仮想通貨取引所「BitMEX」のCEOや幹部が訴追される、マネーロンダリング対策を故意に怠った疑い
by Marco Verch Professional Photographer
アメリカの司法省が、最大100倍のレバレッジでのビットコイン取引など、仮想通貨のデリバティブ取引で知られるBitMEXのCEOと共同所有者3名の計4名を「プラットフォーム上でのマネーロンダリングやその他違法取引を意図的に許可した」として起訴しました。4名のうち1名はすでに逮捕されましたが、3名は2020年10月1日時点で逃亡中です。
UNITED STATES OF AMERICA v. ARTUHR HAYES,BENJAMIN DELO,SAMUEL REED, and GREGORY DWYER
https://www.justice.gov/usao-sdny/press-release/file/1323316/download
Founders And Executives Of Off-Shore Cryptocurrency Derivatives Exchange Charged With Violation Of The Bank Secrecy Act | USAO-SDNY | Department of Justice
https://www.justice.gov/usao-sdny/pr/founders-and-executives-shore-cryptocurrency-derivatives-exchange-charged-violation
CFTC Charges BitMEX Owners with Illegally Operating a Cryptocurrency Derivatives Trading Platform and Anti-Money Laundering Violations | CFTC
https://www.cftc.gov/PressRoom/PressReleases/8270-20
Owners of BitMEX, a Leading Bitcoin Exchange, Face Criminal Charges - The New York Times
https://www.nytimes.com/2020/10/01/technology/bitmex-bitcoin-criminal-charges.html
起訴されたのは、BitMEXのアーサー・ヘイズCEOと共同所有者であるベンジャミン・デロ氏、サミュエル・リード氏、グレゴリー・ドワイヤー氏の計4名。4名は、「ハッカーが盗んだ資金をロンダリングしている」「制裁が行われているイランのような国のユーザーも取引を行っている」と当局が通告した後も、商品先物取引委員会(CFTC)が定める基本的な身元確認などのマネーロンダリング対策を意図的に無視したとしてBank Secrecy Act(銀行秘密法)違反の容疑で起訴されています。
さらに同日、BitMEXの主要サービスの1つである最大100倍レバレッジなどの仮想通貨のデリバティブ取引について、CFTCは「認可していない」と指摘し、CFTCが定める規制に対する違反などについてヘイズCEOら4名とBitMEXを運営するグループ企業5社を民事訴訟を起こしました。BitMEXは毎日15億ドル(約1600億円)ほどの取引が行われる世界最大の仮想通貨取引所の1つですが、規制をあえて無視することで、多くのユーザーを確保していたとみられています。
BitMEXはセーシェル共和国に設立された法人です。これについて、4名のうち1名は「規制当局に贈る賄賂の額が、アメリカや他の国よりも安かったためセーシェル共和国に設立した」と自慢していたと司法省は指摘。被告の悪質さを強調しました。
起訴された4名のうち、リード氏は現地時間2020年10月1日にマサチューセッツ州で逮捕されましたが、残りの3名は逃亡中とのこと。有罪になった場合は、最大5年の懲役と25万ドル(約2600万円)の罰金が科せられる見込みです。
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