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Appleに対して「App Storeでの30%というマージンは法外なぼったくり」「ユーザーの選択を狭める」と批判が集中

by Glen Bledsoe

「App Storeを介さずに有料プランを提供していた」として、AppleからApp Storeでのアップデートを拒否されたメールサービス「HEY」のジェイソン・フリードCEOが「AppleのApp Storeの決済ポリシーに対するCEOの見解と、顧客との関係に与える影響」と題して、署名入りの声明を発表しました。

Our CEO’s take on Apple’s App Store payment policies, and their impact on our relationship with our customers | HEY
https://hey.com/apple/iap/


Hey CEO responds to Apple, says App Store issue is about fundamental 'lack of choice' that hurts customer relationships - 9to5Mac
https://9to5mac.com/2020/06/19/hey-email-app-responds-to-apple-fundamental-lack-of-choice/

Basecampの共同設立者であるフリード氏と最高技術責任者のデイヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソン氏は、独自の有料メールサービスであるHEYを展開し、そのiOS版アプリをApp Storeへ登録しました。HEYは有料プランの支払いを、App Storeを介したアプリ内購入の形ではなく、クレジットカードを使って外部から料金を支払えるように設定していました。しかし、Appleはこれを規約違反とみなし、アプリアップデートの承認を拒否しました。

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この規約については「AmazonやNetflixのような大手に対してはアプリ内課金による購入を免除している」と、ガイドライン適用が不平等であることが指摘されていましたが、Appleのワールドワイドマーケティング担当シニア・ヴァイス・プレジデントであるフィリップ・シラー氏は「HEYの審査結果は妥当であり、取り下げる予定はない」と述べ、HEYのアップデート拒否という姿勢を貫く構えを見せました。

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アプリ内購入を選択した場合、ベンダーはアプリ内購入の売上のうち30%をAppleに支払う必要があります。これに対して、デビッド・シシリン下院議員は「30%という路上強盗に遭ったかのような、法外なマージンを支払うか、App Storeを諦めるかという2択を迫るのは、小規模な開発者を押しつぶすものです」と強く批判しました。App Storeは以前から、Spotifyや楽天から「独占禁止法に違反している」と何度も指摘されており、2020年6月17日に欧州委員会(EC)が決済システムのApple Payと共に調査を始めたことが報じられています。

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フリードCEOは、これまでの議論がお金に関するもので、今回の問題の大部分がお金の話であることを認めた上で。「お金は見出しをつかむものですが、もっと本質的な話があります。それは、『選択の欠如』についてであり、Appleはどのようにして会社と顧客の間に自身を強制的に挟み込むかということです」と述べ、以下の2点を指摘しています。

1:
ユーザーがApp Storeを通じてサービスや製品を購入する場合、その顧客は本質的にAppleの顧客になります。ユーザーはAppleにお金を支払い、Appleがアプリのデベロッパーにお金を支払うのです。何年にもわたってお得意様になってくれたユーザーはAppleの顧客となり、そのためにベンダーはAppleに30%を支払わなければなりません。

2:
Appleのプラットフォームを通じて顧客とやり取りしている以上、払い戻し、クレジットカードの変更、割引、使用期間の延長、例外への対処、補償、部分的な支払い、非営利な割引、アカデミックプランなどといったサポートやキャンペーンをユーザーに行うことができません。

フリードCEOは「Appleのルールは私たちが顧客にサービスを提供することを妨げており、Appleは私たちに面倒なルールに従うか、彼らのプラットフォームに参加しないかの選択しか与えていません。私たちにとっても、顧客にとっても、コミュニティにとっても、完全に敵対的なものです」と述べています。


また、顧客から支払いについて問い合わせがあっても、ベンダーとしては「Appleに問い合わせてください」というメッセージを送らざるを得ないとのこと。フリードCEOは「Appleに問い合わせてください」というのメッセージがあんまりな対応であることを認めており、実際にそのように対応したベンダーが顧客から詐欺や泥棒などと罵られる場面もあったとのこと。

例えば、iPhoneでHEYのサービスに登録し、Appleのアプリ内購入システムで支払いを行った後、Android端末に乗り換えたとします。この場合、支払い情報はAppleに登録されているため、AndroidのHEYアプリからクレジットカードを更新することは不可能。そのため、サービスのサブスクリプションが単一のプラットフォームに関連付けられてしまうと、立ちゆかなくなってしまう場合が多くあるとフリードCEOは主張しています。

フリードCEOは「アプリ内購入は確かに比較的簡単な購入フローであるものの、顧客関係の全体像を考えると最も敵対的です」と指摘し、Appleがアプリ内購入を強制することはユーザーにとってもベンダーにとっても選択を狭めるものだと強く批判しました。

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in モバイル,   ネットサービス, Posted by log1i_yk

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