社会性のあるクモは性格によって効率的にこなせる仕事が違うことが判明
By photoholic1
アリやハチは、女王をトップとして階級ごとに仕事が分業される、という他の動物には見られない特殊な文化を持った昆虫です。体のサイズが大きい兵隊アリは体の小さい働きアリを守るというふうに、成虫は性別や身体的要因から仕事が区分されます。節足動物に分類されるクモの中にも「成虫が幼虫をしばらく育てる」「何匹か集まって大きな集団を形成する」といった種類が確認されています。インド理科大学院の研究チームが、成虫が幼虫を一定期間そだてるクモを研究したところ、身体的要因ではなく、個体の性格によって得意な仕事があることが判明しました。
Animal personality aligns task specialization and task proficiency in a spider society
http://www.pnas.org/content/early/2014/06/11/1400850111
Social spiders let their personalities choose their jobs | Ars Technica
http://arstechnica.com/science/2014/06/social-spiders-let-their-personalities-choose-their-jobs/
これまでの研究から、1つの巣で幼虫を育てるクモの雌には、攻撃性が高いものと従順な性格を持つ2つの種類が存在することが確認されています。インド理科大学院の研究チームは、攻撃的なクモと従順なクモの行動や特徴を研究し、両者の間に違いがないか調べたというわけです。
研究から攻撃的なクモは従順なものと比べて、獲物を捕らえる際の仕事の効率性が2倍で、侵入者に攻撃を仕掛ける頻度も3倍、さらに、従順なものより3倍近い成功率で侵入者を追い出すことに成功していることがわかりました。また、攻撃的なクモが作った巣は、従順なクモが作ったものより65%長持ちすることも判明。
By Wendell
では、従順なクモは一体何に特化しているのか。研究チームによると、従順なクモの行動を徹底的に追跡することで、その存在理由が明確になったとのこと。一見従順なクモは繁殖のためにエネルギーを蓄えているように見えますが、実は幼虫を育てることに特化していることがわかりました。
1つの巣に10匹の幼虫がいるとき、攻撃的なクモと従順なクモの間に、幼虫の育成に関して大きな差は見られませんでした。しかしながら、幼虫の数が25匹を超えると、従順なクモの幼虫のうち約半分は成虫になるまで生存できるものの、攻撃的なクモの幼虫は約3分の1しか生存できないことが判明。育てるクモの性格の違いによって幼虫の生存確率が変わってくることが確認されました。
By Randy
なぜ攻撃的なクモの幼虫のほうが生存確率が低くなってしまうかというと、攻撃的なクモは幼虫を食べてしまう傾向があったからです。従順なクモも幼虫を食べてしまうことがあるのですが、攻撃的なクモの方が、幼虫を食べてしまう行動を取りやすいとのこと。
研究チームは「性格による行動の違いは、両者の神経システムが違うことが原因で発生している可能性がある」とする一方、「動物や昆虫の種としての性格ではなく、個体の性格の違いが行動特性に変化をもたらしているとも言える」と見解を述べています。今回確認されたのクモの生態は、成虫が幼虫を育てる種類だけでなく、何匹か集まって共生する種類のクモにも当てはまる可能性があります。何匹か集まって共生する種類のクモは、アリやハチと同じように「成虫になった時は身体的要因で特化した役割が与えられる」と考えられていますが、今回の発見は今後の研究方針を大きく変える可能性があるとのことです。
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