メモ

「リア充・外向的」と「内向的」な性格が身体の健康におよぼす影響とは

By W_Minshull

「外交的」「リア充」という言葉があてはまる人には非常に活発的で健康的なイメージが連想される一方で、「内向的」という言葉のイメージからはあまりエネルギーを感じることができないもの。近年の研究では性格と人間の身体の健康には一定の相互作用があり、外交的な性格を持つ人は身体の免疫能力が高い傾向を示すということが明らかになってきています。

Extroverts may have stronger immune systems - health - 21 January 2015 - New Scientist
http://www.newscientist.com/article/mg22530054.000-extroverts-may-have-stronger-immune-systems.html

「人間に備わったパーソナリティ(性格)は、その人が持つ世界を形づくることになります」と語るのは、性や生命を科学的に取り上げるジャーナリストのリンダ・ゲベス氏。「何人の友人を持つか」「どの仕事の分野で秀でた才能を発揮するか」そして「逆境に対してどのように立ち向かうか」という人生における行動は、全てその人が持つ人格にもとづいて決定されるものと語ります。


そのような性格は、その人の行動・生活にとどまらず、健康状態にも影響を与えていることが明らかになっています。2014年12月に発表された性格と免疫系における因果関係に関する研究結果では、高い自制心を持つほど身体の免疫能力が低く、一方で非常に外交的な性格を持つ人ほど高い免疫力を示す傾向があると結論づけられています。

「外交的であるほど、健全な身体に恵まれる」という傾向が示されたわけですが、実は手放しで喜ぶことばかりではありません。若いうちは外交的であるほど健康な身体に恵まれる傾向にあるのも確かである一方、そのような「高揚した状態」が長く続くことで糖尿病やアテローム性動脈硬化症、そしてガンのような病気のリスクが高くなることも明らかになっているのです。

どうやら、免疫力の高さを基準に性格の優劣をつけるというのは早計と言えるようで、研究チームに加わったアメリカ・UCLAのスティーブン・コール博士は「大事なことは、私たちの健康について起こっていることは、私たちの頭の中や人生につながっているということなのです」とそのポイントを語っています。「性格が身体の健康に影響をおよぼす」ということを頭に入れておけば、おのずと免疫力が高くなるような考え方や性格に近づいていくことはできるのかもしれません。

◆性格の要素となる「Big 5」
イギリス・ノッティンガム大学のキャヴィタ・ヴェッダーラ教授は、121名の健康な学生や大学職員を対象に性格に関するアンケート調査を実施。アンケートでは、人間の性格を構成するといわれる「経験への開放性」「勤勉性」「外向性」「協調性」「情緒不安定性」の5大要素、いわゆる「Big 5」について、そして喫煙や飲酒、運動の頻度など特定の性格と関連があるとされる行動についての質問が行われました。また、参加者の血液サンプルを採取して外向性や免疫体の生産などにつながる遺伝子の調査が併せて実施されました。

その結果からは、アルコール摂取の習慣による影響を考慮しても、外交的なグループでは精神の高揚を引き起こす遺伝子の活性度が内向的なグループよりも17%高いことがわかりました。また、誠実性で高い点数を示したグループでは、同じ遺伝子の活性度が16%低いことも判明しました。

By Richard Ricciardi

イギリス・マンチェスター大学のダニエル・デイビス教授(免疫学)は「『私たちの性格や人生の大部分は病気に対抗する遺伝子によって作られている』という考え方が幅広い分野で注目されています。性格と健康との関連性は無視することができません」と近年の状況について語ります。

◆「性格が先か、免疫力が先か」
仮に性格と身体の健康に明らかな関連性が立証されることになると、次に投げかけられることになるのは「免疫力が性格を形成するのか、それとも性格が免疫力をもたらすのか」といういわゆる「ニワトリタマゴ」の質問になるといえるでしょう。

これまでの研究では、ストレスなどの要素が精神の高揚を引き起こす遺伝子の活動を活性化させ、病気に対する耐性が向上するきっかけになることが判明しています。コール博士は「外向的な人に対し、高い自制心を持つ人は精神が高揚することが少ないため、身体的なケガに遭遇する可能性が低くなります。また何らかの病原を持っている人と接触することも少なくなるため、病気にかかる可能性も低くなります。外交的な人がそうであるように、多くの人と出会う場合には精神の高揚を促す遺伝子の働きが強くなり、免疫力を高めるという反応は、じつに理にかなったものと言えます」と語っています。

By xstc

一方で逆の目線から考えた場合、免疫系が私たちの性格に影響を与えるメカニズムはどのようになっているのでしょうか。免疫力を高める免疫細胞からは、細胞の活動を活発化させるサイトカインと呼ばれる物質が分泌されます。サイトカインは身体細胞の働きを活性化させて免疫力や治癒力を高める働きがあるのですが、この物質は脳への物質交換を制限する血液脳関門を通過できるという性質が備わっていると考えられており、これを通過したサイトカインが脳細胞にも作用して脳の働きに影響を及ぼしていると考えられています。

しかし同時に、免疫系には誠実性などの性格の特性にも影響力があるとする考え方も存在しています。アメリカ・スタンフォード大学のヴァレリオ・ナポリオーニ研究員は「人間は進化の歴史の中で何回も病気のまん延による危機に遭遇しており、その適応力が試される機会にさらされてきました。免疫系の作用に加え、人間の行動そのものも病原体に対する防護策として役目を果たしてきたと考えられます」と語っています。ナポリオーニ氏は、感染症に影響されやすい傾向があるACP1変異遺伝子を持つアメリカ人は、内向的で新しい経験に対して消極的であるという調査結果を発表しています。

◆健康的な生活と性格
このように、性格と身体の健康度には一定の相関関係があることが近年の研究結果から浮き彫りになってきました。まだまだ不明な部分は多く残されていますが、生活を健康的なものにするためには気持ちのあり方や性格を見つめ直すことも一定の効果が期待できるといえそうです。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
人を幸せにするものは何か?ということがハーバード大学の75年間の研究で明らかに - GIGAZINE

「共感」によって人間関係をうまくいかせるという方法 - GIGAZINE

社会性のあるクモは性格によって効率的にこなせる仕事が違うことが判明 - GIGAZINE

ゴキブリはお互いが意思疎通して行動する民主主義の世界に生きていた - GIGAZINE

相手と円滑にコミュニケーションを取るための10のポイント - GIGAZINE

リア充を爆発させられるライフログアプリ「REAL10(リアジュー)」を筑波大学が開発 - GIGAZINE

クリスマスを一人で過ごす人には胸が痛い、愛で溢れた世界の光景 - GIGAZINE

神経科学者が自分の脳を調べたらサイコパスだったことが発覚 - GIGAZINE

in メモ,   サイエンス, Posted by darkhorse_log

You can read the machine translated English article here.