オックスフォード大学とアストラゼネカ開発の新型コロナワクチンが高い有効性を示したという報告

イギリスのオックスフォード大学と製薬会社のアストラゼネカが、共同で開発している新型コロナウイルスワクチン「ChAdOx 1 nCoV-2019」について第III相臨床試験の中間データを発表しました。それによると、ワクチンの有効率は平均して70.4％と、高い効果を示したとのことです。

Oxford University breakthrough on global COVID-19 vaccine | University of Oxford
https://www.ox.ac.uk/news/2020-11-23-oxford-university-breakthrough-global-covid-19-vaccine

ChAdOx 1 nCoV-2019は「低中所得国に永続的に新型コロナウイルスワクチンを非営利で提供する」ことを目的として、オックスフォード大学とアストラゼネカが共同開発しているワクチンです。ChAdOx 1 nCoV-2019の第III相臨床試験はイギリス・ブラジル・南アフリカで実施され、2万4000人以上の被験者のうち131人はCOVID-19の感染が確認されていたとのこと。

ワクチンは2パターンの投与法が実施されており、有効率はそれぞれ90％と62％、平均して70.4％の有効性が確認されました。有効性が高かった方は2回に分けてワクチンを接種しており、1回目は通常投与量の半分のみ、2回目は通常通りの投与量を摂取する方法でした。ワクチン接種を受けた人に入院や重篤な症例はなかったとのこと。

今回の報告はあくまで中間報告であり、ChAdOx 1 nCoV-2019の臨床試験は引き続きアメリカ・ケニア・日本・インドで行われています。オックスフォード大学によれば、2020年末までにおよそ6万人の被験者がChAdOx 1 nCoV-2019を接種する予定だとのこと。

臨床試験が第III相まで進んでいる新型コロナワクチンは他にもファイザー製薬が開発する「BNT162b2」があります。BNT162b2も「90％を超える有効性が示された」と報告されています。

「90％超の予防効果がある新型コロナワクチン」をファイザーが開発したと発表 - GIGAZINE

しかし、BNT162b2はマイナス70度という超低温での保存が必要であることから、ワクチン輸送上で大きな問題があると指摘されています。一方で、ChAdOx 1 nCoV-2019は既存の医療システムで容易に投与でき、2℃～8℃で保存できるため、既存の物流システムを使って運送可能であることが特徴だと、オックスフォード大学はアピールしています。

アストラゼネカのパスカル・ソリオCEOは「中間報告を発表した本日は、パンデミックとの戦いにおける重要な節目の日となります。ChAdOx 1 nCoV-2019の有効性と安全性は、COVID-19に対して非常に効果的であり、公衆衛生上の緊急事態に直ちに影響を及ぼすことを確認しています。さらに、ChAdOx 1 nCoV-2019のシンプルなサプライチェーンと、広く公平でタイムリーなアクセスを約束する非営利の誓約とコミットメントによって、数億回分の承認済みワクチンを手頃な価格で世界中に供給できます」と述べました。

また、オックスフォード大学のワクチングループのディレクターで、ワクチン試験の主任研究員であるアンドリュー・ポラード教授は「これらの知見は、多くの命を救う効果的なワクチンがあることを示しています。​驚いたことに、私たちのワクチン投与法の1つは約90％効果的であることがわかりました。もしこの投与法が使用されるなら、より多くの人々がワクチン接種できます。​今回ワクチンの臨床試験の結果を発表できたのは、我々の試験に参加してくれた多くのボランティアと、世界中に拠点を置く熱心で有能な研究者たちのおかげです」と述べています。