「90%超の予防効果がある新型コロナワクチン」をファイザーが開発したと発表
「バイアグラ」や「ハルシオン」などの医薬品で知られるアメリカの製薬大手ファイザーとバイオテクノロジー企業BioNTech SEが開発中の新型コロナウイルスワクチン「BNT162b2」が、第III相試験において「90%を超える予防効果がある」という結果が出たと発表されました。
Pfizer and BioNTech Announce Vaccine Candidate Against COVID-19 Achieved Success in First Interim Analysis from Phase 3 Study | Pfizer
https://www.pfizer.com/news/press-release/press-release-detail/pfizer-and-biontech-announce-vaccine-candidate-against
Here’s everything you need to know about Pfizer’s positive vaccine news | Ars Technica
https://arstechnica.com/science/2020/11/heres-everything-to-know-about-pfizers-positive-vaccine-news/
A Promising COVID-19 Vaccine Was Just Found 90% Effective in Phase 3 Trial
https://www.sciencealert.com/a-promising-covid-19-vaccine-was-just-found-90-effective-in-phase-3-trial
ファイザーとBioNTech SEが共同開発しているmRNAワクチン「BNT162b2」は、2020年7月27日にアメリカ・アルゼンチン・ブラジル・南アフリカ・ドイツ・トルコで臨床試験の最終段階である第III相試験に入っており、全被験者4万3538人のうち3万8955人が2度の接種を受けていた状態でした。
現地時間2020年11月9日に発表された報告によると、全被験者のうち、新型コロナウイルスへの感染が新たに確認されたのは94例で、深刻な副作用の報告はゼロ。プラセボを投与されたグループと感染率を比較した結果、「90%を超える予防効果がある」という暫定的な結論に至ったととのこと。なお、この第III相試験の評価は外部の独立委員会によって行われました。
今回発表されたのはあくまで「暫定的な結果」であるため、「BNT162b2が有効なワクチンだと断定するには早い」とも報じられています。生物医学を専門とする記者のベス・モール氏は「今回の試験で『感染した』と認められるためには、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の症状が事前に1つ以上確認された上で、陽性反応が出なければなりません」と述べ、COVID-19の症状が表面化しない無症状性患者が見逃されてしまう可能性を指摘。さらに、深刻な副作用は後から出る可能性があるとして、ワクチンの評価は「時期尚早」とコメントしました。
しかし一方で、今回の発表について政治家などからは好意的な反応が寄せられています。アメリカのトランプ大統領は「ワクチンがもうすぐ手に入る。90%の効果があると報告されている。なんとすばらしいニュースなのだろうか!」とツイート。次期大統領とされるバイデン氏も「この素晴らしいブレイクスルーを生み出し我々に希望を与えてくれたてくれた人々を称賛します」という声明を発表しています。
Statement by President-elect Biden on Pfizer's vaccine progress: pic.twitter.com/eOiLZnqO8N
— Biden-Harris Presidential Transition (@Transition46) November 9, 2020
また、株式市場も大きく反応しています。フランスの株価指数CAC40は前週末比で8%上昇し、ドイツのDAXも7%上昇しました。
日米欧で株価大幅上昇、ファイザーのワクチンデータ受け :日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO66019670Z01C20A1I00000/
BNT162b2の第III相試験は発表以降も継続される予定で、安全性に関するデータが揃う2020年11月第3週以降にアメリカ食品医薬品局に緊急使用の許可が申請される見込みです。ファイザーとBioNTech SEはBNT162b2の生産能力について、「2020年中に最大5000万回分、21年中には13億回分を生産できる」と発表しており、日本出荷分については「臨床開発が成功し、規制当局の承認が得られた場合、1億2000万回分のCOVID-19ワクチンを2021年上半期に日本に供給することを日本政府と合意したことを発表しています」と2020年10月の段階で公式に記しています。
・関連記事
「新型コロナウイルスワクチンが完成しても完全に元の生活に戻るにはかなり時間がかかる」という報告 - GIGAZINE
新型コロナウイルスパンデミックの収束にはどのレベルの「有効性」を持つワクチンが必要なのか? - GIGAZINE
新型コロナウイルスワクチンの臨床試験で「被験者全員が抗体を獲得した」と確認される - GIGAZINE
・関連コンテンツ
in サイエンス, Posted by darkhorse_log