、「能力があるからそういう性格になったのか」は、まだはっきりしていないとのこと。ランダー氏によると、外向性、顔認識ともに、まだ知られていない別の要因と関連しているかもしれない、とのことです。

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in サイエンス, Posted by logc_nt

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