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Google・Facebook・Amazon・Appleのついている「小さな、しかし重大なウソ」5つ


2020年7月29日(水)、反トラスト小委員会が開いた公聴会で、Googleのサンダー・ピチャイCEO、Amazonのジェフ・ベゾスCEO、Facebookのマーク・ザッカーバーグCEO、Appleのティム・クックCEOが証言や答弁を行いました。答弁の中で各CEOは「もっともらしい」言葉を繰り返しましたが、そこには重大なウソが含まれているとテクノロジーコラムニストであるジェフリー・A・ファウラー氏が指摘しています。

The 5 biggest little lies tech CEOs told Congress — and us - The Washington Post
https://www.washingtonpost.com/technology/2020/07/29/big-tech-ceo-hearing-lies/

Congress forced Silicon Valley to answer for its misdeeds. It was a glorious sight | Technology | The Guardian
https://www.theguardian.com/commentisfree/2020/jul/30/congress-forced-silicon-valley-to-answer-for-its-misdeeds-it-was-a-glorious-sight

公聴会の中で、「FacebookのInstagram買収は『競争相手の無力化』が目的だったこと」が明らかになり、ベゾスCEOがサードパーティの販売データを使用した疑いについて「ポリシーに違反したことがないと保証することはできない」と語るなど、数々の事実が明らかになっています。

Google・Amazon・Facebook・Appleはライバルを一掃して市場を独占しているのか、各CEOの発言はこんな感じ - GIGAZINE


いずれのCEOも追及の中で、「私はそれについて知りません」「折り返しご連絡します」という言葉を繰り返しており、The Guardianは「これらのテクノロジー企業は長年にわたって、自分たちのビジネスの行動について真実を求められることがなかったため、回答の準備ができていなかった」と指摘。また、ブッシュ政権、オバマ政権いずれにいおいても、今回の公聴会で明らかになった数々の証拠があったにも関わらず、反トラスト法小委員会は合併を認めてきた点が大きな問題として上がっています。

また、いずれの企業もこれまで「ユーザーのプライバシーが重要です」「消費者によりよい体験を提供するために改善を行っています」という言葉を重ねながら、実際の行動はその言葉を反映したものではありませんでした。ワシントン・ポストのテクノロジーコラムニストであるジェフリー・A・ファウラー氏は「公聴会では、各CEOが重ねた『小さな、しかし大きな結果をもたらす5つウソ』が明らかになった」と述べています。

1:ユーザーは自分のデータを管理下に置いている
ピチャイCEOやザッカーバーグCEOが主張するように、消費者がプラットフォーム上でプライバシーに関する設定を行う方法が提供されていることは事実です。しかし、それらを使用する方法が不明瞭だったり、使いづらい場合は、「データを管理できない」のと同義になります。2019年の調査では、アメリカ人の81%が「企業によるデータの収集を全く制御できない」と考えており、59%は企業がデータをどのように使っているかについて理解できていないことが判明しました

公聴会で議員に「あなたは『より多くのデータを集めることは、Googleに集まるお金が増えるということを意味しない』と言っているのですか?」と訪ねられた時にも、ピチャイCEOは「今日集められるデータのほとんどはユーザーを助け、パーソナライズされた経験を返すためのものです」と繰り返すだけだったとのこと。

しかし、Googleは世界最大の広告企業であり、収集するデータこそがその原動力であることは、疑いようがありません。議員はピチャイCEOに対し、「Googleの支配のために、ユーザーは降伏せざるを得ません」と述べました。


2:ユーザーには多くの選択肢がある
「決めるのは消費者」「ユーザーには多くの選択肢がある」という言葉も、CEOから多く発せられました。しかし、テクノロジー企業は「ユーザーは利便性によって動かされる」と理解していながら、製品を「不便」にすることでユーザーに特定の選択を余儀なくさせます。

ピチャイCEOは「消費者はかつてないほどに情報の潜在的ソースを持っています」と述べましたが、選択肢があっても、「人気のウェブブラウザであるGoogle Chromeが最も人気のOSであるAndroidに組み込まれている」という状況をGoogleが作り出している限り、Google検索を使わずに情報にアクセスすることは難しいもの。選択肢があったとしても、それがユーザーのGoogleに対する依存を減らすものではありません。


「これら4つの会社のサービスを何らかの方法で使わずに、インターネットを使うことはほぼ不可能です」とジェロルド・ナドラー議員は述べました。

3:テクノロジー企業はそれほど大きな存在ではない
ベゾスCEOは「Amazonのシェアは、25兆ドル(約2600兆円)規模の世界の小売市場のうち1%未満、アメリカの小売市場の4%以下です」と述べ、会社が市場独占にあたるほど大きな規模ではないことを強調しました。しかし、ジョー・ネグズ議員は、ベゾスCEOに対し、なぜガソリンスタンドを含む全ての小売店を競争相手として数えたのかを尋ねました。オンラインショッピングにおいて、Amazonはアメリカの市場の38%を占めており、書籍などカテゴリを限定するとシェアはさらに大きくなります。


ベゾスCEOは小売の「流通経路」と全体の「市場」をあいまいにしようとしましたが、他のCEOも、同様に市場の定義を曖昧にすることで答弁を行ったとのこと。

4:最も関連性の高い情報だけを提供している
ピチャイCEOは「私たちは常にユーザーと最も関連性の高い情報を提供することに注力しています」と述べています。しかし、Googleは年々、ウェブサイトへと誘導するのではなく、検索結果画面にユーザーを留まらせようとする傾向にあります。

Googleの検索結果上位は「Googleが所有するウェブサイト」に占められているとの指摘 - GIGAZINE


同様に、Amazonのスマートスピーカーは、Amazon以外の製品についてユーザーが尋ねた時にも、Amazon製品へと誘導しており、これはベゾスCEOも認めているところ。「最も関連性の高い情報」と述べつつも、実際には自社製品への誘導を行っています。

5:ソーシャルメディアは有害な情報から利益を得ない
ザッカーバーグCEOは、ソーシャルメディアが人々に害を及ぼす可能性のあるコンテンツの拡散を制限する責任を持つと認めています。

しかし、実際にFacebookは誤った情報が多く含まれます。これは、Facebookのビジネスがユーザーの注意に基づいて構築されており、「広告を表示して収益をだす」というモデルであるがゆえに、コンテンツが物議をかもす内容であればあるほど拡散されてしまうのが原因。「広告を表示する」という目的のために「人々をプラットフォームにとどめる」ことが必要になり、そのために「エンゲージメントが優先される」というビジネスこそがFacebookの誤情報拡散の問題というわけです。

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in ネットサービス, Posted by darkhorse_log

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